壮一帆は、和物の役者だ。
と確信した。
こんなに武士髷似合う人もめずらしい!
一緒に観ていた友人に言わせると「まるで生えているかのような髷姿だ」と(笑)
頭の形がいいのかな。
すっきりとりりしい。
元服前の、前髪姿もかわいらしさの中に、成長期の少年らしさが見え隠れしていて、よかった。
そしてなにより、袴が似合う。
普通、袴の似合う定義は、「お腹が出ていて短足」だというが、細身の足長さんだって、これだけ似合う人がいるのだわ。
単に、腰の落とし方というか、姿勢というか・・・居方なんだろうなぁ。
竹刀や大刀の握り方(私は、左の小指を引っかけて持てと習ったけど、みんなしっかり握っていた)も堂に入っていて格好良いったら無い。
居合いのように素振りした木刀、近くにいたら空を切る音が絶対聞こえたぞって、スピードと迫力だった。
腰の据わり具合に、重い木刀ふってもぶれない筋力、肘まで出しても華奢に見えない腕・・・。
で、ふく達を助けに行き、舟を下りた後の殺陣の格好良さ!
流れるような太刀の流れ、人を斬った後、刃を下に向けて露を払い、鞘に収める一連の動きのなめらかなこと!!
あまりの格好良さに仰け反りそうになったよ。
さすがとしか言いようがないんだけど、雪組生は、みんな殺陣が出来ている。
絡みがそれなりに上手くないと、芯は引き立たないからね。
あまり多くを語らない武家言葉も似合っているし、個人的に言葉の後ろに小さい「つ」が入るくらいの、はきはきした喋り方が好きなので、耳に心地良い印象が残った。
元服前の少年期、父を失い一家の主となり、更に城勤めを始め一人前になった青年期、嫁を取り人の親になった中年期(にしては、若いけど)、短い間に文四郎が、成長している姿が見えた。
友人や両親、恋しい人それぞれに対する接し方が、年と共に変化する。
武士として、一人前の男として、ちゃんとしているのが格好良い。
その「ちゃんとした」文四郎のが、ふくとふくの子供を助け出した道中、かすかにブレるのがたまらない。
立場を考えて、相手のことを考えて、自分の想いを押し殺してるけど、こんなに心細くて辛い思いをしている彼女の、細い肩を抱いてやりたい、出来ることなら遠くへ連れ出してやりたいって本当は思っているトコ。
腕に抱いた子供が、自分とふくとの子であったならどんなに良かったかとか、色々思って。
でも、彼女が居るべき場所は、自分の所じゃないって分かっているから、そんなことしない。
それが、たまらなかった。
一人前の男として、「ちゃんとした」態度を取っている姿が、たまらなかった。
あ、余談だけど、今思い出した。
初演のシメさん、ソデを切ってふくに被せてやっていたなぁ。あの演出、好きだったんだけど。
少しでも、隠してやろうって男気が出ていたと思ったから。
やって欲しかったなぁ(笑)
今までそーちゃんの一番の当たり役は、「オグリ」だと思っていたけど、「牧文四郎」になる予感がするわ。
おめでとう、そーちゃん。良い作品に巡り会えたね。
ぜひこれからも生かしてほしいわ。