保安院、玄海原発「安全と判断」 県は安全根拠に疑問


 福島第1原発事故に絡む玄海原発2、3号機の再稼働問題で、佐賀県は17日、経産省原子力安全・保安院から緊急安全対策の評価などについて説明を受けた。県側は津波対策だけで安全と評価した保安院の姿勢や浜岡原発(静岡県御前崎市)だけを全面停止した理由に疑問を投げかけた。保安院は「津波で事故が拡大したことは明確で、今回の対策で安全性は担保されている。玄海原発では大きな津波がくる切迫感がない」などと答え、県側の疑問解消には至らなかった。
 
 県が国から評価結果の説明を直接受けるのは初めて。県側は古川康知事をはじめ幹部ら11人が出席、保安院の黒木慎一審議官と1時間半にわたって質疑を交わした。
 
 緊急安全対策について、県側は「津波対策だけで安全と言える根拠が分からない。地震対策も取るべきではないか」などと迫った。保安院は「地震による影響が大きかったとは現時点で考えられない。東京電力が16日に公表した膨大なデータを分析して確認したい」と説明した。
 
 浜岡原発の全面停止では、県側は地震発生確率の理由を疑問視し「停止させるなら、浜岡の安全対策が妥当という結果を出すべきではなかった」と批判。保安院は「大臣が決めたことが我々の考え。玄海原発は高い場所にある。津波の規模や頻度に違いがあるのも明らか」と補足した。
 
 玄海原発3号機は福島第1原発3号機と同じプルサーマルを実施中。プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料の安全性や敷地内外の環境影響についても説明を求め、保安院は「MOX燃料がプラントに大きく影響を与えたとは考えにくい」とした。
 
 黒木審議官は終了後、防災対策重点地域(EPZ)について「実際の避難状況を踏まえ、しっかりと見直したい」と拡大する考えを示した。
 
 説明を受けた古川知事は「一定分かるものもあれば、むしろ疑問が湧いてきたところもある。なぜ浜岡だけ止めたのか釈然としない。県民の理解、納得が得られるかが引き続き課題になる」と述べた。


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