1・4東京ドームを目前に控えた新日本プロレスで、
ファンの記憶に強烈に刻まれる出来事が起きた。
前哨戦として行われた10人タッグマッチ。
試合は開始直後から荒れ模様となり、
ハウス・オブ・トーチャーのラフファイトが場内の空気を支配していく。
その異様な流れに、観客の期待を一身に背負って現れたのが
東京五輪柔道金メダリスト・ウルフ・アロンだった。
リングインの瞬間、会場には確かな高揚感があった。
しかし結果は、多くのファンの予想を裏切るものとなる。
背後からの奇襲、無慈悲な攻撃、そしてベルトによる一撃。
ウルフ・アロンはなすすべなく倒され、
この前哨戦は“衝撃”という言葉が最もふさわしい結末を迎えた。
だが、新日本プロレスはここで終わらせなかった。
沈黙と重苦しさが広がるリングに、
空気を切り裂くように登場したのが武知海青である。
DDT所属、そしてTHE RAMPAGEとの二刀流という異色の存在。
彼の登場は単なる話題作りではなく、
明確な「物語の転換点」として機能した。
武知は迷いなく海野翔太、上村優也と並び立ち、
即席ながらも息の合った連携でHOTを排除。
トリプルドロップキックが決まった瞬間、
会場の空気は完全に変わった。
ここで重要なのは、
この3人が「急造ユニット」でありながら、
不思議な説得力を持っていた点だ。
海野翔太は“光”という言葉で武知を表現したが、
それは決して誇張ではない。
混沌とした前哨戦の流れの中で、
彼らは明確な対比として機能していた。
ウルフ・アロン沈没という“闇”。
その直後に現れた“新トリオ”という“光”。
新日本プロレスが得意とするストーリーテリングが、
この一連の流れに凝縮されていたように感じる。
では、この新トリオは1・4東京ドームで
どのような役割を果たすのか。
個人的な見解を述べるなら、
彼らは優勝候補や本命という立場以上に、
「試合の流れを変える存在」になる可能性が高い。
特にトルネードランボーのような形式では、
完成度よりも勢いと物語性が結果を左右する。
武知海青という異物が加わったことで、
海野と上村の存在感も一段引き上げられた。
1・4東京ドームは、
単なる勝敗以上に“何が始まるのか”が問われる舞台だ。
この新トリオは、その答えの一つになるかもしれない。
前哨戦で生まれたこの瞬間が、
後に「すべての始まりだった」と語られるのか。
その答えは、東京ドームのリングが教えてくれるだろう。