世の中、そんなに甘くない。
渡る世間は鬼ばかり。
生き馬の目を抜くような恐ろしい人や物に溢れている。
そんな殺伐としたリアルに生きてる私たちは、「そんな殺伐と」していないバーチャルに癒しを求める。
や、人それぞれだよ。
ドラマやアニメや、音楽にそれを求める人もいる。
私は、宝塚ってだけ。
夢の世界とは、斯くあるものかと、初観劇に瞠目したのは、随分前だけど。
それなりに沢山の芝居、ショーを観た。
時に夢の世界に誘われ、時にあまりのリアルさに心を動かされ、時に憤ったりした。
「めぐり会いは再び2」
この作品は、正しく「宝塚的」作品であると思う。
お姫様や騎士が出てくるというばかりではない。
夢に溢れ、愛に溢れ、全てのものがやさしい。
悪人がいないというだけでなく、みんながそれぞれ人生を謳歌し、一生懸命楽しんで生きている。
前作千秋楽で、その時退団したせあらが「幸せ、しあわせ」とアドリブを挟んでいたが、まさしくそんな作品だ。
彼らが、一生懸命楽しんで生きている姿を見て、私たちは「幸せ」を感じる。
リアルがどれだけ辛かろうと、「もう少しがんばろう」「元気が出てきた」と思うわけだ。
「めぐり会いは再び2」
この作品が、若い女性脚本家から出た事に、宝塚の未来を感じる。
宝塚歌劇の基本テーマである「子供から大人までが楽しめる」が、これ程に守られている作品だから。
夢に、愛に溢れ、やさしさに溢れているから。
キャラにも、キャストにも観客にもやさしい、納得のいく、計算された構成力を感じたから。
こんな力のある、宝塚的な作品が書ける新人がいるなら、大丈夫だと思った。
劇場を出るとき、幸せな気分で、やさしい気持ちに包まれてる。
そんな「宝塚的に」娯楽作品として、良作だと思う。