石井康夫の場合
後、何年、この通勤ラッシュに耐えれば開放されるのだろう。
毎日思うことは一緒だ。
ただ、あの日は違った。
この満員電車に乗ることを、こんなにエキサイティングに感じたのは、後にも先にもこの日だけだろう。
今でも思い出すと、体中に電気が走るほどの衝撃を覚える。
47年生きてきた中で、自分がこんなイベントに参加する日が来るとは思ってなかった。
いつもの満員電車であの7人に出会うまでは。。。。
「ごちそうさま、行ってくるよ」
「いってらっしゃい」知美はいつも満面の笑みで私を見送ってくれる。
結婚して20年、何故私と結婚してくれたのか、未だに疑問だ。
しかも、プロポーズをしてきたのは知美からだった。
「私といると絶対幸せになれるから」そう言ってくれた知美に私は「はい。お願いします」となんとも情けない返事をすることしか出来なかった。
そんな私を愛しそうな顔で見つめる知美を見て、私も彼女を必ず幸せにしようと誓った。
そして、今現在あの時の私の誓いは守られてる。と思う。
もちろん、20年の間に喧嘩をしたこともあったし、それなりの夫婦のいざこざは経験したが、いつも私が謝る形で収まっている。
ただ、情けないとは思わないで欲しい。
これは、私の役割なのだ。
いつからか、そういう風になっていた。
私もそれでいいと思っている。
仲直り出来るのなら、それでいいのだ。
と、そんな話はさて置き。
いつも使っている最寄り駅は山手線の目白だ。
いつものように9時16分発に乗ろうと電車を待っていた時に、見知らぬ若い男に声をかけられた。
「いつもこの時間に乗ってますよね」
なんだ?一体。。。
