■ループ
「ひぐらしの鳴く頃に」と言う、元はパソコンの同人ビジュアルノベルから始まり、アニメや漫画やゲームに小説になった話がある。
同じ世界を何度も繰り返して、そのループからの脱出を目指すのだけれども、そのパターンでヒットする物語が以外と多いような気がしてならない。
「涼宮ハルヒ」シリーズでも、エンドレスエイトという最強にうざい話がある。
アニメではほとんど同じ話を8話を使って放送した。
ほとんど放送事故レベルである。
いま現在アニメ「メカクシアクターズ」が放送されているのだけど、元はニコニコ動画で発表されたボーカロイド曲が元になっており、多重展開するラノベ版、漫画版それぞれが微妙に展開が違うらしい。
微妙にループというわけではないんだけど、平行する複数のメディア中でベースとなる物語があって、そのストーリーの展開が木の枝のように分岐していくのである。
そう言えば、トムクルーズ主演で作られた日本のライトノベルが原作のハリウッド映画が近々公開されるらしいのだけど、それもループの話だったりする。
兵士になった主人公は、闘いの中で死亡するのだけれども、目が覚めると兵士になった日に戻り、訓練を経て戦場に戻り、同じ日にまた戦死して兵士になった日に戻る。
この時トム・クルーズが演じる主人公は、死ぬ前の記憶が残っており、戦っては死に、戦っては死ぬと言う中で培った記憶と経験で、主人公は短期間で最強の兵士になっていき、その戦場を生き抜こうとするらしい。
記憶の蓄積と言えば、森博嗣の小説『スカイ・クロラ』も同じである。
寿命では死なない少年兵達の話なのだけれども、戦場で死んだとしても、その経験と知識は同列の個体に引き継がれていた。
現実的に考えてみれば、割と卑怯な手段である。
昔の言葉でいるならば、「リセット」であろうか。
家庭用ゲーム機で、不利な状況に陥ると、ゲーム機に付いているリセットボタンをおして、強制終了させやり直すヤツである。
これがDSの「おいでよどうぶつの森」シリーズならば、リセットさんに怒られるパターンである。
■2014/06/16に見た夢
こんな夢を見た。
厄介な事態に陥っていた。
ちょっとしたことから、とある世界的犯罪シンジゲートに命を狙われることになってしまった。
成田から乗り継ぎ、ドバイを経由して乗っていたフランス行きの飛行機は、アルプス山脈上空で爆弾テロに遇い、スイスとフランスの国境線近くで墜落してしまったのだ。
それは当然のように私を狙ったテロであった。
なんとか無傷で助かった私は、被害にあった他の乗客達とは別れ、身辺警護の目的でアメリカ合衆国から派遣されたエージェントで軍人の女性、スター少尉と目的であるパリを目指すことにする。
墜落現場からほど近いスイスの片田舎で、村人から古い車を購入する。
もちろん支払いはブラックカードだ。
車に乗った瞬間、国籍不明の対戦車ヘリ部隊の襲撃を受けた。
「ちょっと運転が乱暴になりますから、舌を噛まないように口は閉じていて下さいね」
スター少尉はそう言うと、車を発進させ森の中の道無き道をありえないスピードで走り抜ける。
それでも相手は空を飛ぶヘリである。
逃げ切るのは至難の業と思われた。
森を抜けるとアルプス山脈を通る道に入る。
左右は断崖の絶壁であり、逃げ場はないのである。
「ちょっと運転変わって!!」
スター少尉はそう言って助手席の私にハンドルを預けると、自分は後部座席に異動した。
私は空いた運転席に異動し、アクセルをベタ踏みにする。
「反撃やっ!!」
スター少尉が後部座席でそう叫んだ。
振り返ると、窓から箱乗り状態になったスター少尉が突き出した左手の手首から先が爆炎をあげてヘリに向かって飛んでいき撃墜したのだった。
「みたか、ロケットパンチや!!」
スター少尉は嬉しそうな声でそう言った。
「けどな、これ使うと補給を受けるまで手のひらが無いねん。禁断の奥義やな。しかもウチは左利きやし」
スター少尉は少し困った顔をして笑ったのだった。
その後、私達は度重なる敵の襲撃と妨害を受け、何度も窮地に追い込まれた。
スター少尉の隙を付き私は敵に捕らえられ、酷い拷問を受けたりしたのだ。
しかしスター少尉の活躍と犠牲により、私は適地より逃げ出すことに成功したのだった。
その時、スター少尉は首から上の頭部だけになっていた。
「どこかに隠れて!!」
頭部だけになって私の両手に抱えられたスター少尉が、敵の本部から逃げ出したばかりの私に言った。
港の倉庫街なので隠れる場所はいくらでもある。
彼女は、残してきた体に仕込んであった高性能爆弾を爆発させ、敵を殲滅させるつもりである。
私は鉄製のゴミ箱の中に身を隠した。
その瞬間、もの凄い爆音と衝撃波がやってきたのである。
「これはヤバイかも。街一つ吹き飛ぶ威力だから」
敵の本部からは一キロ以上離れたはずであるのに、私はまさに火中の人となったのである。
「聞いてないよ!!」
そう叫んだつもりだったけど、その声は自分でも聞こえなかったのであった。
それから半年の月日が流れ、私の傷も癒え、犯罪組織はスター少尉の働きにより殲滅され、私は追われる身分ではなくなり、日本の東京の片隅で、平和に暮らせることの幸せを噛みしめながら新しい生活を始めていたのだった。
スター少尉とは敵の本部を爆発したあの日以来会っていない。
■宇宙兄弟
「宇宙兄弟」のアニメは見たことがないのだけれども、原作の漫画は1巻から20巻までならばもう10回くらい読んでいると思う。
なぜ20巻までかと言えば、パチンコ屋の休憩所にある漫画コーナーに、20巻までしかないからである。
もちろん、掲載誌であるモーニングでは毎週欠かさず読んでいるので、全話読んでいると言えば、読んでいることに間違いはないのだけども、ここで言う10回はコミックスで読んでいる回数のことである。
昔のようにパチンコで一日に何万も使っていた頃とは違い、いまは1パチで千円の負ければ、後は休日の時間つぶしである。
花の慶次や、エヴァンゲリオン、ワンピースにナルトなど、人気がある作品が中途半端な巻数で揃っているのだけれども、ここで何度も読み返すのは「宇宙兄弟」だけだった。
個人的には宇宙系漫画は好きな方であると言って良いと思う。
それも宇宙の彼方で異星人と戦うとか、異形の神々とかいう作品よりも、いまの世界のほんの少しだけ未来。
科学も異常に発展しているわけではなく。あくまでも今の科学技術の少し先の未来と言うレベルの世界観の話が好きなのである。
「ふたつのスピカ」
「ムーンライトマイル」
「プラネテス」
そして「宇宙兄弟」である。
時間的には「ふたつのスピカ」の少し昔か同時期。
「ムーンライトマイル」の初期
「プラネテス」の登場人物達の二世代前。
人類がやっと月面上に基地を建設したくらいの話である。
そう言えば、世界が変わってしまうけどアニメ映画「王立宇宙軍」はその世界で人類初の有人ロケットを打ち上げる話だったのだけれども、これらに共通しているのは「夢を諦めない」と言うことだろう。
それぞれの作品の登場人物に共通しているのは、何度も挫折を味わいながらも、それでも夢を諦めることなく、前に進み続けて、夢を達成してしまうということなのだけれども、そこはやっぱり物語であり、ドラマであり、漫画であってアニメであるから、主人候補正というものがかかるので、主人公は夢を現実のものにしてしまうのである。
夢を目前にして主人公が簡単に諦めてしまうのでは、物語がそもそも成立しないのである。
もちろん、そんなことを主人公や登場人物が口にする場面は良くあるのだけど、それは大抵の場合本心ではないだろうし、その言葉を撤回するまでの心の葛藤を読むことが、面白いと感じるのではないだろうか。
少なくとも、私は面白いと思う。
「宇宙兄弟」で宇宙飛行士を目指すムッタが、あなたの敵は誰ですかと聞かれ、こう答える。
「私の敵はだいたい自分です」
夢を一度あきらめて、別の道に進んだ自分の過去を振り返ってそう言うのだけれども、諦めた道に戻ってくるのも主人公属性であると言える。
■ 2014/07/18に見た夢 ガン
四月に受けた健康診断の結果は、自分からしてみれば、思った以上に好成績だった。
確かに血圧が高いという新たなる不安要素は増えたものの、それ以外の数値は改善されていたように思う。
日頃から不摂生な日々を過ごし、二十歳の頃から比べれば二十キロ以上も体重が増えているというと言うこともあり、健康診断の結果を知るまではかなり不安であったのだけども、その不安も解消されたのだった。
それからしばらく経ち、血圧の高さも気にならなくなった頃、勤め先に加入している生命保険のおばちゃんがやってきたのだった。
おばちゃんと始めて会ったのは、私が働き始めてすぐの頃だったので、高校を卒業したばかりの十八の頃で、それから五年かけて落とされた私がおばちゃんの生命保険に加入してから、もう二十年近く経っている。
今にして思えば、かなり強引な勧誘の仕方で、ほとんど違法行為だったんじゃないのかと思う。
ツイッターなどに、そのあまりの勧誘の酷さを動画付きで投稿して、訴えてやろうかと思うレベルだったのだけれども、当時はツイッターどころか、携帯電話を誰もが持っているという時代ではなかったので、そんな事はできやしなかった。
おばちゃんとは久しぶりに会った。
以前の会社が倒産して以来なので随分長いこと会っていなかったのだが、おばちゃんは依然と変わらぬ感じで私に言った。
「押利さん、健康診断に引っかかっているけれども、ちゃんと再検査に行きました?」
そんなはずはないと私は言う。
「数値的には再検査が必要な所はなかったはずだ。だいたい何でおばちゃんがそんなことを知っているんだよ」
「数値的に基準値を超えていれば引っかかってるんですよ。早く再検査に行ってきなさい」
私は手を取られると引きずられるようにして病院に連れて行かれて再検査を受けた。
「ガンです」
検査を終えて診察に移ると、医者が表情のない顔でそう言った。
「すぐに入院して頂きますが、もうあちこちに転移しまくっていて手の施しようがありませんので、覚悟しておいて下さい」
「マジですか!?と言うか、患者にはっきり言っちゃうんですね?配慮とかいっさい無しですか?」
「希望を持たせても申し訳ないですし」
医者はそう言った。
とりあえず、入院しなければならないので、その事を同居する両親に伝えなければならない。
ついでに、勤め先にも伝えなくてはならない。
自分一人で死んでいくのは仕方がないが、それを誰かに伝えなければならない作業というものは、非常に気が重い。
私は携帯で親父に電話する。
「もしもし、俺だけど。ガンで入院することになったから」
親父は言った。
「がーん」
ここで目が覚めた。
目が覚めてからも、入院費のことや、自分がいつまでいきられるのかということを考えていたのだが、保健のおばちゃんはもう10年以上前に無くなっていたり、行った病院も今年の春には閉鎖され取り壊されていたの思いだし、夢だと気が付いた。
■ 不機嫌姫
その国の姫はいつも不機嫌だった。
広大な領地を治める王の第一子として生まれ、王位継承権を持つ姫は幼い頃から周囲の羨望と期待を受けて育った。
幼少の頃から、武芸に秀で、歌と詩を愛し、知略と策謀に富んでおり、明晰な頭脳と美しい容姿に国民からの支持も多く、妹弟が何人も生まれた後も、時期女王として期待されて育ったのである。
そんな姫が不機嫌になったのは十四になった頃からだった。
愛くるしかった笑顔は無くなり、いつも眉間に皺を寄せ、遠くを見つめる日々を過ごすようになったのである。
臣下が声をかけても、簡単な返事しか返さなくなり、会話と呼べるものは無くなった。
心配した王は、姫に笑顔を取り戻すべく、近隣諸国から役者や楽団、大道芸人などを呼び寄せて姫の前で披露させたのだが、姫はぴくりとも笑顔を取り戻すことはなく、とうとうその披露の場にも、自分の部屋がある城の西の塔に引きこもってしまい、現れなくなったのである。
どんなに手を打とうとも、姫の機嫌を取り戻すことができない王は苦悩した。
自身の体調があまり良くないと言うこともあり、姫に期待する所が大きかった。子供は他に何人もいるのだが、姫ほど王位継承者としての才覚を持つ者は見られなかったのである。
王は姫を呼び出すと、聞いてみました。
「姫よ、そなたは何故そんなに不機嫌なのだ。以前の姫はそんな風ではなかったではないか。何か思うところがあるのならば言ってみなさい」
姫は不機嫌に応えました。
「何でもないのです。いつか、この不機嫌も治るでしょう。それまで放って置いて頂きたいのです」
そんな日が来るのかと、王は思いました。
そして自分の体調を思えば、その日をいつまでも待ち続ける事もできません。
王は姫にある王命を下したのでした。
そして、姫は不機嫌にその命令を受けたのでした。
王国の北には深い針葉樹の森が広がっています。
そこから先の国境を越えるとそこは北方蛮族が支配する土地となっており、姫が生まれる少し前までは、幾度と無く王国との間に戦争が起こっていましたが、現在は内乱中であって、王国との間に戦争はありません。
しかし、あまり安全とは言えない地域でした。
そんな森の中を姫は従者と二人で馬に乗って進んでいました。
「姫様、目的の場所までもう少しでありますよ。北方蛮族とか、狼とか結構警戒していたのですが、この分ですと何事もなく魔女様の屋敷まで着けそうでありますね」
従者のアンは嬉しそうにそう言いました。
普段から、姫の身のまわりの世話や警護をしている女官で、剣の腕から裁縫の腕まで確かなものを持っており准騎士の地位でもあります。
その事から今回も王から直接姫のお供を申し渡されています。
「そうね」
そんなアンに姫は不機嫌に応えるのでした。
姫の幼き日より世話役として姫と共に暮らす日々を送ってきたアンですが、そんな彼女にも姫が不機嫌になった理由はわかりませんでした。
例えるならば、昼寝をしていて目が覚めてみたら不機嫌になっていたと言う、そんな感じだったのです。
天真爛漫、いや天使爛漫と言う言葉がぴったりだった以前の姫にアンは早く戻って欲しいと思っていました。
同じ思いであった王は、北の塔に住む王家守護職国家魔術師の所へ姫を観てもらいに行かせることにしたのだった。
もちろん、王ならば北の地より魔術師を呼び寄せる事は簡単な事であったのだけれども、姫の気分転換をかねてアンと二人で行かせることにしたのだった。
「見えましたよ、姫さま。あの丘の上に見える塔が目的の場所です。大魔術師ヨーさまには過去に何度か私はお会いしたことがありますが、姫さまは初めてでしたね。気さくなお婆さまですよ。いま現在はこの地で蛮族の進入を監視しているのが主な任務となっていますが、過去には戦場に火の固まりを降らしたとか、もの凄かったそうです」
「そう。それより、あそこを見て」
姫が不機嫌にそう言いながら、指を指しました。
アンが見ると、毛皮を着た兵士が体の至るところから血を流して倒れていました。
「姫さま、お気を付け下さい。北方蛮族の兵士です」
アンはそう言って腰に吊した剣を引き抜くと、馬を下りて蛮族の兵士に近づきました。
様子を伺い、首筋に手を当てると脈動が感じられ、まだ生きていました。
「生きてはいますが、このまま放置すればいずれ死ぬでしょう。ここに傷ついた兵士がいるということは、近くに追っ手がいるかも知れません。私達もヨーさまの所に急いだ方が良いと思われます」
アンはそう言いながら、兵士にとどめを刺してやることにしました。
「待って。その兵士はまだ子供だわ」
確かに血にまみれた顔はまだあどけないもので、年の頃は十二くらいに見えました。
「子供と言えども北方蛮族の兵士。情けは我が国の未来の為になりません。助けないなら、とどめを刺してやることが情けです」
「強者として助けることも情けです。傷の手当てをしたら連れて行きます」
姫はそう不機嫌に言いました。
でも、その表情はいつものしかめ面とは違い、強い意志が感じられました。
アンは少しだけ嬉しくなり、姫の命にしたがって北方蛮族の少年兵士の傷の手当てを始めたのでした。
つづく
■ 人間強度
「最近自分は大人になったと思うことがあるけれど、けどそれは人としてどうなのだろうと思うことがある。人として残念な事になって来ているのではないかと。それは人間強度の低下では無いだろうか」
そんな話を良くする。
何かを得るために何かを失い、むしろ失うものが多い気がするのは私だけではないように思う。
「だから、私は大人になんてならないのさ」
本心と裏腹に、そんな宣言をする私に対し、同僚であって、後輩であり、上司でもあるI君は言う。
「本末転倒とはまさにその事ですね。アンタにぴったりな言葉ですよ。むしろ辞世の句と言っても差し支えないレベルです」
横にいる我が課の紅一点、新人と呼べる時期は過ぎ、すでに重鎮と呼べるレベルに育ったO嬢も言う。
「人生とは立ち向かってこそ人生です、人は立って生きるのですよ。だから人生なのです。逃げても良い場面で逃げることまで否定しませんが、逃げ回るだけでは何も解決しないのです」
「逃げ回る時だって立って逃げるさ。かっての過去の経験と積み重ねで、そこに自分の勝機があるかどうかなんてすぐにわかるものだ。それに私は解決するつもりなど毛頭無いから、全ての問題は先送りにしてやるさ」
私がそう言うと二人は深いため息をつき言った。
「まあ、良いですけどね。もう異動するわけですし」
「サヨナラです」
こうして私は新たなる部署へと異動することになったのである。
異動していきなり、午前様の日々。
それが二週間も続くと、他に時間を割く余裕が無くなっていく。
元の部署がどうなっているかなどと言う事も知らなかったのである。
「どうした、I君」
休憩室で黄昏れていたI君に声をかけた。
そもそも休憩室で一服する事すらなかなかできなくなっていた私にとっては久しぶりの休憩室であった。
「O嬢が営業の課長と揉めたんですよ」
「何で?」
「客からのデータの入りがきちんと予定の時間に入ってこなくて、それで何度も問い合わせをいてたんだけども、その時の営業課長の対応が適当だったんで、O嬢の態度も悪くなって、その態度に営業課長が切れたという。Oさん、態度悪いとか言われてましたよ」
「たしかに悪いからな。でも、O嬢の言い分としては営業課長の対応が酷いからと言うことになるんだろうね」
「言われた後に壁をパンチしてましたからね。会社の壁に穴を開けたのは社長と僕とO嬢の三人になっちゃいます」
「ものに当たるのってどうかと思うよ。ちなみに俺が異動した先の課長は安全靴の鉄板が入った部分で俺の尻を蹴り上げるけどね」
「虐待か!!」
「セーラー服姿の女子高生に蹴られるならともかく、40代半ばのおじさんに蹴られて興奮する性癖はさすがに持っていないんだけどね」
「興奮するかはともかく、それ以来、O嬢の機嫌が悪いんですよ。怖いんですよ。明日にでも辞表を持ってこられたら困ってしまいます」
「人間性はともかく、O嬢は仕事ができるからね」
「手が早いんですよ。早すぎて仕事が終わってしまって、何もしていないように見えてしまう部分がありますから、あまり会社の評価は高くないと言う」
「仕方ないよ。バイトで働いている方が給料良いくらいなんだから。文句を言うのは筋違いだよな」
「手取はきっと12万くらいですよ」
「ありえないよな。その倍もらってもおかしくない仕事をしているのに」
「ただ、辞められると僕が困るわけです。負担が増えるし」
「生かさず、殺さずがモットーなのに、それすら会社は理解していないと言う」