ネタばれです。
ごめんなさい。感想書こうとしたら、あらすじに触れないわけにはいかなくて・・・
とにかく、幕開きから美しかった。
闇夜のなか、笹の葉に付いた蛍の光が1つ光り、二つ光りと段々増えていき、舞台一杯に広がると天の川になる。
流れるよう様な星屑たち。
プログラムを見ると、けっこうな人数がこの役やっている。
その人数が笹両手に持って踊るんだから、そりゃ圧巻の星の海になるわな。
その流れの中に立つ、紀之介@ちぎ、泉@ゆうみ、源太@だいもん。
この叙情的に美しいプロローグですでに、キュンとしてまう
子供たちの可愛いながらも、シビアな時代に生きているたくましさ。
三人の出会い。
身分を越えた友情。
淡い想い。
そして、突然の別れ。
時を経ての再会。
よみがえる想い。
すでに子供でないことを自覚して、それぞれの想いを絶つ。
更に時は流れ、完全に住む世界が変わってしまった三人。
避けることが出来なかった別れ。
押さえきれなかった想い。
断ち切るしかない想い。
子供のころの楽しかった、なにも気にせずに笑っていられたあの頃が愛しくてたまらない。
見上げると、その時と変わらずに瞬く、満天の星空。
しみじみと、しみじみと心に染み入る人々の想い。
美しい情景とともに、観ているものの涙を誘う。
九州の小藩という設定のその舞台は、うっそうと木々が繁る、緑豊かな山々に囲まれている。
上手下手は中割りの幕の様に稼動する、深い木立のセットを、時々に合わせて出し入れして、奥は山々を書き割りではなく、ドロップで表現している。
「海を見たものはいない」とか「山の峰ぎりぎりに出る星を見るのに櫓建てる」とか、海が身近なところに住んでいる私には、想像もつかないのだけど、きっとこういう感じなんだろうなと、思った。
そう言えば、山間部って、日照時間短いのよね。
これだけ山に囲まれてたら、なるほどねって素直に感じる。
地には色とりどりの野草が、咲いている。
書き割りではなく、こんもりとした草花の塊が何ヵ所かに配されていて、おてんばな泉がピョンと飛び越えたりする。
奥行きが出て、リアルさも出るいい表現だと思う。
二階席から観ても、すごくいい感じなので、一階からも、観てみたいと思う。
藩主の次男、それも側室の子である紀之介は、世継ぎである兄が急逝するまで、この山深い国で、大好きな星を見て暮らしていた。
村の娘、泉とその幼馴染み源太は、共に父親を一揆で亡くしていて、苦労しながらも村の人たちと寄り添い生きている。
身分のあるものは、その立場に縛られて思う通りに生きてはいけない。
身分のないものは、自然に立ち向かい、圧政に耐え、歯を食いしばって生きていくしかない。
晴興と泉、そして源太の恋が主軸の話だけど、立場の違う者たちの悲劇というか、どうにもならないものに耐える気持ちとか、そういうものがとても大きくて・・・。
すごく切ない。
この物語では、主人公が10才の時から32才になるまでが描かれている。
もちろん、時間がぽんぽん飛ぶのだけど、何故か違和感がない。
十才で知り合い、三年を共にした子供たちも、七年の時を経て、仲間内では子が出来る者もいる。
泉も心では晴興(紀之介)を忘れられずにいながら、ずっと自分を想い続けていてくれた、源太と祝言を挙げることになる。
晴興と泉が再会して、思いがよみがえったのを知り、源太は「俺はいいよ。泉を嫁にもらってやってくれ」と、土下座までして晴興に頼む。
源太と泉の、紀之介と別れての七年間が察せられる。
きっと、晴興が去って泉は彼を諦める努力をて、殊更に明るく振る舞っていたんだろうな。きっと、皆は「紀之介への気持ちは思い切った」と思うほどに。
でも、ずっと泉を見つめ続けていた源太には、それがわかったんだろうな。
で、ずっと待っていたんだろうな。
でも、やっぱりそうはいかなくて。多分、村での立場とか、母の事とか。
で、全て飲み込んでお嫁に来いと、言ったんだろうな。
とか。
あの土下座で察してしまえる。てか、瞬時に想像出来る。
晴興の方も、七年の間に立場が変わり、大人になった。
田舎者の晴興が、将軍にお目通りした時は、天文方筆頭の猪飼とはかなり位に差があったのを、次の場面では呼び捨てにして従えている。
それを「江戸で出来た友人はお前だけだ」というセリフひとつで、観客が察してしまえるすごさ。
それ故、泉を愛していながら泉の想いを知りながら、そんな源太に託す。
出会ったときには、晴興を「山中のかかしさん」と言っていた貴姫が、後に晴興に嫁し、夫のために彼女なりの愛情で尽くすとことか、二人の間に、いい時間がそれなりに流れたんだろうなと(貴姫的に・・・だけかもだけど・笑)
お衣装ででも、時間の変化が出ていて。
晴興は、子供時代、生地はいいんだろうけど、農民とあまり変わらない着物を着ている。多分、妾腹の次男だから。次に出てきたときは
十三才。元服前の袴姿で、跡継ぎになることが決まって、小太刀も持っている。
そして将軍拝謁の時、晴興が着ていた裃は、上下違うものだった。多分、財政的に新しいのを誂えられなかったのかなと。
次に着ていた裃は、家紋もしっかり入った身分に相応しい誂えで。
老中になった時には、長上下(ながかみしも)で出てくる。
最後の裃姿も、地位も上がり、年齢もそれなりにとった大人の拵えに見える。
老中になってから、ちゃんと武家髷になってるし。
泉も、子供らしい小袖から、娘盛りには晴れ着を着せてもらい、母になってからは、渋目の色の小袖を着ていた。
星観の櫓も、時の経過をうかがえる小道具(や、セットだけど)だと思った。
子供たちが力を合わせて作った櫓。
危なっかしいけど、柵とかはしごとかもちゃんと付いている、立派なもので。
三年の間に仲良くなった子供たちが、わんさか乗ってもびくともしない頑丈な櫓。
晴興が江戸に上がった後、子供たちも大人になり、頻繁にそこから星を見上げる者も減ったんだろうな。
少しずつ増えていく雑草、延びていく蔦、なくなっていくはしごや柵の手すり。
晴興が江戸で推し進めている政策の為に、重い税と飢饉に苦しむ源太たちには、修理する余裕も、見上げる気力もなくなったのかもしれない。
晴興と村の人たちの、離れていく心のようにも見えるな。
あの雑草が生えている櫓がたまらなく寂しかった。
そして、二人の最後と、物語の最後がこの櫓だったってのに、涙が止まらないい。
変わっていくもの、変わらざるをえなかったもの、変わることがなかったもの。
それがここにある。
そんな思いがした。
ああ、舞台機構とかそういう所を書こうと思っていたのに、色々書きたいことが出てきて、まとまらない・・・
続きは、次回!

ごめんなさい。感想書こうとしたら、あらすじに触れないわけにはいかなくて・・・

とにかく、幕開きから美しかった。
闇夜のなか、笹の葉に付いた蛍の光が1つ光り、二つ光りと段々増えていき、舞台一杯に広がると天の川になる。
流れるよう様な星屑たち。
プログラムを見ると、けっこうな人数がこの役やっている。
その人数が笹両手に持って踊るんだから、そりゃ圧巻の星の海になるわな。
その流れの中に立つ、紀之介@ちぎ、泉@ゆうみ、源太@だいもん。
この叙情的に美しいプロローグですでに、キュンとしてまう

子供たちの可愛いながらも、シビアな時代に生きているたくましさ。
三人の出会い。
身分を越えた友情。
淡い想い。
そして、突然の別れ。
時を経ての再会。
よみがえる想い。
すでに子供でないことを自覚して、それぞれの想いを絶つ。
更に時は流れ、完全に住む世界が変わってしまった三人。
避けることが出来なかった別れ。
押さえきれなかった想い。
断ち切るしかない想い。
子供のころの楽しかった、なにも気にせずに笑っていられたあの頃が愛しくてたまらない。
見上げると、その時と変わらずに瞬く、満天の星空。
しみじみと、しみじみと心に染み入る人々の想い。
美しい情景とともに、観ているものの涙を誘う。
九州の小藩という設定のその舞台は、うっそうと木々が繁る、緑豊かな山々に囲まれている。
上手下手は中割りの幕の様に稼動する、深い木立のセットを、時々に合わせて出し入れして、奥は山々を書き割りではなく、ドロップで表現している。
「海を見たものはいない」とか「山の峰ぎりぎりに出る星を見るのに櫓建てる」とか、海が身近なところに住んでいる私には、想像もつかないのだけど、きっとこういう感じなんだろうなと、思った。
そう言えば、山間部って、日照時間短いのよね。
これだけ山に囲まれてたら、なるほどねって素直に感じる。
地には色とりどりの野草が、咲いている。
書き割りではなく、こんもりとした草花の塊が何ヵ所かに配されていて、おてんばな泉がピョンと飛び越えたりする。
奥行きが出て、リアルさも出るいい表現だと思う。
二階席から観ても、すごくいい感じなので、一階からも、観てみたいと思う。
藩主の次男、それも側室の子である紀之介は、世継ぎである兄が急逝するまで、この山深い国で、大好きな星を見て暮らしていた。
村の娘、泉とその幼馴染み源太は、共に父親を一揆で亡くしていて、苦労しながらも村の人たちと寄り添い生きている。
身分のあるものは、その立場に縛られて思う通りに生きてはいけない。
身分のないものは、自然に立ち向かい、圧政に耐え、歯を食いしばって生きていくしかない。
晴興と泉、そして源太の恋が主軸の話だけど、立場の違う者たちの悲劇というか、どうにもならないものに耐える気持ちとか、そういうものがとても大きくて・・・。
すごく切ない。
この物語では、主人公が10才の時から32才になるまでが描かれている。
もちろん、時間がぽんぽん飛ぶのだけど、何故か違和感がない。
十才で知り合い、三年を共にした子供たちも、七年の時を経て、仲間内では子が出来る者もいる。
泉も心では晴興(紀之介)を忘れられずにいながら、ずっと自分を想い続けていてくれた、源太と祝言を挙げることになる。
晴興と泉が再会して、思いがよみがえったのを知り、源太は「俺はいいよ。泉を嫁にもらってやってくれ」と、土下座までして晴興に頼む。
源太と泉の、紀之介と別れての七年間が察せられる。
きっと、晴興が去って泉は彼を諦める努力をて、殊更に明るく振る舞っていたんだろうな。きっと、皆は「紀之介への気持ちは思い切った」と思うほどに。
でも、ずっと泉を見つめ続けていた源太には、それがわかったんだろうな。
で、ずっと待っていたんだろうな。
でも、やっぱりそうはいかなくて。多分、村での立場とか、母の事とか。
で、全て飲み込んでお嫁に来いと、言ったんだろうな。
とか。
あの土下座で察してしまえる。てか、瞬時に想像出来る。
晴興の方も、七年の間に立場が変わり、大人になった。
田舎者の晴興が、将軍にお目通りした時は、天文方筆頭の猪飼とはかなり位に差があったのを、次の場面では呼び捨てにして従えている。
それを「江戸で出来た友人はお前だけだ」というセリフひとつで、観客が察してしまえるすごさ。
それ故、泉を愛していながら泉の想いを知りながら、そんな源太に託す。
出会ったときには、晴興を「山中のかかしさん」と言っていた貴姫が、後に晴興に嫁し、夫のために彼女なりの愛情で尽くすとことか、二人の間に、いい時間がそれなりに流れたんだろうなと(貴姫的に・・・だけかもだけど・笑)
お衣装ででも、時間の変化が出ていて。
晴興は、子供時代、生地はいいんだろうけど、農民とあまり変わらない着物を着ている。多分、妾腹の次男だから。次に出てきたときは
十三才。元服前の袴姿で、跡継ぎになることが決まって、小太刀も持っている。
そして将軍拝謁の時、晴興が着ていた裃は、上下違うものだった。多分、財政的に新しいのを誂えられなかったのかなと。
次に着ていた裃は、家紋もしっかり入った身分に相応しい誂えで。
老中になった時には、長上下(ながかみしも)で出てくる。
最後の裃姿も、地位も上がり、年齢もそれなりにとった大人の拵えに見える。
老中になってから、ちゃんと武家髷になってるし。
泉も、子供らしい小袖から、娘盛りには晴れ着を着せてもらい、母になってからは、渋目の色の小袖を着ていた。
星観の櫓も、時の経過をうかがえる小道具(や、セットだけど)だと思った。
子供たちが力を合わせて作った櫓。
危なっかしいけど、柵とかはしごとかもちゃんと付いている、立派なもので。
三年の間に仲良くなった子供たちが、わんさか乗ってもびくともしない頑丈な櫓。
晴興が江戸に上がった後、子供たちも大人になり、頻繁にそこから星を見上げる者も減ったんだろうな。
少しずつ増えていく雑草、延びていく蔦、なくなっていくはしごや柵の手すり。
晴興が江戸で推し進めている政策の為に、重い税と飢饉に苦しむ源太たちには、修理する余裕も、見上げる気力もなくなったのかもしれない。
晴興と村の人たちの、離れていく心のようにも見えるな。
あの雑草が生えている櫓がたまらなく寂しかった。
そして、二人の最後と、物語の最後がこの櫓だったってのに、涙が止まらないい。
変わっていくもの、変わらざるをえなかったもの、変わることがなかったもの。
それがここにある。
そんな思いがした。
ああ、舞台機構とかそういう所を書こうと思っていたのに、色々書きたいことが出てきて、まとまらない・・・

続きは、次回!
