私の初見は、ウタコさん×ミミさんVer.だ。
実際にバウで観たのか、「花の指定席」の画像だけだったのか・・・どうも記憶が曖昧なので断言できないのだけど、ともかく、学生の頃に観たのを覚えている。
歌舞伎の、所謂「和事」な作品である「冥途の飛脚」の主人公亀屋忠兵衛は、正しく「へたれ」で(笑)
ウタコさんのそれは、もぅ、どうしようもないくらいへたれで、ボンボンで、でも如才なくって愛嬌がある。
とってもチャーミングな人でした。
ミミさんの梅川は、可愛いんだけど色っぽくて、忠兵衛がべた惚れするのわかるわぁ~って感じだった。
たしか、八右衛門さんは桐ちゃん。
(蛇足ですが、桐ちゃんというと5月に元音校でのコンサートに出られるんですよね。ともちんと←ここが言いたいだけ・笑)
ステキだった。
で、前置きがとっても長くなったのですが、そーちゃんの「心中・・・」だ。
一言でいうと「予想通り!」
や、良い意味で。もちろん。
そーちゃん率いる雪組で、和物の「心中・・・」やって悪い訳がないし、絶対良いはずだ。
その上、今回は、(歌手カウントの)まっつがいる!
そう思っていたからの、「予想通り!!」
私的に・・・というか、大体の方のイメージとして、そーちゃんは「陽の人」で、「俺様キャラ」で「ドS」な訳で(笑)
キャラでいったら、正直「永遠のヘタレ」な忠兵衛は、似合わないんじゃないかなぁとかも思ったみたんだけど・・・。
髷もね、そーちゃんには「武家髷」のが絶対似合うと思っているので、町人髷の忠兵衛って・・・って思ったのも一寸ある。
どうせなら、脚本をけーこ先生か、久美子先生か、タクジーが新たに書く「忠臣蔵」なんていいんじゃないかなとか思った。あ、もちろん、キャスト少なめ版で(笑)
しかーし!
いやいやいやいや・・・。
そーちゃんの忠兵衛は、ただのヘタレではなかった!!
ところどころに「俺様」と「ドS」がちりばめられていて、ちゃんと「壮一帆の忠兵衛」になっていた。
自分のとこの使用人に対してや、梅川や親友八右衛門に対してのとことか。
死出の旅路も、「生きるために」って言葉に真実味を感じたわ。
や、死ぬんだけど、そーちゃんの忠兵衛なら、本当に山越えとかしそうだったから(笑)
同じ台本なのに・・・面白いなぁ~って。
そして、あゆっちの梅川。
ははは。
なんて可愛いお女郎さんなんでしょぉ~って思った。
そんな長い事苦界に身を沈めていないってか、後ろにいた禿ちゃんたちとそう変わらない年齢?って思った。
や、可愛いから(笑)
そりゃ忠兵衛、メロメロになるわなぁ~って感じ(笑)
正直、忠兵衛の何処がそんなにいいのかわからんけど(爆)、一生懸命慕っていて、尽くしてて。
「信じてくれへんのやったら、のど突いて死にます!」って言うとこなんかは、若干「本気ちゃうな」って思わないでもなかったけど(笑)
新口村のくんだりは、さすがにもらい泣きしてしまった。
や、もちろんゆうちゃんさんの重厚な演技と、窓格子越しに実父を食い入るように見つめる、そーちゃんの無言の演技があってこそかもだけど。
ものすごく若いのに、義父になるおじいさんに(それも、お互い分かっていながら名乗れずにいるのに)、色々酷い事言われて、泣きながらも必死に尽くしてる姿のいじらしい事・・・(涙)
きっと、孫右衛門も出会いがこうでなかったら・・・って思ったんじゃないかな。
雪山に分け入っていって、段々衰弱していく姿は、はかなげで、でも、一生懸命でとってもよかった。
二人(そーちゃんとあゆっち)の、普段の姿を見てる気がしてね。
・・・退団発表の後だから、色々ダブって、更に身につまされてしまった。
そして、今回ある意味一番観たかった、まつださん。
まっつが、心中チームに入るって聞いたときから、「絶対八兵衛やって欲しい。てか、それ一択だよねぇ」って思っていた。ラストのあそこで、がっつり歌い上げて欲しかったから。
なんて格好良い・・・。
素晴らしい歌声でした。
そして、それ以上に、そーちゃんとの親友っぷり、親友思いっぷりに・・・一緒に行った友人と・・・萌えました(爆)
あんな・・・あんな色々必死なまっつ・・・いつもクールなイメージのまつださんが、焦って、声を荒げて、走り回ってなんて・・・。
なんて眼福(爆)
ところで、松田さんは、ネイティブの大阪弁を話せます。
なのに、「エセ大阪弁」にしか聞こえなかったんですよね。
途中から、ちっょと気になってしまうほどに・・・。
で、感動して泣きながらも、ちょっと考えてしまいました。
・・・そうだ。言葉(台詞)が、大阪弁じゃないんだと気づきました。
つまり、イントネーションは、大阪弁なのに、言葉が標準語、もしくは大阪弁らしくした標準語であるということです。
顕著に感じたのは、新口村で、忠兵衛たちを追おうとしていた、飛脚宿衆に「二人をにがしてやってくれないか」と頼むところ。
「○○してくれないか」って、大阪弁じゃないですよね。
「○○したってくれへんか」がしっくりくると思うんですけど。
てか、もろに「船場言葉」の商人で時代設定なのに、なんでこんなチュート半端な事をしたのだろうと・・・。
菅沼先生が、関西出身じゃないからだからかもだけど、谷先生・・・関西じゃないのかなぁ(そうだと思い込んでいたのだけど、調べたらわからなかった)。
こういう所は、変更してもいいとこだと思うんだけどね。
ほんと、それだけ残念でした。
そーちゃんは、フツーでしたねぇ。
変換していたんですかね。
あ、あゆっちは、よくがんばっていたと思います。
後、気になった方々・・・。
せしこ!!
せしこ、せしこ!!
美しすぎるっっ!
本当に・・・。
マジで二度見しました。
何回か書いているかも知れませんが、正直、女役に転向したときは、「今更どーすんねん」って感じだったんです。
せしこの男役格好良かったし。
それが、段々チャーミングに愛くるしく、美しくなってきて・・・。
いやぁ・・・ステキでした。
太夫の時も、もちろん色っぽくて良かったんだけど、身請けされて大門をくぐって出るときの、かわいらしさったらなかったな(笑)
ちゃんと好きな人に身請けして貰ってよかったなって。
この「かもん」の幸せが、幸せであるほどに、梅川の不幸が引き立つ訳で・・・。
とても良かった。
で、ほたて。
ええわぁ。
以前、ブラックジャック見て(映像)、なんていい役者だ!って思ったんだけど。
前回のShall weでも、とってもいい味出していて、若手の中では、演技派だと思っているのだけど。
いや~、よかった~。
忠兵衛の良き右腕って感じよねぇ。
出過ぎることはしなくて、でも、ちゃんとフォローはしていて。
忠兵衛が養子に入る前から、ずっと亀屋に奉公していたんだろうねぇ。
落ち着いた、いい番頭さんでした。
ただ、新口村の旧友役は、・・・キャスティングとして(なので、ほたての落ち度ではない)、あかんわな。
なんで与平を名指しして連れてきたのに、番頭さんまでここにいるのさ?って思ってしまったから。
尻っ端折りした位じゃ、キャラ分け出来ないって。
それも、一場面だれ、台詞もろくすっぽないんだもの。
「わかるかー!」って感じ。
後、月城くん。
さすがの95期・・・。
びっくりするくらいお歌上手い・・・。
この上手さがあったからの、この役だったのかな。
いやいや・・・先が楽しみですわ。
けっこう今回、歌の場面がそこそこあったんだけど、全体的に、歌上手さんが多いなぁと思った事にびっくりした(笑)
だって前回のショーでは、全く思わなかったから。
・・・ということは、ここら辺の歌上手さんを、ショーで使ってなかったってことやね。
もったいない!
是非、次回は使って欲しい。
歌手担当と、ダンサー担当と分けちゃったらいいと思うぞ。
残念な人に、無理に歌わせることないと思うし。てか、同じお金払うなら・・・げふん、げふん。
得意分野ある子を抜擢して使うのも、アリだと思うし。
ぜひ、考えて欲しいモノである。
で、脚本・演出上でどうしても気になった事を、最後に書いておこうと思います。
まず。
歌上手さんの美声を長めに聞けるのでアレなんですが、歌のナンバーが長すぎる。
そして、歌詞が意味もなく繰り返している(一番を2度も3度も繰り返すような・・・)あれは、どうにかならないモノですかね。
間延びするし、見ていて疲れるし、芝居が止まるので、はっきりいってジャマ。
それも、今回、変装した飛脚宿衆が、一人一人見せ場のように出てくるから始末に困る。
バレエとかの発表会みたいだと、最初思った。
なんか、ほんと・・・あの場面はいったんかいなって・・・。
で、その流れでなんだけど、その飛脚衆が逃げていた忠兵衛に追いついて、取り囲むとき。
なんでほぼ大刀を持ってんの?あんたら、「商人」やよねぇ。って疑問に感じた。
ものすごい大商人だったら、「名字帯刀」許されていても頷けるけど、みんな、そこまでのご大身ってわけじゃないよねぇ。
名前、屋号だし・・・。
これを見たとき、「そう言えば、初見の時、あの人たちを飛脚衆が雇った忍」とか思ったのを思い出した(笑)
なんであそこであれ(大刀)を持たせたのか、知りたいなぁ。
まさか、あれは「長ドス」とか言わないでよ~。渡世者になっちゃうから(笑)
とても効果的だなと思ったのが、ホリゾント。
墨汁でやったマープリングみたいな背景に、二人の不安とか、不幸せな流れを感じて、なかなかいいなぁと思った。
あの雪山のセットもすごかったし(なんか、スタッフが大慌てで作り込んだとか・・・)、楽しかった。
本当に、観られてよかった。
ステキな気持ちになれて、本当によかった。
次は、本公やね。
最後なのがむちゃくちゃ寂しいけど、一生懸命応援して見届けたいなと思います。
・・・二人が退団したら、「和ものの・・・」って誰が引き継いでくれるんだろう・・・。
この写真、本当にキレイわぁ・・・。