今日は大塚さんの主催で、シリコンバレーでもめったに聞けない講演会があった。
Google NEST CTOの松岡陽子さん(Yoky)
東大発二本足ロボットベンチャーでDARPA コンテストで優勝し、Googleに買収されたSchaftの共同創業者 加藤崇氏
どちらの方も、自分の生き方に迷いながらも、迷っている解決策を次々に追いかけて、現在に至る。
それぞれの方の現在の仕事についても面白い話が聞くことが出来たが、最後のQ&Aでの会場とのやり取りが、お二人の生き方を反映していてとても中身が濃かったので終わりにまとめた。
加藤さんは、大学は物理を専攻していたが、一番人気の銀行に入社してから、不良資産処理や企業再建などを10年ほど経験して、あるとき東大の2名の研究者とともに二本足歩行ロボットスタートアップSchaftの共同創業者となって、CEOの役割を果たす。
資金調達や、他の企業との連携の中でSchaftがGoogleに買収されることを先導した。加藤さん自身はGoogleには入らず、現在のFRACTAというスタートアップをCEOとして立ち上げ中である。
FRACTAは米国の水道管劣化推測プログラムを持つ会社で、地域ごとの水道会社に、劣化のシュミレーションで、配管の交換時期を最適化し他情報提供をする。
米国での水道管交換工事費用は年間1兆ドルの規模で、加藤さんのソフトウエアが貢献できると4000億ドル程度節約できるという。現在は立ち上がり始めた会社の事業で、仲間と一体となと取り組んでいる。
Yokyさんの講演会は、4年前にやはり大塚さんの講演会で聞かせていただき、内容の密度に圧倒されたが、今回もパソコンが何故か不調でプレゼン資料のプロジェクトはなかったが、中味が濃かった。
前回は松岡さんがGoogle-XからNESTに入り共同創業者となりGoogleが2014年にNESTを$3.2Bilで買収して、古巣に戻った頃の話までであった。
その後、YokyはHealthの的を絞り、2015年にはHealthcare Start upのCEOとなり、Appleに売却後AppleのHealthcare担当を昨年までやり、そしてNESTにCTOとして戻った。
お二人とも、普通では経験できない仕事をしてきている。
Q&A
1.Design ThinkingにDeep LearningによるCreativityを入れるのは可能か?
No. Deep Learningは行き先を決めないと応用できないので
2.お二人はVisionがあるが、どうやって人を選ぶのか?
Yoky:学ぶ気のある人、Mission Drivenな人
Kato:Passionのある人
3.Techに馴染みのないの人へのアプローチ
Yoky: Machine Learningで「人」を誘導するやり方で失敗したことがある。人の「自主性」を尊重してMLを追加するのが良い
Kato:TechにFocusしすぎると(水道事業者とは)話にならない。彼らの本当の狙いまで踏み込まないと会話は進まない。
4.日本人である優位性を感じたことはあるか?
Kato :水道管事業は日本の緻密なCultureに裏打ちされている
Yoky :女性がでしゃばると叩かれ、おとなしすぎると昇進できないが、ほどほどの感覚がもてたこと
5.日本から世界的な企業が出てこないのは?
Yoky:SVは米国内でも例外的ではある。日本に欠けているのはAIとかComputer Scienceを小さいときから教えること
Kato:今の事業を日本でやったら完成度はいまの70%位
こちらは、多くの人が前へ、前へと進む
6.企業カルチャーで大切にしていること
Yoky:会社規模で変わるがお互いのRespectは大事にしている
Kato:コアとなる人の考え方が大事でそれが言行一致でないと信用されない
7.現在高校生へのアドバイス
Yoky:メンターを探して頼む
Kato:自分は高校では医者になりたかったがなれなかった。
それが良かったかもしれない
8.落ち込んだときの気持ちの切り替え
Yoky:泣いたりもしたが現在はMindfullnessの時間を取っている
Kato:苦しい時期、恐怖もあったが待つことも大事
「風車 風が吹くまで 昼寝かな」
緊張する場面でJokeを言えることも大事
9.Yokyさんの自制した生活
生き残りのためにやっているが、家にはNet環境、TVはない。
朝スマホを見ないとか心がけている。
シリコンバレーでもめったに聞けない深い内容のほとばしり出た講演会でした。会場の若い方々からの質問も、自分の生き方を探す真摯な姿勢が反映されていました。
アレンジいただいた大塚さんご夫妻に感謝申し上げます。