前日の夜のお話。
ある友人が、いい店を見つけたから久々に皆で行こうよ、と昔から仲のいいメンツに声をかけた。
仕事終わりに連絡をもらった私は和也に一言メールを送り、そのまま店に向かった。
帰ろうとする度に引き留められ、そのままなんだかんだで夜中まで抜け出せずにいた。
友人たちに会うのは本当に久々だったから、それなりに楽しんだし嫌でもなかったのだけど。
結果、私の帰りは遅くなった。
いい気分で帰宅した私は、和也を起こさないようにと静かにドアノブを回したけれど
玄関にそっと足を踏み入れるのと同時、すぐに部屋が明るい事に気付く。
「…ただいま」
「おかえり。さすがに心配するでしょ」
「ごめん」
「楽しかった?」
「楽しかったよ」
ん、よかったじゃん。んじゃ寝るかな。とソファからけだるそうに立ち上がった和也の表情が
どこかいつもと違う気がして
「明日さ」
つい引き留めた。
「夜ご飯、なにがいい?」
ん?と眉を上げた彼は「なんでもいいよ」といつも通りの返事をよこす。
「今日潤君が予約してくれてたお店のパスタソースが美味しくてさ」
不安が、私を喋らせる。
こんな話どうでもいいのに。
何かが違う
何が違うの
「あれ出来る範囲で真似してみようかなって思ってて」
シャツに腕を入れて背中を掻いてた和也がこちらを振り向いた。
「なに、今日潤君とだったの?」
「うん」
「そこまで仲良かった?」
「え?幼馴染みたいなもんだって
…前も言ったと思うけど」
「ああ…そう。」
「メールにも書いたと思うけど二人で会ってたわけじゃないよ?」
「だからわかってるって」
「遅くなってごめん。次からはも少しマメに連絡入れるから、こういう時」
「わーったから。そうしてくれると確かに俺も安心だけどね?
別になんも言ってないでしょ。寝る」
「なに怒ってんの」
「はい?別に怒ってないけど」
なに怒ってんの、って怒らせているであろう相手に一番言ってはいけない、言っても意味のない言葉をかけた私はアホだ。
実際、あからさまに怒っている様子もない。ただどこか違う。ちょっとだけそっけない気もする。
疲れているから?違うよね。
その時、テーブルの上の和也のスマホが音を出した。
二人の視線が同時に向いた先の画面には、メール着信を知らせるバナーと、そのメールの件名
"HAPPY BIRTHDAY!"
<③へ>