DCは昨日楽日を終えましたが、ACTはまだですので……。
ネタバレもなんですけど、めっちゃ長文です。すみません……。
友会も、梅芸先行も外れたにも関わらず、ご親切なブロガーさま方のおかげで、DC2回(それも二日連続)観させて頂けました!
本当に幸せでした!ありがとうございました♥

あ、以前チラッと書いたんですけど、「(月組カラーの)黄色い着物」を着ようという話。……和ダンスひっくり返して探したら、二枚だけ出てきました(笑)
この日は、この可愛いお色のを、年甲斐もなく着ていきました(昨日は、渋めに山吹色のを)さり気なくグリーンが入っていて、帯揚げと帯締めに薄緑を使ったのが私なりのこだわりです(笑)

で。
感想なんでございますけども……。
とりあえず良かったところから書きましようかね……ね、原田(諒)先生っ(真顔)
まず。
世界感の出し方……秀逸でした。
別緞帳とか何も出さずに、劇場内を特に演出している訳でなく、本ベル(開演直前のベル)鳴って、緞帳上がってやっと作品世界が見えるというのに……緞帳上がってから、空気が一瞬にして変わったと思いました。
もちろん、みやるり(美弥るりか)の纏っている役としての空気が、そうさせたとも言えるんですけど、舞台上のセットの感じとか床の装飾(装置・松井るみ先生♡)とか、サス(照明)の具合(照明・勝柴次朗先生)とか、ドライアイスの量とか(2~3列目位まで埋もれてましたね
)、後、「どこに音が飛ぶねん」と不安になった位のメロディラインとか(作曲・玉麻尚一先生)、「サン・ジェルマンの影」のダンス(振付・麻咲梨乃先生)と、それに続く場転(場面転換)が、絶妙なバランスでみやるりのサン・ジェルマン伯爵を浮かび上がらせたと思いました。

やー、美しかった。
ぐっと世界に連れていかれました。
その中でも、やっぱり舞台セットが美しかった

あの、半円を描く様に……盆の周りを滑るように(DCに盆無いけど)稼働する、階段!
白……や、灰色がかった石の階段。重厚で優美で存在感のある……。
踏み板は広めで、ただの階段としてだけでなく、セットとして大活躍の階段でしたが。
シャンボール城の階段って、象徴的なんですよね。
てか、私、このお城を前にテレビか何かで見て「へー、面白い階段作った人がいるのね」と印象に残ってたんですが、その城に住んでいたのがサン・ジェルマンとは知りませんでした。
一寸びっくりしました。や、印象に残っていたものにこんな再会をした事が(笑)
サン・ジェルマンの影が、ダンスの振りとして出すセットが、お城の壁になるのも面白かった。
そして、そこに描かれていたトカゲ(サラマンダー……火の精霊だそうです)がまた……凄いんです(笑)格好いいといっていいのかアレなんですけど、惹き付けられました。「あー、伯爵のお城なんだー」と(笑)
そのお城にドロボーに入るのが、後にサン・ジェルマンに成りすます、旅回りの役者シモン・みやるりと、その親友ジャック・れいこちゃん(月城かなと)。
好奇心(だけじゃないな)旺盛なシモンと、始終ビビりまくりのジャック。
とにかくめっちゃ可愛い!
サン・ジェルマンの部屋には、宝石をはじめ高価なものが沢山あって。
その小道具たちを見ていると、雪組の「ルパン三世」のカリオストロ伯爵思い出した(笑)
でも、もっと思い出したのが、星組の「カサノヴァ」のまりこちゃん(麻路さき)。
忘れてましたけど、この時のまりこちゃんのお役が「サン・ジェルマン」だったのね(笑)
本人やん……そりゃ、思い出すわな(笑)
その小道具と階段のセットが出す雰囲気が、本当に秀逸でした。……なんだろう。古城に漂う香りまで感じる気がしたんですよねー。
そしてその後出てくる(バトンで降りてくる)肖像画のクオリティの高さにびっくりでした!
例えば「スカピン」。
マリーが描いているパーシーやマルグリットの肖像画って、一寸ゴツイタッチじゃないですか。「マリーったら、なかなか男らしい筆運びね。」みたいな(笑)
この肖像画は、本当に写真みたい!今回の(みやるりの)スチール写真そのままな……。でも、ちゃんと絵、なんですよねー。
れいこちゃんじゃなくても、リアルに驚きますよ(笑)
作品として、この肖像画が、みやるり……じゃない(笑)、シモンにそっくりじゃないと話にならないので、よりリアルにしたのだと思いますけど。
説得力ありました。そりゃこれだけ似ていたら、騙されるわなぁって。
そして、サン・ジェルマン伯爵に成りすましたシモンが、召使テオドールに成りすましたジャックと向かった、ベルサイユ宮殿。
贅を尽くしたドレスや宮廷服に身を包んだ貴族たちの舞踏会。
……懐かしいお衣装沢山です(衣装・有村淳先生)。
それにしても、その「懐かしいお衣装」の中でも、ゴージャスで綺麗な色目のものをセレクトしているなぁと感じました。
同じ時代だけど、ベルばらってよりスカピンや1789とかジャンルイとか?後、「翼ある者へ」のクララのお衣装も出てましたね。あれ、本当に美しくて好きだったので、また見られて良かったです。
ま、ヒロイン(アデマール)は平民身分なんで、豪華なのがフィナーレしかなくて残念だけど(笑)
あ、フィナーレの(デュエダンの)お衣装、なんと「Shall we」のプロローグのお衣装でした。そーちゃん(壮一帆)と、あゆっち(愛加あゆ)の。それにしてもあのお衣装であれだけ踊らせるなんて、なんて鬼なの?(振付・良知真次先生)と思いました(笑)。
……あれ、月城さん、お召になりましたよね?新公で……。なんか……いい意味で遠くに来たもんだと、思いました(笑)
ヒロインのアデマール・くらげ(海乃美月)は、二人の幼なじみで、旅役者。天覧公演でアントワネットに見出されて、王宮の舞踊団に入る位バレエが上手いんだけど。
まぁ、普通にバレエで。宝塚的にアレンジされたのでなく。
私としては、トゥーシューズ履いてやって欲しかった位なんですけど(笑)本当に見事なイタリアンフェッテを見せてくれました。
こだわった振り付けだなと感じました。
ルイ16世(るうくん・光月るう)のキャラ(性格)、アントワネット(さち花姉さん・白雪さち花)の考え方、プロバンス伯爵(もっくん・貴澄隼人)やネッケルさん(まゆぽん・輝月ゆうま)、そしてロべちゃん(としくん・宇月颯)の信念。
ちゃんと見えた……というか、生きていたと感じました。
本当に……ここ数年、若い(若くない方もいらっしゃいますけど(笑))作家の書くフランス革命ものは、本当に興味深くて面白いですよね。
今回のアントワネットさまは、フェルゼンと別れて、王妃としてルイ16世の妻として、二人の子供の母として強くなってきた頃なのかな。威厳があって、(恋する女的な)迷いはなかったですよね。
テュイルリー宮でのやり取りから、ソロ歌は涙無しには観られなかったです。
そして、今回のロべちゃんは1789寄りの、熱くて(良くも悪くも)真っ直ぐな人だと感じました。
仲間と一緒に理想に燃えて革命起こして、アントワネットを断頭台に送る時は、これ以後貴族を粛清することを含め「これが正しい事なんだ」と高々と宣言して。
自分の中の正義にとても正直なキャラでした。
これは脚本でなく、演者(としくん)のいい所だと思いますけど、ジャックが、偶然立ち聞きした話をロべちゃんに密告した後、れいこちゃんに「感謝する」と声をかける瞬間のフッと柔らかくなる表情が、絶妙に良かったです。
ロべちゃんの、「熱くて、良くも悪くも真っ直ぐな人」というのが良く現れていたと思いました。
後、ネッケルさんが印象的でした。や、意外にネッケルさんって、今までそんなに描かれてなかったけど、結構熱い人だったのねって思いました。
破綻した財政をなんとか立て直そうとしてる所、なんやかやで国王と王妃を尊敬していた感じが、良く描かれていたと思いました。
そして……(笑)まゆぽん、やっぱりオヤジ似合うねぇ(笑)……彼女の技量も素晴らしかったです。
親友として(詐欺)仲間として、しっかり足並み揃えていたシモンとジャックですが、貴族社会に「サン・ジェルマン」として着実に地位を確立するシモンに対して、虚飾にまみれ退屈を持て余す貴族たちに違和感を感じはじめるジャック。
彼は、国王とプロバンス伯の会話を立ち聞きしていまい、自分の生きる道はこれではないと、シモンと袂を分かつ事になるのですが。
その、二人のケンカ(言い合い)が、もぉ格好いい!あ、いや、とても良いんです。
お互いの気持ちがストレートで、ここまでに至った流れも違和感なく、二人とも納得いく考え方なんですよね。
「こいつならこう言うだろうな」って感じで。
だから、まぁ~切なかった。
自分の気持ちを分かってくれない、(大好きな)相手をもどかしく感じたりする所が。
みやるりとれいこちゃんの真剣な演技も、本当にたまりませんでした。
蛇足ですけど、れいこちゃんジャックの「おーまーえー!」
って言い方が、とてもとてもれいこちゃんらしく、時代がかってるのが……
本当にとことん雪組やなぁと思いました(笑)


そんな所も愛おしいです。れいこちゃん……









二幕では、それぞれがそれぞれ信じた所(シモンはアントワネットの傍に、ジャックは公安委員に)で頑張ってるんだけど、それでもお互い友情は失っていなくて。
ロべちゃんに、「サン・ジェルマン」の正体を聞かれてとっさに嘘をつき、後に「貴族」として粛清の対象になると言われた時には動揺しつつも「自分が必ず捕まえる」と言った、ジャック。
国王に、密告した裏切り者を問われても、迷いながらも「わかりません」と言い切ったシモン。
この友情が切ない……。
敵味方になったのに。
やっぱりお互いの事を思っているのが……
最早、ヒロインはジャック!?って位(笑)
……そういえば、原田先生……「白夜」の時も男同士の友情……とゆーか愛憎?前面な脚本だったねぇ。
あ、でも、最後までシモンの傍にいるのはアデマールだけどねー(笑)
あ、でも……あの展開だと……どうなんだろう……(笑)
その「最後」の場面……の一つ前(笑)
冒頭と同じ場所(シャンボール城)に、アデマールと逃げ込んでいたシモンを追って、来たジャック。
あんなにビビってたけど、色々あって肝が座ったのか、この時は全然平気なのが……成長したのねって思う落ち着きっぷりに、時の流れを感じました(そして上がりまくった男っぷり
に悶絶しそうでした(笑))。

そして、冒頭で出てきた召使テオドール。
ジャックが声をかけるとそれは、白骨化した遺体だった。
「じいさん……ずっと待っていたのか……」と、切なげにジャックが呟いたのが、この物語の全てが出てるかもと思う程、いい場面……セリフでした。
なんというか……。
シモンとジャックが出会ったテオドールは、既にこの世の人でなくて。
サン・ジェルマン伯爵を待ちわびていたテオドールに呼ばれ、サン・ジェルマンに瓜二つの(きっと波長とかも)シモンが引き寄せられたんだなと。
そして、それがこの物語の始まりだと。
そんな印象を抱く、ジャックのセリフでした。
サン・ジェルマンの居室で、芝居のセリフを呟いている、シモンとアデマール。
ジャックが来たのに気付いて、「貴族のサン・ジェルマン」として、公安委員であるジャックに捕まって処刑される覚悟を決めているシモン。
親友として、時代の寵児として宮廷でときめいた、サン・ジェルマン伯爵であったシモンを、自らの手で断頭台に送ると決めているジャック。
二人の引き返せない道に進んだ切なさが、もぉ、めっちゃ辛かった。
そして、捕縛される直前、アデマールの命乞いをするシモンに、固めていた決心を崩されるジャック。
正直、初見では、かなり泣いてました。
はいっ。
褒めるの、ここまで。
最後の最後にやってくれましたよ、原田先生(怒)
自分の事しか考えなくなったと思っていたシモンが、アデマールの命乞いをした事によって、ジャックは、元のシモンに戻ったと感じ、なんとか二人の命を助けようと考えた……んですよね、原田先生?
だから、「サン・ジェルマンは死なない、またどこかに現れる」って言ったのね。
その言葉で、ジャックに許されたと分かったシモン。
二人の和解がなって、安心するアデマール。
……そうそう、それでハッピーエンド。
そうそう。
登場人物が3人だけなら、それで話は片付くわよ

でも、よく考えて。
あの(馬鹿ではない)ロべちゃんから、どうやって二人を逃がすの?どうやってこのそっくりさん(てかある意味本人)を「サン・ジェルマン」の名前から解き放してあげるの?
呑気に歌ってる場合じゃないわよ!





全く。
ラスト5分で台無しにしてくれましたよ……原田先生……

アデマールとシモンの関係って、どう見ても「幼なじみ」以上のものは考えられない(設定であったとしても、そんな空気感じなかった)から、些かアレなんだけど、あの流れなら、死んどきなさいよ

なんとなく、ジャックの方がアデマール好きだったかも~って感じだったけど、二人でジャックの静止振り払って、階段の上から投身自殺するとか……ジャックが来た時には時すでに遅しで、服毒自殺とかして死んでたとか。
そっちのが絶対良かった

それか、(有能なはずの)ジャックが、城に火をかけて「居場所突き止めた時には、既に焼身自殺をしていて、確認出来ないほどに遺体が損傷していた」とか言って、テオドール(本物)の骨持って行って誤魔化して、二人を逃がしたら良かったのに。
とか、そんな所くらい(それがなんとなく想像出来る位)まで書いていて欲しかった。
そんで、(安全な場所……海外とかに行って)その後に、歌い上げて欲しかった!
ラストシーン(オチ)を、観客に丸投げすんなー

とても、とても素晴らしいフィナーレナンバーでしたが、ラストシーンのモヤモヤで、初見の日は、それが気になって……気もそぞろでしたよ

とはいえ、今までにないフィナーレの振り付け(振付・良知真次先生)と、れいこちゃんの投げキッス(それも2回!)にクラクラしましたよ。
ええ、それはもちろん……。
でも。
私ね……。
原田先生ったら、一本物なら素敵な脚本書いてくれると信じていたのに……。
こんな、ご都合主義的ラストなの?
納得いきませんでしたよ。本当に。
切ない……(笑)
それでも、演者はみんなすごく良くて。
本当に素晴らしかった。
そうそう。
一幕のテオドール(本人)、香盤表見るまで誰かわかりませんでした(笑)
びっくりしましたね。
とても良かったです。
とりあえず、こないだのDVD撮りの時、一寸脚本変わったらしいのです。
どう、改良されたのか楽しみです。
頼むよぉ……原田先生……。
二日分の思いを盛り込み過ぎて、恐ろしい長文になってしまいました。
最後まで読んで下さってありがとうございました。