震災小説「ブルームーン」
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震災小説「ブルームーン」予告編

 東日本大震災の日、過失傷害罪で名取川警察署に留置されていた児玉軍司は、警察署が津波で全壊し、捜査不可能との検事の判断で翌朝釈放された。

 徒歩でガレキの中を南下した児玉は数日後、福島原発の爆発に間近で遭遇。立ち上るキノコ雲の中に青い閃光を目撃した。


 川崎までたどりついた児玉は、原発作業員として売られて相馬港に戻るが、年齢制限で原発では働けず、会津若松市の産廃業者で住み込みの作業員となった。

 児玉は被災地への便乗不法投棄を繰り返すうち、津波に被災したとは思われないきれいな全裸死体を、放射能避難勧告地域の中で発見し、原発で見た青い光に似た光を放つ石のついた指輪を拾った。


 義捐金詐欺のため、いわき市役所を訪れた児玉は、偶然知り合った市職員の涸沼公二から、指輪をいたずらしているところを見とがめられた。

 涸沼は3年前に失踪したまま行方不明となった婚約者、佐々木美姫に贈ったロイヤルブルームーンストーンの指輪に間違いないと告げた。確かに指輪の内側には二人の名前の刻印があった。


 児玉は、死体を見つけたことは秘密にしたまま、涸沼を指輪の発見場所に案内したが、死体は消えていた。

 婚約者の生存を信じている涸沼は指輪がどこからきたのか調査してほしいと児玉に依頼した。