若い先生だよね。


本人がどう思っているかわからないけど、「宝塚らしくないけど、もの凄く宝塚らしい作品を作ろう」としていると思った。


初演は見ていないので、どこがどう諒先生の演出なのかとかは分からないけど、色々な所に新しさを感じた。

でもね、宝塚としての「品」はあると思う。


ま。

一番分かり易かったのは、舞台セット。

宝塚初参加の先生が舞台美術担当しているらしいんだけど。


舞台奥、下手から上手に桟橋っぽく伸びて、上手で手前で階段になっている高いセット。

そして、下手センター寄りから、階段で少し上がって下がってした桟橋が上手奥に続いていて。


その向こうに広がる、ホリゾント1/3位を占めている海の描き割り。

・・・最初、ブルーに塗っただけの描き割りに「え?一寸安っぽくない?」って思ったんだけど、もちろんそれだけなんて事はなく、波を照明で当てててもの凄く雰囲気が良かった。

奥の桟橋が、ホリゾントを分断していて、ぱんっと抜ける状態で見るより、よりリアルに南国の砂浜な感じがした。


で、手前に可動式の桟橋が出て、場面によってハケさしたりするんだけど、そのハケるのを男役達が基地の土木作業をしているかのように転換させていく。


素晴らしい!!


完全暗転ではなく、奥とかがうっすら明るくて、もしくは明転では役者が転換してくれるってのが私は好き。

その上、「芝居の延長」でってのがいい。

見ていて、意識が途切れないから。


で、その手前の桟橋が、桟橋としてだけでなくて、司令部の一室の延長とかになるのだけど、部屋のセットが、それだけ見たら、「なんでこんなに高い位置に床があるの?」って思うんだけど、桟橋とドッキングしたら丁度良い高さになって。


見やすい!!


ドラマシティーは、遠浅のすり鉢状の客席で、前の方の傾斜は緩やかな分、前の席との差があまりなくて、一寸座高の高い人が座ったら、良い場面まるっと人の後頭部凝視ってことにもなるのだけど・・・(笑)

その段差があるおかげで、ほとんどの場面、前の男性の後頭部を避けて見なくてもすんだよ。


もの凄く、画期的に素晴らしいと思った。ほんと。



バリ・ハイの場面も、やしの木を半回転させて、キラキラした方にして同じ素材の吊り物降ろして、後ろの桟橋などをそのままにしつつ、まったく違う場所にしていた。

娘役がフラを踊りながらやしの木を回転させていたのが、なんだかすごくキレイだった。


そう。

劇場に入ると緞帳が上がっていて、やしの木と道標が砂浜に立っていて、浮き輪なんかも置いている。

降りている中幕も、木陰なシルエットが映し出されていたし、波の音と鳥の声が聞こえてきて、ものすごく雰囲気がよかった。



アメリカの話なので、みんな英語を話している。

ので、英語の所は日本語に変換されている。

ので、それ以外は「外国語」なわけで。

主人公、エミールはフランス人。

ポリネシアのこの辺りは、フランス領なんだな、地元の人もフランス語なら話せる(英語はダメな人が多い)。

なので、エミールの家族(子供達と使用人)や、ブラッディ・メリーの娘はフランス語しか話さない。

で、その人達に対する人も、フランス語を話す。

・・・字幕なしで(笑)

それがすごく格好良いというか、ものすごく自然で・・・。

私は、ちゃんとヒアリングも出来ないし、何言ってるのか分からないけど、なんとなくわかるのねぇ・・・。

ラストの、ネリーがエミールの子供達と英語(日本語)とフランス語で、コミュニケーション取っている場面がものすごく感動した。


その後の、大真面目な笑える演出も最高だった。


一つだけ、残念だったのは、フィナーレが付いていなかったこと。


・・・風ちゃんのデュエットダンス、観たかったわ。



諒先生。


これからが楽しみな先生だわ。

ホント、ありがとうございました(何が?)


役者衆の感想は、次回に持ち越し~。



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