そして私は考えた
駅前の大通りの街路樹の並ぶ歩道の真ん中で
道行く人が、ただただ立ちつくす私を横目で見ながら慌ただしく通り過ぎていく
迎えを待つ人、迎えに来る人
時刻表と腕時計を交互に眺め、バスを待つ人
ただ客を待つタクシー、客を乗せるタクシー
楽しそうにおしゃべりをしている女子学生
マフラーに顔をうずめ、肩をすぼめながら歩く、疲れた顔の高校生
街は夕焼けに照らされ、仄かに赤みを帯びていく
電車が来るたびにたくさんの人が改札を出る
そして皆、足早に帰路へと付く
電車が来て、一人また一人、私の横を通り過ぎて行くたびに街は暗闇へと包まれていく
ほんのりとした建物の灯りが視界に入る
空は漆黒に包まれ、街の光で星をうかがうことはできない
気付けば、駅にはもう人の気配がなかった
どれだけ立ちつくしたのだろうか
朝日がふと、視界に入る
まぶしさのあまり目をしかめる
それでも尚、私は考えた
私は考えた
"私"は何だろうか、と