"あんた健康線ないじゃない"
神も風水も占いも信じていない。当然、韓国起源説も(当然か)手相もだ。
左手を舐めるように見つめているママを見ていて、彼女が老眼である事を知った。化粧や髪型では隠せない老化の息がかかったこの仕草に恥ずかしがる様子もない。
私は一気に酔いが覚めてしまいそうな気分になり、空いた右手で素早くビールを呷った。
どうでも良かった。
手相で幸せが決まるなら、ガラスの破片一つあれば、誰でも幸せを手に刻み込めるはずだ。
半ば強引に手を振りほどき、残りのビールを空けると酔いは無くなっていた。
「またくるよ」
「あんた、もっと気を張りなさい」
「気の張り方忘れちゃったな」
「バカ言ってんじゃないの。あんたこれからは気を張って、自分の信念を貫き通しなさいよ。」
「何を言いたいんだよ、まさか手相見てそんな事言ってんのか?」
「あんたには天下取りの相がある。けど手相が薄いのよ、気力が足りない。しっかりしなさい、男なんだから。」
「そうか、なら天下取ったらまたくるよ。その時まで閉めないでな。」
「バカだね。年上の言うことは素直に聞いておくもんなの。それにしても…」
そう言いながら、また左手を見つめている。
「それにしても…なんだよ?」
「あんた、本当に健康線ないわ」
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酒が欲しい訳じゃないが、一人でつい繰り出してしまう。
夜のネオンに一人高ぶって、馴染みのスナックを避けては、肌に合いそうな店を新たに探して回っている。
単純に酒が飲みたい訳じゃない事は自分でよくわかってる。
店の女の子を口説く事も、面倒くさくていつの間にかしなくなった。
寂しいからでもない。
ただ、自分の知らない人生の鱗片に触れてみたい。
信じられない事だが、自分以外の様々な人生は確かにそこにあって、金と欲望の蜷局をつくりだしている。
そのむせかえりそうな湿度の中で、確かに自分はここで生きていると思える。
他の人生に埋もれる事なく。
しかしネオンに埋もれながら、確かに今、ここに存在することを確信したいのだ。
いつか、
ネオンに照らされる事なく自らが光を放ち、自分は確かにここにいると思えるだろうか。
自分の人生を決めたのは確かに自分だったと思えているだろうか。
やっぱりそうだ。
俺は酒が欲しい訳じゃない。
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夜のネオンに一人高ぶって、馴染みのスナックを避けては、肌に合いそうな店を新たに探して回っている。
単純に酒が飲みたい訳じゃない事は自分でよくわかってる。
店の女の子を口説く事も、面倒くさくていつの間にかしなくなった。
寂しいからでもない。
ただ、自分の知らない人生の鱗片に触れてみたい。
信じられない事だが、自分以外の様々な人生は確かにそこにあって、金と欲望の蜷局をつくりだしている。
そのむせかえりそうな湿度の中で、確かに自分はここで生きていると思える。
他の人生に埋もれる事なく。
しかしネオンに埋もれながら、確かに今、ここに存在することを確信したいのだ。
いつか、
ネオンに照らされる事なく自らが光を放ち、自分は確かにここにいると思えるだろうか。
自分の人生を決めたのは確かに自分だったと思えているだろうか。
やっぱりそうだ。
俺は酒が欲しい訳じゃない。
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