ウタコさん、ミミさんのイメージが強く残ってるので、見る前は「どうかなー」って感じだったんですけど。
いい具合に別物感を受けました。
なんかねー。演出がステキ!
やっぱりタクジーって、色彩感覚が素晴らしいというか、平安絵巻上手いというか。ホントすごかった。
それにしても、この脚本、ものすごく「平安絵巻」なのよね。
流れはキレイし、要所要所ちゃんと押さえつつも、詰め込み感も走った感もない。
光源氏という主役がいるにもかかわらず、誰を主にして観たらいいのか分からないくらいにきらびやかで・・・。見事に誰に感情移入していいかわからないままに、終わっちゃいました。
ま、正直「源氏物語」って嫌いなので(というか、光源氏の人間性が嫌い)、どうやったって感情移入出来ないんだけどね。
と、いつつ。
前回のを観た10代の私では理解できなかった、女君たちの思いみたいなモノが、今回はしっとり感じられて、「源氏物語、奥が深い・・・。」と感じました。
光君に関わった女君たちこそ、主役なのかなと。
そう考えると、藤壺も、紫も、六条の御方も、朧月夜も・・・みんな生き生きとしてきた。
もう一回観たら、ちゃんと楽しめたかもしれないなと、思った。
しかし・・・。
特筆すべき、柚カレーの、「六条御息所」!
びっくりした。
あんな・・・あんな色っぽいなんて・・・。
ヅラは、イマイチ・・・と感じたけど(笑)
私は、「声」に落ちることが多いんですけど、あの柚カレーの「女声」には、やられたーI
「困らせて差し上げましょうか?」とか、「嘘は、口説ほどお上手ではありませんね。」とか。
なんか、年上のいい女の余裕が出てるIよー。
たまらんーと思ったわ。
で、さすが男役ってのかなー、あの長袴で上手から下手にザザッと走ったのには、たまげた。
ある意味、格好良かったよ(笑)
藤壺のかのちゃんも、予想外にいい出来でびっくりした。
ミミさんの言い方とかが、しっかりインプットされているので、「お、言い方違う」とか「あ、こう来ましたか」って思うとこがあって。それが、「なかなかに良い」というか、「私好み」なんですよねー。
ほんと、びっくりした(笑)
同じ感じでびっくりしたのが、紫のべーちゃん。
いやいやいやいやいやいや・・・。
感服いたしました。
どーしても、りんりんのイメージ強かったんですけど、いい意味で違うくて。て、いうか、方向性としては一緒なんだけど・・・りんりんの紫より若い感じがしたな。一寸可愛い(笑)惟光を、光君の女君問題のことで困らせるところが、かなり可愛かった。
こりゃ、光君でなくても、惚れるわよって女性だわね。
そして、朧月夜(蛇足だけど、「おぼろづくよのきみ」って発音してましたよね。月読命「つくよみのみこと」と同じだわと。昔の発音なのかな)。
これは・・・色っぽい・・・
とんちゃんもたいがい色っぽかったけどねー。そういえば、とんちゃんとゆきちゃんって、キャラ似てる気がする。
葵のじゅりあも、年上女房感出てて良かった。
車争いから、六条にとり殺されてしまうくんだりが演出変わってて、びっくりしたけど、まぁ、よかった。
じゅりあの高笑い、聞けて安心した(笑)
・・・なんか女君ばっかり書いてるなぁ。
光君は、以上の理由で、ある意味印象に残らない感じだったんだけど。
これって、いいことかも知れない。だって、見てていらいらするのよ、「光源氏」って男が。
マザコンだし、自分が世界回してます的な自己中だし、身分と顔が一寸いいからって女なめてるし
でも、みりおの光君にはそこまで怒りを感じなかったのよねー。
やってること一緒なのに。
一生懸命っていうか、女性一人一人に真剣な感じがするからかな。
月組で「夢の浮橋」やっていたからか、所作事とかお裾のさばき具合がスマートだと思いました。
ラストはとても美しかったですね。
惟光は、以前と違ってずっと出てるので、初め狩衣姿で殿上出来ない身分って感じだったけど、最後には、束帯着て、殿上人に位が上がったのねって。
ききちゃんの束帯姿が・・・惚れ惚れするほど格好よくて。烏帽子じゃなくて冠ってのも、格好いいなぁとか思って。やっぱりタクジーのセンス好きだー(笑)
光君にも紫にも、いい感じで振り回されてる感がサイコーに可愛いです。
男君で、一番印象に残ったのは、実は頭中将(笑)
わぉ、あきらー!って感じです。
今、あきらって、花組でのポジは「別格二番手」って感じなのかしら?
いいお役で、ぴったりでしたね。
「あさきゆめみし」の金髪の頭中将(それも、そーちゃん版)のイメージが強くて、もっとちゃらく演じるかなとか勝手に想像していたのですけど(笑)手堅く来ましたね。
ステキでした。そんなに「ライバル」感は感じなかったけどねー。
あと、ある意味印象深かったのが、右大臣のたそ(爆)
見たとき「マヤさんそっくりー!」と、一人爆笑してしまいました。
うへー、すごすぎ!
しかし、あれですな。京三紗さんの弘徽殿(以外に可愛かった)相手に、ちゃんと「父親」に見えるのがすごすぎだなぁ。
いい役者さんになったよなぁ。
こういう人を、大切にして下さい。
意外に残念な使われ方をしていたのが、夕霧のちなつちゃん。
えええっ?これだけなの?ってキャスト決まったときに思ったけど、やっぱり少なすぎだよねぇ。
や、とってもステキな見応えある青海波でしたけどね。
もったいない・・・。
劇団は、彼女をどうしたいんだ・・・と思わずにはいられませんね。
うん。
やっぱりもう一回見た方が良かったかなって、この期に及んで思ってしまいました。
この脇息にもたれかかっている感じが「光君」って感じ(笑)
高坏に載っているガラスの杯や水差しなんかが、高位の貴族感を出していて、「さすがタクジー。」と、うならずにはいられません。