⼭であった不思議なこと 落し物を教えてくれ たカモシカ
これは10年近く前にあった私の不思議体験です。さらに不思議なことはこの日の山行や実際に遭遇したカモシカの写真も撮って保存もしていたのにPCのどこを探しても見つかりませんでした。下記に使用した写真は別の山のものです。恐怖体験ではありませんが毎日の猛暑が収まらない中の ひと時の清涼剤にでもなれば・・・それでは聞いたください。これまでハイキング程度の⼭登りをずっと続けてきました。本格的に冬⼭を登る技術などまったく持ち合わせていません。そこで冬になり地元の新潟が雪で覆われるようになると雪のほとんどない埼⽟の秩⽗や奥武蔵、群⾺の低⼭を巡っていた時期がありました。何年も前のことですが⾼速料⾦が休⽇⼀律1000円のころは12⽉から4⽉ころまで毎⽉のように通いました。秩⽗の道の駅を⾞中泊の根城にして武甲⼭や丸⼭、⼆⼦⼭、伊⾖ヶ岳等 地図を眺めながら次々と歩きました。山登りの後は温泉。満願の湯や武甲の湯には何度行ったことか。そしてその⾼速料⾦の割引制度が縮⼩されたため今度は近場の群⾺に⾏く先を変えました。30分ほどで登れる沼⽥の⼾神⼭は群⾺到着⽇にまず登って⾜慣らし。翌⽇から⼦持⼭、伊⾹保の⽔沢⼭、⼩野⼦⼭などに⾜を伸ばしました。<群馬県の迦葉⼭(かしょうざん)に登る>そうした中で数年前の3⽉ころだと思います。迦葉⼭(標⾼1,322m)に今回は登ることにしました。⽇本⼀の天狗⾯があるという弥勅寺中峰堂に登⼭⼝があります。本堂の渡り廊下の下をぐり抜けて裏⼿から登⼭道に⼊ります。雪は数センチから場所により30センチ地程度です。ところが最初から道を間違えてすぐ左に九⼗九折に登っていかなければならないところを案内板も何もなかったので真っ直ぐに進んでしまいました。しばらく歩いて少し変だとは思いましたが⽬当ての胎内くぐりの⼤岩が⾒えてきたのでその裏⼿に回り込むような形で登⼭道に復帰しました。ちょっとした岩場を越えて尾根道に⼊ると積雪は1メートルくらいはあったでしょう。⼈より2割増の体重が雪に潜ります。⼀時間ほども雪の中を登ると稜線に出ました。ここには御嶽⼭⼤神の⽯碑というものがあります。周りを囲う⽯積みの⼀部が雪の重みで倒れそうになっていたので元に戻しました。ここから左に進路をとり⼭頂を⽬指します。開けた場所で雪の踏み跡をたどって10分か15分で⼭頂到着です。そのときは周りの⽊々が邪魔して絶景とはいかなかった気がします。午後から登ったので冬場の⼣暮れは早いため⽔を飲むとすぐ下⼭にかかりました。途中先ほどの⽯碑の場所でセルフタイマーで記念撮影。薄暗くなりかけた中 気合を⼊れて下ります。何度か派⼿に雪の中に⾜を取られて倒れ込みました。汗をカキカキやっと⼤岩までもどって来ました。ここで何気なく上着のポケットを探るとデジカメがないことに気づきました。娘からプレゼントされた⼤事なものです。これは困った。帰り際 ⽯碑の前で撮影しているので落としたのはその後 に何度か転んだあたりだろう。雪にその跡が残っているはずだからきっと⾒つかるはずだ。しかしもうあたりは薄暗くなっている。すぐ⽇も沈む時間だ。これから登り返すのはちょっと難しい。今⽇は⼀⼈として登⼭者にあわなかったので明⽇ 朝⼀番に探しに⾏くことにしてそのまま⼭を降りた。翌朝 捜索開始。岩場を越えて昨⽇と同じく尾根道に出る。ここで⾜元を⾒ると⾃分の⾜あとを辿るように⿅の⾜跡が重なっていることに気がついた。⿅とはすぐにわかったがそれがカモシカだとまではその時にはわからなかった。昨⽇はなかったので夜でも歩いたのか。私と同じ場所をたどっているのでそれが何となくおかしかった。⾃分の転んだあとは雪が深くえぐれていてすぐわかった。何箇所がそういった場所に⽬を凝らして探してみたがデジカメはなかなか⾒つからなかった。しばらく下ばかり向いて歩いていて何か気配を感じたのか何気なく前⽅に顔を上げた。あっ と思わず声をあげた。わずか数メートル先にカモシカが私の⾏く⼿を遮るかのように体を真横にしてこちらを⾒つめているではないか。私は驚いて⽴ち⽌まった。その時どういうわけか視線が⾜元に⾏った。そこでまたしても あっと声が出た。そこには昨⽇落とした弾みで雪に半分埋もれた探していたデジカメがあった。その場所は⾜跡の乱れもなく綺麗に雪が積もっているところで 踏み抜いた跡ばかりに注意を向けていた⾃分にはまったく視界にはいらないところだった。その後すぐにカモシカは⽴ち去らず何秒間か向かい合った時間があった。その時カモシカの⼼が私にははっきりと感じ取れた。落とし物をカモシカが教えてくれたという感覚ではない。⾃分たちの棲む⼭に、⾃然界に こんな異質な物体をおかないで ちゃんと持ち去ってくれというというカモシカのはっきりとした意志だった。