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Appleも困惑した謎アプリ「斉藤さん」 「第2反抗期」世代にウケて大ヒットの軌跡
「LINE」や「Viber」のようにスマートフォンで通話できるアプリに注目が集まるなか、ひときわ異..........≪続きを読む≫
「LINE」や「Viber」のようにスマートフォンで通話できるアプリに注目が集まるなか、ひときわ異彩を放ちつつも、ヒット街道を爆進しているアプリがある。ユードーが開発した「斉藤さん」だ。iPhone版を昨年9月に、Android版を今年1月に公開し、合わせて130万ダウンロードを突破した。
【拡大画像や他の画像:斉藤さんはキモかわいい世界観】
斉藤さんはその名の通り、全国の斉藤さんと無料でテレビ電話できるサービスだ。斉藤さんと“斉藤さんのファン”がアプリでつながり、一期一会の会話を楽しむ。実はApp Storeの審査に出す際、コンセプトが謎すぎて伝わらず、Apple側を困惑させた伝説を持つ。
アプリ上での1日の通話件数(ユーザーをマッチングする回数)は約180万件。同社によると、メインのユーザーは高校生や大学生という。どうやら謎すぎるアプリは若い世代にすんなりと受け入れられ、広まっているようだ。一体何が起こっているんだ……教えてユードーさん!
●「出会えない出会い系」
アプリの使い方はこうだ。自分が斉藤さんの場合は「斉藤さんはこちら」を選択し、そのほかの人は「斉藤さんと話す」を選択する。すると通話画面が現れ、無作為に選ばれた相手と、お互いのカメラ映像を見ながら、会話できる。映像はオフにして音声だけを楽しんでもいい。
通話した相手に対して自分のプロフィールを公開したり、お礼のメッセージを送ったり(やり取りは10回まで)する機能を備えているが、1度話した相手に再度電話をかける機能はない。もちろんメッセージ機能を使えば連絡先を交換することも不可能ではないが、アプリの趣旨は見知らぬ誰かと一期一会のコミュニケーションを楽しむことであるため「出会えない出会い系」と同社の南雲玲生社長は語る。
世界観は「素朴でシュール」を目指した。トップ画面には黄色に黒字の明朝体で「斉藤さん」と大きく書かれ、不気味なサイのキャラ「斉藤サイ造」が笑う。一言で表現するとキモかわいい感じだ。「かっちり真面目に作るより、シュールな方がウケると思って」あえてそうした。
ちなみに通話をするたび「斉藤」の判子がたまる機能があるが、判子を集めても特に何も起きない。ただ回覧板のように雑に判子が押されていくだけ。「そこにミステリアスさを感じるでしょ。アプリの企画ってテクニカルなことを考えがちなんですけど、感性を刺激するには世界観とかコンセプトが重要なんですよ」。
どうしても気になるのは、なぜ“斉藤さん”なのかという点だ。日本で多い苗字ならほかにもある。「狙おうと思ったら田中か佐藤なんですけど、みんな『なんで斉藤なの?』って疑問に思うから、良いんです。社内に斉藤さんがいたわけでもなく、ギャグです」と、南雲社長は意図を説明する。
●時代は繰り返す!? アマチュア無線と斉藤さんの共通点
南雲社長が斉藤さんのアイデアを思いついたのは昨年8月。デザイナーと2人で酒を飲んでいたときのことだ。「いたずらみたいなもんです。これを作ったらウケるかなーと一発ギャグのつもりで」――そのまま酔っ払った状態で仕様書を書いた。
「PianoMan」や「Aero Guitar」などのヒットアプリで知られる同社は、アプリの受託開発を多く手掛けているが、自社アプリへの思いも強い。「半年に1本はヒットアプリを出さないとユードーが忘れられてしまうという脅迫感があって」と、当時の心境を打ち明ける。
斉藤さんは「ウケる」と自信があった。過去にリリースした通話アプリ「Live Link 3G」がApp Storeの総合ランキングで1位になるなど、手応えを感じていたからだ。それからこんな直感も――「しゃべるって筋肉使うじゃないですか。ここを使うと気持ちいいなと思って」と、ほっぺたをさすりながら笑う。
そもそも「Live Link 3G」を作った頃から「次は絶対音声のソーシャルサービスが来る」と思っていた。「小学校の頃、アマチュア無線の免許を取ったんです。知らない人と交信して話して『また空で会いましょう』って別れるその切ない感じが面白くて。時代は繰り返すと思う」。
酔っ払って書いた仕様書は開発者の手に渡り、アプリは2日間で完成した。ちなみにこのとき、斉藤さんがウケると思っていたのは南雲社長だけだったそう。「『これ大丈夫でしょうか?』と社員から聞かれるから、大丈夫って言うしかないじゃないですか。だから大丈夫って返事して(笑)」。
App Storeの審査には少々手間取った。Appleの審査チームが斉藤さんがどんなアプリか理解できず「ビデオに撮って説明してくれ」と突き返されたのだ。そのため南雲社長らは英語で芝居し、斉藤さんを説明する映像を送ったという。「こんなこと初めてでしたよ」。
●なぜか「第2反抗期」世代に刺さった
iPhone版のリリース直後は斬新なコンセプトがネットユーザーにウケて話題になった。「静岡の斉藤ですって出てくれたりした。全国の斉藤さんは気になってダウロードしてくれたんでしょう。最初はアーリーアダプターと斉藤さんに刺さってた」。だが対応OSが当時の最新バージョンに限られていたこともあり、ダウンロード数は思うように伸びなかった。
App Storeのランキングはいきなり圏外。「ギャグにしてはさみしいので(このアプリは)なかったことに……」とまで思っていた。だが1カ月経った頃から急に勢いづき始める。1日ダウンロード数は10~20件ほどだったのが5000~6000件に。同社が調べてみると、口コミで高校生や大学生に広まっていることが分かってきたという。
記者も実際に斉藤さんを使って高校生につながったことが何度もある。ある男子学生は友人の半分がスマートフォンを持っており、休み時間に斉藤さんを使って誰かと通話するのが学校で流行っていると話していた。南雲社長自身も高校生につながり、恋愛相談を受けたことがあるそうだ。
斉藤さんは「第2反抗期の複雑な世代」に刺さっている――と、南雲社長は見ている。大人になる1歩手前の彼らにとって、知らない人と通話する斉藤さんは「ちょっと怖いけどやってみたい」と心を刺激される存在であり、「管理された大人の社会」とは別の「自分たちの空間」として居心地が良いのかもしれない。
ユーザーの男女比は正確なデータがとれていないが「男性7割、女性3割くらい」という。アクティブに使っているのもメインは男性。斉藤さんで遊ぶ様子をライブ配信しているユーザーも多いようで、ニコニコ生放送には動画がいくつもある。
●ヒットの鍵はドン・キホーテにあり!?
斉藤さん含め、同社が開発し、ヒットしているアプリの多くは「大衆向け」を意識してきた。アプリには「大手が開発した保守的でかっちりしたもの」や「スタートアップが作るシリコンバレーっぽいギークなもの」など色々なタイプがあるが、目指しているのは「ドン・キホーテに来るような人向け」。「そういう所が穴なんです。僕も年に数回シリコンバレーに行って色んな情報をキャッチするけど、吐き出すものは違う。(街で例えるなら)青山じゃない」
今後は斉藤さんの海外展開を進めていく。今年2月には韓国向けに「朴一族」というタイトルでリリースしたばかり。英語版「スミスさん」、中国語版「王さん」も企画している。「海外で日本のギャグが通じるかどうかはやってみないと分からない。深く考えず勢いでやってみたい。力んで海外進出とかやると失敗するんで、軽いノリでいきたいと思う」と、肩の力を抜いて構えている。
収益面では、斉藤さんに広告を掲載しているほか、アプリで培ったVoIPの技術を業務用に応用していく。「僕達はVoIPの実証実験として最大の場をもってるわけです。100万人で実験できているので、業務用に応用するのも簡単です」。実際には電話オペレーターにスマートフォンアプリからつなぐ――といった事例をすでに展開しており、ほかにも同社に依頼がいくつか届いている。
「『こんな出会い系みたいなアプリあっていいのか』なんて“おっさん”から言われることもあるんですけど、そう言われたら『大人めーっ』って(思うことにしている)」と南雲社長。メインユーザーである「第2反抗期」特有の大人に抗う「反体制」な気持ちをちょっぴり味わい、だからこそ「(ビジネス面でも)ちゃんとしてやろう」と燃えている。
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