森絵都/宇宙のみなしご(1994/2010)

ハッケンくんのしおりがでてきた!

 

 

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中学二年生の陽子と一つ年下の弟リンは、

やや放任気味な両親のもと、なかよく育ちます。

 

退屈が苦手な陽子は、ひまを見つけては

ふたりで考えたさまざまな"あそび"に興じていました。

ピンポンダッシュ、野良犬の尾行・・退屈でない何か。

 

 

ある夜、"いい屋根"の上にのぼるという

ただそれだけのことなのだけど、

陽子とリンにとってとくべつな遊びを見つけます。

 

ひょんなことから陽子のクラスメイトの七瀬さんも

その遊びに加わることになり、

深夜、みしらぬ誰かさんちの屋根にのぼっていると

クラスのいじめられっこキオスクにそれを目撃されてしまい・・

 

 

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物語を読んでいるとき、少なからずあたまの中に

そのシーンや情景が浮かんでくるものだと思うのですが、

この作品は色鮮やかに、はっきりと

若さゆえの未熟さ、みずみずしさが描かれていて。

 

まるで細田守監督のアニメーションをみているかのように。

 

 

陽子とリンの間だけで育ち、存在していた"あそび"は

確かにふたりのものだったのだけど

七瀬さんが加わることによってそれは崩壊し

陽子の心情に少しずつ変化が訪れていくのです。

 

そのときの気持ちがなんとなく、でもひしひしと伝わってきて

何かをなくすことによって成長する

"中学二年生の等身大"を感じました。

 

主人公の陽子だけでなく、リン、七瀬さん、いじめられっこキオスクの

それぞれの描写も丁寧にかかれているので

いらない登場人物がおらず、読みやすいです。

 

 

「ぼくたちはみんな宇宙のみなしごだから。

ばらばらに生まれてばらばらに死んでいくみなしごだから

自分の力で輝いてないと、

宇宙の暗闇にのみこまれて消えちゃうんだよ、って」

角川文庫「宇宙のみなしご/森絵都」174ページ3-5行目抜粋

 

 

 

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