ヤンキー写しときゃ、まあいいだろ? | クソイナカ…周囲はほとんど既知害ばかり

ヤンキー写しときゃ、まあいいだろ?

どっかの教育大学で合コンに参加した女が、わかりやすくも男から強姦されたと訴えていた。ふと目前で繰り広げられている光景を前に、日本国内における格差、というものを実感させてくれたのだ。多分教育大学のほうは、男がはめられてしまった、というので、また訴えている女も金をせしめてやろうという魂胆もあったのではないか?という都市部の論理が完全に吹っ飛ぶ、地方都市郊外ショッピングセンター風景

県庁所在地に次ぐ、人口10万人の町、周辺町村を含めて20万人の商圏中心地、とはいえ中心商店街は活気を失い、商業の中心は完全にオゾンショッピングセンターになってしまっている。オゾンにはすべてがある、またオゾンの周辺には何もかもがある、漫画喫茶、ユニーククロージング、回転寿司、ブックスリサイクル、タツヤ、吉尾屋、洋服の赤坂。またちょっと離れてみれば、「本場フィリピンダンサー多数来日」のどデカイ看板が聳え立ち、ピンク方面の需要も満たされる。

「あーどっから来たの?君ぃ、今から送っていこうか?」改造車に乗った男が半身乗り出して、ヒップホップミュージックにあわせて体を揺らせながら、けばけばしい格好をした女に話しかけている。近づいてみれば、女は格好こそ確かに今風ではあるが、しかし体型は寸胴で、また肝心要の顔面は美しいとはいえず、しかし声をかける男というのもまた、わかりやすくもこの風景にしっくりと来ていた。女が思い切り見下したような表情で、しかしまともな一般人からすればこっけいでしかないが、しかしこれまた地方都市ショッピングセンターというので、なぜか納得できてしまう。次の車が女に声をかける、女は「まあ仕方ないわね」というようなそぶり、顔面からすればこっけいな勘違いしてんじゃねえよ、というような突っ込みをいれたくなるような高飛車なそぶりをしながらVIPカーに乗り込んでいく。

「あの・・・いいんですかね?こういうところで女の子たちがVIPカーに乗り込むじゃないですか、でもって行き着く先ってのはわかってるんですよ、でもって訴える、っていうのはないんですか?ほら、たとえば『本当に送ってくれるだけだと思ってたの!』とか何とか言って」どこかの教育大学生が合コンで知り合った女を強姦して、というエピソードが脳裏を過ぎった。「おめえよ、都会の常識と、ここの常識はちがうんだって、女だってよ、はえーとこ男みっけて、はえーとこ結婚して、はえーとこ落ち着いて、はえーとこ親納得させて、てやつだよ」

イナカで一生を終える、と人生を決めてしまった人たちが、なら配偶者を見つけるために、というので必要悪として存在するのだろうか?警察だって真剣に取り締まってないじゃないか?いくらでも挙げる要素はあるだろうに?

かつては駅前、だった、けれどいまは郊外ショッピングセンターに移ってしまっている「出会い」の場所。

♪ボンボボボンボボボンボンボンボボ 時折爆音バイクが通り過ぎるが、見てみれば二人乗り。あれ?ナンパスポットで何やってんの?女と知り合うって目的じゃないの?女声かけられて「うわ、後ろ乗せてよ!」というような状況になったとしたら、じゃあ後ろの男を降ろして女を乗せるのかな?でも有り得ないとわかってるのかな?というようなのを妄想しながら、いつの間にか爆音バイクは過ぎ去っていく。

「おめえよ、わかってんな?明日は収録だかんな?思いっきし手抜けよ?」一応責任者という肩書きの男が、俺に向かって意地悪げな笑みをたたえていた。「髪の毛とカッコウ見ればわかんだろ?そいつによ、ヤンキー時代の話させろや、最近ヤンキー方面の話し出てねえだろ、出せよ?だしゃ受けいいんだよ」

ABAに入ってもう1年になろうとしているが、自分の仕事、というのが実にやりがいのない、いくら努力をしようとも視聴者には努力が伝わらないのだ、というのがわかってきたころ。責任者が俺に教えてくれたこと。

「まあ中央競争馬会からみのしごとも、じきに回ってくるだろうからさ」

今の仕事はつまらない、というかやりがいがない。地方に回って、どう考えても言いたいことのわからないバリキチ爺さんの話を、作り笑い浮かべて聞いた振りして、でもって適当に編集して、でもってテレビに流すのはいいけど、でも視聴率は都会では凄く悪くて。確か「勇者特急マイトガイン」の再放送より悪い、というけれど。でも地方に行くと結構な視聴率、とかで、いまいち納得がいかない。責任者の一存で編集されるけれど、なぜかインタビューに出てくる女がブスそろいで、またヤンキーが無駄に多く出ていて、アップで移される人の顔が揃って不細工ばかりで、ようやく俺は責任者の意図、というのを理解できた気がする。時折見せ付けてくれる含みのある笑顔