Imitation Gold
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化粧品メーカーの顔

今日は早朝から目黒のスタジオで、化粧品メーカーの夏キャンペーンのグラフィック撮影。
今シーズン、このメーカー一押しの、ホワイトニング効果とリフティング効果のあるファンデーションのポスター撮りなのだ。

極寒の東京の空の下で、こうやって夏の雰囲気を美術や衣装やメイクで生み出している。
まさに、虚像という名の女優、そして広告。

アミは、何年経ってもこの緊張感で張りつめた空気と、ストロボの独特な光と音と匂いに触れると張りつめた緊張感でいっぱいになる。そして、この緊張感がたまらなく好きだ。
特に今日の撮影には気合いが入っている。

アミは17歳から足かけ7年ほどこの仕事をやっているが、化粧品メーカーの広告タレントとして起用されるのは初めてなのである。
化粧品メーカーの顔になる、ということは、当然、第一線の女優であることを承認された、ということである。
当然ながら、化粧品モデルは美しく、まさに女性の憧れの象徴なのだから、単なる広告タレントになるというだけではない。
おそらく、この広告が世の中に露出する時期には、
女性ファッション誌のカバーにもアミが多く使われることになり、更なる”美人女優”としての箔が付くというものであろう。

この撮影のため、アミは少ないながらも、なるべく睡眠時間を確保するようにし、毎日野菜ジュースや黒酢を欠かさず飲み、
週に一度はフェイシャルエステへ時間を見つけて通うようにしていた。
その効があってか、今日はマネージャーさんからも、カメラマンさんからも、「全く修正が要らないほど、透き通った綺麗な肌」とほめられた。
化粧品の広告においては、ほとんど全ての広告にCGレタッチが入る。
中には原型をとどめないほどのレタッチを要する女優もいる。
レタッチが増えれば増えるほど、広告の予算は増し、クライアントは当然嫌がる。
ニキビが急増したある十代のタレントには、事務所の管理責任ということで、莫大な修正費用を事務所が半額持った、という話も聞いたことがある。

そんな中で、万全の体制で撮影に望めたことは、職業魂の意識が高いアミは、とてもうれしい。

しかも、今夜は2週間ぶりに恋人とデートなのだ。
仕事と恋愛が充実し、更にお肌の調子も抜群ときたら、浮かれずにはいられない。
カメラマンさんに要求される表情やポーズの最中にも、スタジオの中で流れているビヨンセの曲にあわせて小躍りしてしまうほどだ。
撮影も順調で夕方には終わりそうだし、約束の20時にはまだまだ時間があるので、また表参道にあるリフレクソロジーに寄ろう。

待ち合わせは青山にあるCASITA
ちょっとしたリゾート気分になる雰囲気がお気に入りだ。
ウエルカムカードを用意してあるところも、さりげない演出だ。

「アミたぁん、やっと会えた~」
「わぁい、タカちゃんカンパーイ」
とシャンパンカクテルで乾杯する。


「それにしても、今日のアミはいつもに増して綺麗だよなぁ。肌なんて陶器のようだよ。さすが、化粧品メーカーのカオは違うよなぁ~。」

「ホント?うれしい。ここのところ、ずっと気をつけてたんだぁ~。タカちゃん忙しくて会えないし、仕事は忙しいからその分、エステばっかり行ってたの」

当直明けとあって、少し疲れ気味のタカシだったが、相変わらず切れ長の涼しげな瞳に見つめられると今でも高揚してしまう。

「こんな、優しくて素敵なお医者様がカレだなんて!アミとどこから見てもお似合いでしょ?」と周りの人たちに自慢したいくらいだ。

食事が終わり、青山通りでタクシーを拾う。
「四谷三丁目へ」
とタカシが告げ、手を絡めてくる。

明日は11時から赤坂のテレビ局で収録だ。
タカシを送り出して、その後、一度、広尾の自宅に戻っても十分時間がある。
少し、のんびりして四谷のタカシのマンションからタクシーで直接、赤坂に向かってもいい。

明日のことを夜のうちに考えるのは、アミのまじめな性格の所以か、自分でもおかしくなる。
それより、2週間ぶりのタカシとのこれからの時間を想像するとドキドキしてしまう。

外苑西通りから少し脇に入ったところでタクシーを留め、タカシのマンションのエントランスへ向かう。

その時、普段は閑静な周辺の植え込みから人影がした。
瞬間的に身をひくと、カメラを持った男が見えた。

「タカシ、いこっ!」とタカシの手をとり、エントランスに駆け込んだ。

「どうしよう・・・、どうなっちゃうんだろう・・・」胸の鼓動が高鳴り、今後のことの不安がよぎり、後頭部を殴られたような錯覚を覚えた。

恋人の海外赴任

来週のプレゼンにむけての社内ミーティングが混沌としている。
マーケティング資料は出来上がったのだが、クリエイティブの中で、プランナーとコピーライターの意見が真っ向から食い違っているのだ。
こんな時、営業であるエリカが取りまとめをしなくてはならないのだが、相手はどちらも10期以上のベテラン社員だ。
エリカの5期上の営業の男性社員もあまりの白熱に、右往左往しているようだ。

ついぼんやりと、日曜日の恋人とのやりとりを思い出してしまう。

日曜日は、久しぶりの休みがとれたため、学生時代からの恋人の誠(27歳 商社勤務)と会うことにしたのだ。
誠は夕方までオフィスで仕事だというので、夜会うことに。
バレンタイン前の三連休に会ったのが最後なので2週間ぶりのデート。
「場所はエリカに任せるよ」とのことだったので、広尾の羽澤ガーデンを予約した。
外にこたつがあり、そこで鍋をつつくという。
ちょっと変わった嗜好は誠も喜んでくれるだろう。
寒くなったら、別館のバーに移ってもいい。

恵比寿からタクシーで広尾高校の脇を入り、住宅街を潜り抜けると、そこに旧満州鉄道総裁の住宅をレストランにしたところがある。
都内のど真ん中とは思えないほど、閑静なたたずまいだ。

夏はバーベキューが楽しめる場所が、冬はこたつでお鍋を食せるという趣ある趣向になっている。

誠は少し遅れるとのことなので、先にこたつに入って待つことにする。
薄暗い中に、こたつ、そして鍋。
この薄暗い明かりは、女性を美しくみせてくれる効果がありそうだ。
仕事に追われて、ここのところエステにもいけないでいる。
さすがに今日は昼すぎまで熟睡してしまったが、これで少しでもマシにみえれば、と思う。

5分ほどたつと誠がやってきた。
白ワインをボトルで頼み、ブタしゃぶのコースを頼むことに。
久しぶりのデートに白ワインで乾杯する。

食事も半ばほど進んだ頃に
「それがさ、俺もそろそろ決まりそうでさ。。。」と誠。

「決まりそうって、何が?」少し胸が高揚しはじめてくる。

「海外赴任だよ。ロスが濃厚だよ」

「・・・・いつ?」

「早ければ4月中には」

頭の中が真っ白になる。大学の時から足掛け5年、付き合っていた誠と将来を考えなかったわけではないが、働き始めてまだ4年。ようやく希望の営業職について半年。そんな中で恋人がロスに転勤になるという。

遠距離恋愛?別れる?結婚?退職?

色々な単語が頭の中をかけめぐる。

「俺はエリカについてきて欲しいけど、ムリな話だよな。やっとやりたい仕事を手に入れたばかりだろうし。エリカはどうしたい?」

「どうしたい、って言われても、どうしたらいいんだろう・・・。」

言葉が出ない。
別れたくないけど、仕事も辞めたくない。
別れずに、仕事も手放さずにいるにはどうしたらいいのだろうか?

結論も出ずに、気まずい雰囲気のまま食事を終える。
寒い中、こたつに入るというのが趣がある、と思ってこのお店を選んだものの、今のこの状況では寒さが身にしみるだけであった。


「あーあ、女ってなんでこんなに不利なんだろう」と声に出して言ってみたくなり、まだ会議中だったことを思い出して思わず息を飲んだ。

練れた男との空中戦

月曜日は午前中だけの授業Day。
でもって今日は午後から女性ファッション誌の読者モデルの撮影が入っている。
読者モデルなんて収入にもならないし、雑誌社が求めているのは、ブランド大学であったり、その大学のミスナントカだったり、あたしたちが持っているブランド品だったり、流行モノだったり。

雑誌のブランドと、あたしの持っているブランドのバーターみたいなものだ。
ブランド力のある雑誌に掲載されることで、あたしの価値(合コンの中だけかもしれないけど)を高め、あたしたちの持っているブランドによって、雑誌のブランドを更に上げる。

有名女子大生ばかりで成り立っているこの雑誌の主な読者層は、都内の女子大学生ではなく、地方の高卒OLが多いそうだ。彼女たちのカリスマとして、あたしたちが作り上げられているのだと思う。

実はそんなことを考えながら、極寒の東京の空の下で春モノのお洋服を着せられ、すがすがしいような顔をしながらの撮影タイム。
半袖ニットにミニスカートでお決まりのポーズをとる。

今夜は、週末の合コンで知り合った、リーマン32歳とデイト。
手ごわそうな相手なので、こっちにも緊張感が走る。
今日のお洋服は気合をいれて、ちょっと春先取りのオフホワイトのツイードワンピにフォクシーのピンクのカーディガンを羽織っている。
バックは今年のCHANELの新作の白いツイードバック。

待ち合わせの代官山のイタリアン、リストランテASOへ向かう。
旧山手通りに面したこのお店は、友人とのお茶にも良く利用するカフェミケランジェロの奥にあるイタリアンレストラン。
ナナが大好きなお店のひとつだ。
もちろん、リーマン君には「こんな素敵なお店、初めて来ました」と言うつもりだ。お店の人が気を利かせて覚えてないことを祈る・・・。

撮影後ちょっと時間があったので、ミケランジェロでリーマンを待つことに。
ここは雑誌の数も豊富なので時間を潰すのに最適なのだ。
普段はあまり読まない、洋物の雑誌をぱらぱらめくっていると、リーマンからメール着信が。

「いますぐ目の前にいるよ」

ふと顔をあげると、金曜の夜みかけたよりずっとカッコイイ、リーマンの姿が。

「ちょっと早くついちゃったからお茶飲んでたの」

「そっか、じゃぁいこ!」といってナナの手をとり、奥のお店へエスコートする。

-この男、相当練れてる。
しかし、32にもなって練れてない男よりはマシだわ。

彼是思いながらテーブルに着く。

金曜日と同じようにシャンパンで乾杯する。
このお店はアミューズがとても楽しい。
カラフルなキャンディの包みの中に、色々な素材のアミューズが入っている。

一応
「きゃぁ~、これなぁに?可愛い☆」とちょっぴり大げさに言ってみる。

男の人っていくつになってもどんな男でも
「はじめて」と言う言葉に弱い。
だから、知ったかぶり、経験が多いことは隠さなくてはならない。

「ナナちゃん、可愛いよねぇ~。俺のまさにタイプなんだよなぁ~」と目を細めている。

そうきたときの切り替えしはなれたものだ。謙遜しつつ、相手を持ち上げることだ。

「そんなぁ。ナナなんて、フツーの女の子だし、ターちゃん(リーマンのこと)みたいに、毎日”億単位”を動かす方にそんな風に言われるなんて、驚きだけど光栄ですぅ」
と甘ったるく答える。

「じゃぁさ。僕と付き合ってよ。ダメ?」

まだメインディッシュにも到達してないのに、なんとも早い展開。
しかも、女の子が絶対「NO」を言わないことを知った上での発言だ。

「うれしいです。でも、金曜日に知り合ったばっかりだし、ナナってワガママだし、もう少しお互い知ってからがいいです」
と突き放してみる。

「そうかー。まぁそうだよね。たくさん会って、お互いたくさん知りあおうよ。」

とおそらく何十人にも同じ甘い言葉を囁いているらしい男は、そう返した。


単なる瞬間的な好意ではなく、この男をワタシにどっぷりハマらせるには、何が必要なのだろうか、と考えながら、ボルドーワインを一口飲んでうなずいた。

アミ自己紹介

アミ、24歳。職業、女優。
女優とタレントって線引きが難しい。
ドラマや舞台だけやっているわけではなく、時に歌を歌ったり、バラエティに出たりしているので、カテゴライズ的にはタレントなのかもしれないけど、やっぱり響き的に”女優”を言い張っている。

芸能界に入るきっかけは、ありがちなスカウト。
高校生の時に、渋谷でスカウトされた。これまでも青山や原宿を歩いていると芸能プロダクションとやらの名刺をもらうことはしょっちゅうだったが、いずれもよくわからない怪しげな事務所ばかりで相手にしなかった。
(あとあと聞くと、割と有名な事務所だったこともあったが・・・)
ここにきて、「巷によく聞く」名門のタレント事務所の名刺を貰い、事務所に遊びに行ったのがきっかけだ。

もともと芸能界に興味があったわけではないが、特に成績が良いわけでも特技があるわけでもない私の唯一の取り得は、ちょっと大きめのバストと、体型に反した幼い顔立ちなのだと自分でも思うし、友人にも言われてきた。この特性を生かすには芸能界がイチバンなのかもしれない、と年を重ねるごとに実感しはじめた。
たしかに、幼い顔と成熟した体型のギャップが「たまらない」というファンが多い。

10代の頃は知名度を上げるために、水着にさせられたりグラビアアイドルみたいな真似をさせられたものの、安定した芸能界の地位を築いたと同時に、事務所は一切”お色気”路線から外させる方針に変えたようだ。

そんなアミもそろそろ芸能界において転機を要される時期である。
単なるタレントで終わるのか、女優として一歩踏み出すか。
女性ファッション誌においても、「アミメイク」「アミスタイル」と取りざたされることも多いが、25を境にそんなオファーも減ってくるだろう。
芸能界は次から次にカリスマを立てて、それらを引き摺り下ろすことの繰り返しである。その中で不動の地位を得るためには、時代のカリスマで終わるのではなく、唯一無二のアイデンティティを築かねばならない。
40代でも恋愛ドラマが演じられる黒木瞳さんのように。

それにしても、芸能界なんてそれほど美味しい職業ではない。
早朝から深夜までCMのクライアントや、テレビ局の都合で軟禁され、お給料は事務所から、かなりの額をピンハネされる。
将来の保障なんて無だし、プライベートもあったもんじゃないし。

アミは一応、清純派として売り出されているため、事務所からも恋愛スクープはご法度とされている。

アミの恋人は、信濃町にある大学病院のドクター。
以前、過労がたたって撮影中に貧血で倒れた時に運ばれたのが、その病院で、診察が彼だったのである。
弱っているときに、「心配しなくても大丈夫だよ。すぐに点滴するからね。」と心強く手を握り締められ恋に落ちてしまったのだ。
退院した後、アミがお礼の手紙を出したのがきっかけだ。

仕事が不規則な彼とは、主にどちらかのマンションで過ごすか、平日にお互いが休みの時に郊外へドライブデートをすることが多い。
なるべく港区や渋谷区は避けている。
話題のレストランなんて、恋人でなくスタッフとしかいけないなんて、本当につまらない。

しかし、これといって今更OLなどできるはずがないし、今はこの殺伐とした芸能界で生きていくしか能が無いのだ。

エリカ自己紹介

エリカ26歳。汐留にある広告代理店勤務。
派遣ではなく、正社員。
一応、日本でイチバン偏差値の高い大学を卒業した。
最近、派遣さんでもまるでうちの社員のような口ぶりで話す女の子がいるけど、ちょっと心外。
この就職氷河期の中、コネなし、しかも女という不利な条件で就職戦線乗り越ええてやっと手にした大手広告代理店勤務、という肩書き。
学生時代チャラチャラ遊んで過ごして派遣会社から派遣されている子と一緒にされちゃたまらない。
とはいえ、そんなこと、まったく思ってません、社員も派遣も一緒よーって顔しながら過ごしている。
それが世の中をうまくわたっていくってもんだもの。

業種は営業。入社した時はマーケティングだったのが半年前から営業に異動になったのだ。自分自身、望んでいたことだったので気合が入っている。

広告代理店の営業は形が無いものを作り上げることから営業の仕事が始まる。
クライアントの要望を聞きながら、社内の内勤と呼ばれるマーケティング、クリエイティブといったところの意見を取りまとめ、更にはタレント事務所やら媒体社といったところと調整をし、広告を作り売って(打って)いく。やりがいはあれど、とにかく手がかかる仕事だ。
クライアントは国内トップで大阪に本社があるお菓子メーカ。
営業に異動になってすぐ、今イチバン勢いのある4人の女優を起用し話題になったコマーシャルを作った。
もちろん、それぞれ芸能事務所は違うわけだから、それぞれと調整をしなくてはならず、営業になってからは毎日深夜まで残業をしている。

恋人は、学生時代から付き合っている総合商社勤務の彼がいるが、ここのところ時間が合わずなかなか会えていない。
彼は彼で2ヶ月に一度は海外出張が入るので、日々、仕事に追われているようだ。

今日は、土曜日だというのに朝からタレントのCF撮影だ。
土曜日とあって、クライアントも役職の立会いはなく、エリカと同じ年くらいの宣伝部の女性ユキだけが立ち会う。
ユキは、仕事はできるのだが少し性格がキツく、少しでも調整が遅れたり、彼女の思い通りにならないとすぐに上司に文句をいい、彼女の上司経由でうちの部長へクレームがつくので非常に厄介だ。
若いとはいえ、クライアントの宣伝部はかなりの権力を持つ。
エリカのひとつ上の男の先輩も、彼女に嫌われ、担当をはずされた。

学生時代には知りえなかったが、メーカーの宣伝部というのは、非常においしい仕事だと思う。
泥臭い仕事や、面倒な仕事は広告代理店が引き受け、それをチェックする。言ってみればそれだけだ。
もちろん、社内では彼是面倒なこともあるかもしれないが、雑誌や映画のチケットは売って良いほど貰い、会いたいタレントや行きたいコンサートは大抵のものは広告代理店が提供する。撮影の立会いの際には、彼らの趣味趣向に合わせた食べ物や雑誌を用意する。当然だが、タレントより偉いのはクライアントの宣伝部だ。

おそらく、クライアントの彼女はエリカよりも偏差値の低い大学出身のはずなのに、まるで女王様とそれに仕える奴隷のような身分の差だ。

今日も彼女のご機嫌をとるために、彼女が好きだというキルフェボンのタルトや、まだ発売前の女性ファッション誌を何冊も用意をし、撮影にのぞむ。

そもそも、撮影にクライアントが立ち会うというのも、単なるリスク分散でしかない。
撮影が終わった後、「こんなはずじゃなかった」と言わせないために、誰でもいいから立ち会ってもらわなくてはならないのだ。

撮影は順調に終わりそうだ。
明日は休みが取れそうなので、久しぶりに恋人と会おうと誘ってみることにしよう。

ナナ自己紹介

あたしはナナ。21歳。
四谷にある私立大学に通う大学2年生。
高校時代に留学経験あり。
目黒区に一人暮らし。
アルバイトはイベントコンパニオンとか、レースクイーンとか、たまに頼まれて読者モデルとか。

モデルで食べていくつもりも、そんな度量もないけれど、社会見学と、合コンの自己紹介に箔をつけるためにやっている。将来の夢は局アナ。4月からお台場のテレビ局のアナトレに通う予定。
恋人は今のところ無し。1ヶ月前にバイバイしちゃった。
ボーイフレンドは多数保持。定期的に会う男の子や、3ヶ月に一度ご馳走してもらうだけのお食事おじ様も含めると10数名ってとこかしら。

今日は3限で授業が終わりなので、大学の友人のミカと軽くお茶をした後、渋谷に繰り出すことに。
西武デパートには既に春モノのお洋服が並ぶ。
明るい色のトレントコートも欲しいし、華やかなスカートやニットも素敵。
白いツイードのワンピも捨てがたい。
迷った挙句、アンナモリナーリのイエローのニットと花柄のスカート、EPOCAでトレンチコートをゲット。
シンプルスタイルが好みのミカはtheoryでホワイトベージュのパンツとニット、そしてトゥモローランドでターコーイズブルーのストールを買ってたっけ!
お買い物のあとは、そのまま二人で最近黒崎えり子さんがオープンした青山のネイルサロン、リヴィールへ。
今夜は合コンなので、清楚で、それでいてちょっと大人びた女子大生を演出したい。
春らしいベビーピンクにお花モチーフのラインストーンを施して、仕上げは行き過ぎないラメでコーディング。
爪を綺麗にしてもらうと、ココロまで綺麗になった気分☆
ミカはちょっと大胆にゴールドベースのマーブルに仕上げていた。

そんなことをしていると約束の7時が近くなっていた。
読者モデル友達の、ユウコ(大学2年生)とアオイ(大学4年生 4月から航空会社勤務)と合流し、
今夜は青山ラピュタガーデンのアルトモンドで今話題の外資系証券会社、リーマンブラザーズのトレーダー君たちと合コンなのだ。

大学1年生の時から合コンは数多くこなしてきたが、マスコミ系か外資系金融との合コンがイチバン楽しく、友達からのウケが良い。
広告代理店やテレビ局君たちは、新しいホットなお店で話題も豊富で楽しませてくれる。外資系金融は、やっぱりデートも合コンもリッチめな場所が多いというところがウケが良い理由だと思う。

ただし、どちらの男性も手ごわいから恋人にする時には細心の注意が必要だ、というのがここ一年でナナが学んだこと。
なぜなら、一ヶ月前に別れた彼氏はプレイボーイな広告代理店の男だったからだ。(この話はまた今度)

7時ちょうどにお店に着くホスピタリティあふれた店員が席まで案内してくれた。
ガーデンという名前がつくだけあり、ビルの中庭にプールがあるこのお店は、これまでも何度かきたことがあるが、金曜日の夜の合コンの場としては最高に気分を盛り上げてくれる場所だ。
席に案内されると、すでに男性陣は席についていた。
左から29歳、32歳、33歳、31歳という。
33歳の男はオヤジはいってるけど、32歳はなかなかイケ面。ぱっと見は28歳、といったところだろう。

シャンパンで乾杯の後に繰り広げられる自己紹介タイム。
年齢、学校名、住んでいる場所、といったありきたりのお題の中で、女の子の「年齢」や、「JJやCanCamモデル」や「ミス○○大学」という言葉が飛び交うたびにに、男性たちの目がうれしそうに細まるところは見逃さなかった。

かなり盛り上がり、2次会は青山の骨董どおりにあるシガーバーへ。
タバコはすわないけれど、葉巻というものはとても香りが良い。
32歳のイケ面が隣に座り、「自宅マンションには高層で見晴らしがよく、同じマンションには人気俳優が住んでる」とか「愛車はポルシェ」であるとか「前に付き合っていた彼女も大学生でタレントをしていた」なんていう自慢のような自己紹介を聞いたあと、名刺をもらい、電話番号を赤外線通信で交換した。
よくよく観察すると、それぞれにカップルが出来上がっているようだ。

夜中も2時をまわり、それぞれにタクシーチケットを渡され帰路につく。
帰りの車の中で、32歳リーマンからのメールを着信。
「今日はナナちゃんに出会えてとても楽しかった。今度食事誘ってもいいかな?」

返事は明日気が向いたら返すことにしよう。

はじめに

このブログはすべてフィクション。

でも、ここに出てくる3人の女の子は、どれもワタシではないけど、ワタシが思ったことだったり、経験したことだったり、想像したことであったり。

そんなブログを作ってみました。