この世界は、数多の名も知らぬ普通の人々によって成り立っている。
王様も、セレブも、政治家も、アイドルも、スーパードクターも、学校の先生も、スポーツのメダリストも、引きもこもりも、凶悪犯も、実はみーんな普通の人。
お母さんから生まれてお乳が欲しくて大泣きして、おねしょをしたり、爪をかじったり、鼻くそを食べたりして生きてきた。
ただいくつかの才能と、環境と、意識的(または無意識的)なゴーサインと、運によってその肩書を得て、ちょっと名前が知れてるだけ。
どっちが上とか、どっちが下とか、そんなこと月から見たらどんぐりの背比べ。
この世は数十億の普通の人々で成り立っている。
誰もビームを出せないし、瞬間移動もできないし、未来予知もできない。
攻撃されたら心は痛むし、血液が足りなくなれば死ぬし、死んだら生き返らない。
つまずいて当たり前、失敗して当たり前、打たれ弱くて当たり前。
だって普通の人だから。
この星にはただ普通の人々が生きている。
普通の人々の悲喜こもごもの営みで動いている。
だれも神様などではない。