リレー形式の小説です。
うしまる氏、ねこきりん氏、すぅま氏執筆中。
※みなさんのブログへリンクします
はじめから>>■
前>>■
次>>■
次の日の朝になり、仕事場に向かう時間になっても
あの奇妙な出来事は頭から離れない。
僕のことを知っているようだったあの幽霊の少女、
それと、あの洞窟に眠る忘れ去られた骨たち……。
僕は、昨日の夜からずっと、結論が出ることのない問答を繰り返したままだった。
「母さん、行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
見送る母親の腕の中で、柳がミャアと鳴いた。
天場山へ続く獣道を歩いている最中も昨日のことを考える。
特に気がかりなのはあの少女だ。
一体何者なんだろう?
僕のことを知っているようだったのはなぜだ?
そうしているうちに、無意識のうちなのか、意識してのことなのか、
気が付いたら昨日の洞窟の前にいた。
「…………」
洞窟の中へ一歩踏み出すと、ジャリ、という音が薄く響いて聞こえた。
ひんやりとした空気を感じ、昨日の光景を思い出す。
忘れ去られた場所に残る骨たち。
その寂しさにつられて再び足を運んでしまったのかもしれない。
自分の足音だけが響く洞窟の中、僕は最深部まで足を進めた。
洞窟の一番奥、少し開けた場所に辿り着く。
糸のように細く射している光を頼りに、綺麗に並べられている骨を眺めた。
見てみると、骨が置いてある前に簡素な墓標のようなものが刺してある。
「英霊 ○村 将○ 之墓」
「英霊 稲○ ○次郎 之墓」……
「やっぱり……」
墓標のメッセージと、”1945・8・10・11メイ・ココ二ネムル”と言う文字。
彼らは、先の大戦にて亡くなった11名の戦死者たちなのであろう。
昨日と同じように手を合わせていると、背後に何かの気配を感じた。
振り返ると、昨日の少女だった。
少し離れた所で墓を眺めている。
相変わらずその両腕が透けている異様な光景に、
僕は背中に嫌な汗が伝っていくのを感じた。
あの時の少女がなぜここにいるのだろう、とは考えなかった。
なんとなくこの戦死者たちとの関わりを感じていた。
墓を見つめたまま少女が口を開いた。
「ここに、私のお父さんがいるの」
「でも、どれがお父さんか分からない。連れて帰れないの……」
彼女は僕に気付いているのだろうか?
僕に話しかけている?
「君のお父さんが……?」
意を決して声をかけてみた。
墓に向いていた少女の顔がこちらを向き、その大きな目がまっすぐ僕を見つめた。
初めてじっくりと少女の顔を見た。
あまりの美しさに僕はうろたえてしまった。
艶のある豊かな髪と細くしなやかな体。
白磁のような肌は、暗闇の中で光を放っているようにさえ感じられた。
そんな彼女の視線に突き刺され、背中に伝う汗の不快さなど
感じる余裕は無くなってしまっていた。
「で、でも名前が書いてあるよ?君のお父さんは何という方だい?」
少女は、僕の問いに首を振る。
その瞳には、いつのまにか涙が浮かんでおり、今にも頬を滑り落ちそうだった。
父親の名前が分からないのか?
記憶を失ってしまっているのだろうか?
「あなたに――」
彼女の声が再び洞窟内に響く。
しかし、少女が何か言いかけると同時に
その姿は暗闇に溶け込むように消えてしまった。
「消えた……!?」
一人残され、呆然と立ち尽くしていると、ミャアという声が聞こえた。
僕が来た道から柳が姿を現した。
つづく
うしまる氏、ねこきりん氏、すぅま氏執筆中。
※みなさんのブログへリンクします
はじめから>>■
前>>■
次>>■
次の日の朝になり、仕事場に向かう時間になっても
あの奇妙な出来事は頭から離れない。
僕のことを知っているようだったあの幽霊の少女、
それと、あの洞窟に眠る忘れ去られた骨たち……。
僕は、昨日の夜からずっと、結論が出ることのない問答を繰り返したままだった。
「母さん、行ってきます」
「はい、いってらっしゃい」
見送る母親の腕の中で、柳がミャアと鳴いた。
天場山へ続く獣道を歩いている最中も昨日のことを考える。
特に気がかりなのはあの少女だ。
一体何者なんだろう?
僕のことを知っているようだったのはなぜだ?
そうしているうちに、無意識のうちなのか、意識してのことなのか、
気が付いたら昨日の洞窟の前にいた。
「…………」
洞窟の中へ一歩踏み出すと、ジャリ、という音が薄く響いて聞こえた。
ひんやりとした空気を感じ、昨日の光景を思い出す。
忘れ去られた場所に残る骨たち。
その寂しさにつられて再び足を運んでしまったのかもしれない。
自分の足音だけが響く洞窟の中、僕は最深部まで足を進めた。
洞窟の一番奥、少し開けた場所に辿り着く。
糸のように細く射している光を頼りに、綺麗に並べられている骨を眺めた。
見てみると、骨が置いてある前に簡素な墓標のようなものが刺してある。
「英霊 ○村 将○ 之墓」
「英霊 稲○ ○次郎 之墓」……
「やっぱり……」
墓標のメッセージと、”1945・8・10・11メイ・ココ二ネムル”と言う文字。
彼らは、先の大戦にて亡くなった11名の戦死者たちなのであろう。
昨日と同じように手を合わせていると、背後に何かの気配を感じた。
振り返ると、昨日の少女だった。
少し離れた所で墓を眺めている。
相変わらずその両腕が透けている異様な光景に、
僕は背中に嫌な汗が伝っていくのを感じた。
あの時の少女がなぜここにいるのだろう、とは考えなかった。
なんとなくこの戦死者たちとの関わりを感じていた。
墓を見つめたまま少女が口を開いた。
「ここに、私のお父さんがいるの」
「でも、どれがお父さんか分からない。連れて帰れないの……」
彼女は僕に気付いているのだろうか?
僕に話しかけている?
「君のお父さんが……?」
意を決して声をかけてみた。
墓に向いていた少女の顔がこちらを向き、その大きな目がまっすぐ僕を見つめた。
初めてじっくりと少女の顔を見た。
あまりの美しさに僕はうろたえてしまった。
艶のある豊かな髪と細くしなやかな体。
白磁のような肌は、暗闇の中で光を放っているようにさえ感じられた。
そんな彼女の視線に突き刺され、背中に伝う汗の不快さなど
感じる余裕は無くなってしまっていた。
「で、でも名前が書いてあるよ?君のお父さんは何という方だい?」
少女は、僕の問いに首を振る。
その瞳には、いつのまにか涙が浮かんでおり、今にも頬を滑り落ちそうだった。
父親の名前が分からないのか?
記憶を失ってしまっているのだろうか?
「あなたに――」
彼女の声が再び洞窟内に響く。
しかし、少女が何か言いかけると同時に
その姿は暗闇に溶け込むように消えてしまった。
「消えた……!?」
一人残され、呆然と立ち尽くしていると、ミャアという声が聞こえた。
僕が来た道から柳が姿を現した。
つづく














