めちゃくちゃハマった「星逢一夜」。
公演も8回程観たんですけど、DVDで何十回と見返したので本公のキャストの演技がすっかり脳にインプットされてしまっているイナバ。

開演アナウンスから、いちいち違うれいこちゃん(月城かなと)や、新公キャストの芝居に目を見張りました
フツーね、見慣れたものと違うとマイナスに思うじゃないですか。それも気に入ってる奴なら尚更。

なのに、こーゆー演じ方もあったか!こんな(キャラへの)アプローチがあったか!と、膝を打ってしまうなんて。

新人公演……ですよね?
なんて……なんてレベルの高い……。

や、技術的にはまだまだの所とか、本役さんに追いついてない所とかそりゃありますけど、一つの作品として普通に観られる……や、それは当たり前かもしれないけど……なんて言ったらいいんでしょう……本公演とは違う作品として感動出来たというか……。

ま、一言でいうとめちゃめちゃ良かった!って事なんですけどね。


れいこちゃんの紀之介は、大人になった時と同じメイクとは思えない位に、真ん丸お目目で(笑)意外に喜怒哀楽が顔に出てる子でした。

江戸に上がってすぐも、そのまま素直で。
ちぎ(早霧せいな)の紀之介より我が強いというか、自分の言葉を否定されてムッとしてるのが顔に出てるのが可愛い(笑)

それにしてもこの上矢印顔、そーちゃん(壮一帆)そっくり(笑)


泉に再会した時も、自分の動揺とか想いとかほぼ隠さない感じで。



大人になって、感情をあまり顔に出さない様になった紀之介改め晴興でも、なんか表情に出てる気がする。
冷徹な「老中さま」になってはしまったけど、中身は昔のままなんだろうなぁとか思ってしまう。

意外に熱い人だと思うわ、れいこちゃんの晴興は。



源太との一騎討ちでも、こんなに顔が歪むほど辛そうで。
吉宗のため、国のため、ひいては蛍村の遠くなった友人のため、一生懸命己を殺して生きて仕事をしていたんだと思う。

なのに、上手くいかなくて。

この時になって初めて母に言われた「あの子らとお前の生きる道は違う」って言葉の意味が分かって。
辛くて辛くて。


この道をこのまま生きる事が出来なくなる程に、(自分で決めてやった事だけど)心が折れてしまった晴興の切なさが、めちゃくちゃ顔に出てるなぁと。




吉宗に沙汰を下されるところも、この苦しみから開放される安堵が溢れた顔をしていたと思います。
大好きな吉宗に、分かってもらえたって喜びもある感じにも見えました。




泉に対して想いを打ちあける所も、こう……年齢を経て淘汰された……それでも捨てられなかった想いっていうより、押し殺して押し殺して……一生懸命蓋をしていた想いが、耐えきれずに溢れ出てきたって感じがしました。

この……抱きしめ方といい、表情といい……。
熱い……というか若い感じがするのです。


いつもは、ちぎと比べると落ち着いていて、ともすれば年上に見えるくらいのれいこちゃんだけど、この晴興に関しては、ちぎより若い役作りになっていたと思います。


本当に別物の、でも「違うくない」晴興像を構築したれいこちゃんったら凄いと思いました。

れいこちゃんだけでなく、本当に組子全員良かったんですけど。


秀逸な新人公演でした。






ま、れいこちゃんが着ていた袴の丈が一寸半程(4~5cm位)短かったみたいで、たまに素足チラ見してたのが……残念といえば残念だったかな(笑)ちぎとのタッパ(身長)の差がここに出ましたねー。