『嗜癖問題』とは、
ある行動パターンや物質、人間関係にのめり込む事で引き起こされる問題群のこと。

嗜癖というのは、特定の行動パターンや習慣的行為への執着を意味します。

嗜癖そのものは嗜好が強まったもので、習慣的行動(飲酒・喫煙・趣味的娯楽)の病気ではないものを含みます。
その程度が激しくなると、薬物・アルコールなどの乱用や、その行動をしないと離断症状がでる依存症といった病的な状態になっていきます。

アルコールや薬物などの物質への嗜癖をまとめて『物質嗜癖』と呼び、
その程度が増すと、『物質乱用』
そして、アルコール依存症や薬物依存症といった『物質依存症』
へと進行していきます。

他には、
買い物をしないと情緒不安定になる『買い物依存症』、
毎日ギャンブルをせずにはいられない『ギャンブル依存症(病的賭博)』、
特別に必要なお金ではないのに、買い物やギャンブルをする為に借金を繰り返す『借金癖』、
痩せる事への強迫観念に囚われてしまい食事をとることを拒絶したり、反対に痩せ願望を抱えつつもストレス解消のために異常に食べ過ぎてしまう『摂食障害(神経性食欲不振症・神経性大食症』、
仕事をしていないと生きているという実感がなかったり、落ち着かなかったりする『仕事中毒(ワーカホリック)』などがあります。

人間関係への嗜癖には、
恋愛を絶えずしていないと孤独感や淋しさに押し潰されそうになるといった『恋愛依存症』や
セックス(肉体関係)を絶えず誰かと持っていないと不安やストレスを感じるという『セックス依存症』、
相手から自分を必要とされ、求められる事によってしか自分の存在価値を実感できないという『共依存関係』、
暴力的な感情表現しかできず、そういった関係をいつも維持しようとする『暴力的人間関係』と
いったものがあります。

嗜癖問題が起こる原因は様々ですが、
各原因に共通するのは
人生に対する虚無感や空虚感といった虚しさ
があります。

自分の人生に対する楽しみや喜びが少なく、
目的意識も乏しいために未来に対する希望の喪失を感じやすく、
日常の仕事や家庭のストレスに負けてしまって、
一時的な快楽へと逃避してしまうところに嗜癖問題の原因が求められます。

嗜癖の程度が進行して、
対象(アルコール・薬物・人間関係・ギャンブルなど)への
のめり込みが強くなり完全にその行為に没頭して『依存症の段階』になると、
通常、個人の意志や決意だけでは依存症の状態から立ち直ることは難しくなります。