ヅカファンで知らない人はいないと言える程、宝塚では超メジャーな史実である、「フランス革命」。
イケコのスカーレットピンパーネルが出るまで「フランス革命」と言えば、「ベルばら」だった(中村Aの「永遠の祈り」とかあるけど)。
サブタイや主人公変えても、過去の脚本の切り貼りな上に、演出パターンも同じだからまったく面白味がない。
てか、脚本が面白ければそれでもいいけどね・・・。
会話のキャッチボールが出来ていない上に、キャラ(性格)が破綻して、つじつまの合わないこと言い出したり、行動したりする。
ま、ありていにいって、「宝塚でどうやっても(植爺が書く以上)フランス革命ものは、豪華なだけでつまらない」ってのが印象だった。
ので、自称歴女だけど(「歴史として」はもちろん、たまたまとはいえ、コンシェルジュリまで見学に行ったくらいだから、とても興味あるんだけど)、強いて調べたり勉強したりって気にはならなかった。
それが、スカピンでもの凄く変わった。
原作がイギリスの女流作家の物で、視点がずいぶん違うのもあったんだけど、面白いと思った。
ベルばらも、もっと民衆主体で書けばよかったんじゃね?って思った。
以前、「ベルナール編」観たときにも思ったんだけど、フランス革命の主役は「市民」だから貴族側を主人公にしても、そこの書き込みをおろそかにしてはダメなんじゃないかと。
アントワネットの悲劇がどうして起こったか、民衆をただの悪役にせず、掘り下げる必要があったんじゃないかなって。
一寸調べたり勉強したくなった。
「ジャン・ルイ・ファージョン~王妃の調香師~」は、みごとにその両方の視点をミックスさせ、「歴史物」としても「ヒューマンドラマ」としても、高い完成度をもった作品だと感じた。
プログラムに「時間が足りなかった、もっと練り上げたかった」と書いてあったけど、全然!ものすごく感動した。
キャラそれぞれが、ちゃんとものを考えて生きていた。
ジャン・ルイも、アントワネットも、フェルゼンも、ルイ16世も・・・。
史実・・・って「事実」と一寸違うところがあると思うけど、今現在「史実」としてある事件の裏で、この実在の人物達が、「きっとこう考えてああ生きたんだろうな」と、疑問を感じることなく観られた。
所々、「ベルばら」とかぶる場面があるんだけど、それすらも「書き手が違うと、こうもキャラが生きるのか」と思った。
ヒロインとの間に恋愛感情が無いから、そういう「切ない」のがほぼ無いって所を「つまらない」と思う人もいるかも知れないけど、逆にそれがよかったんじゃないかなとも思った。フェルゼンのように「なりふり構わずあの人のために」とかなくて。主人公が冷静で。
大きく歴史が動いたあの時代、自分に正直に一生懸命生きた人たちの思いをダイレクトに訴えかける作品作りに、心を打たれた。
「王妃の調香師」なんて優雅なサブタイだけど、その中味は、骨太の歴史ドラマだった。
書き手が変わると、こうも違う物になるのかと、本当に驚いた。
・・・今更遅いけど、次のベルばら、脚本だけでもけーこちゃんに書いて貰えないですかね。