今日は自らの体験談と、タクシーのドライバーの苦労話から。最初がびっくりしたのはそのタクシードライバーとの「再会」。ある日の朝、職場に戻るのに使ったタクシーのドライバーが、目的地についたら何やらイライラしている様子。自分がお金を払おうかなあと小銭を探していると、ついに「早くしろ!公安が来るから!」とイキナリ怒鳴りだしました。驚きと、イキナリ怒鳴られて腹が立った自分は、追い出されるように降りた後、ちょうど持っていたレシートで番号がわかったので、そのタクシー会社に「公安はわかるけど、客を怒鳴るとはどういうことだ!」と文句を言いました。とりあえずその日は終わり、数週間も経ってそんなことも忘れていました。

TTGT
こちらはハノイ市の「交通監査」、そう言えばこの青色もよく見かけます

 今日また仕事の途中でタクシーを拾ったら、そのドライバーが「行き先は◯◯◯だろ?」と自分の職場を知っていました。何で知っているのかを聞くと、「オレはほら、あんたが会社に文句を言ったあのタクシー運転手だよ、お陰でクビになるかと思ったよ」とニヤリ。何ともまあ、ハノイにある無数のタクシーでまた同じドライバーに出会うとは。気まずいかと思ったらそこからドライバーは公安に対する文句をタラタラと。そこからこのタクシードライバーとの「年の瀬の公安」話になりました。以下は彼のお話、そのままです。細かい真偽は彼に確かめて下さい(笑)。

 「いやー、あれは本当に公安が来てやばかったんだよ。一回捕まると120万ドン(約6000円)は取られるからたまったもんじゃないからなあ。そんなのに捕まったら商売あがったりだよ。本当にいつ来るかわからないしなあ、この時期は。」

 「今はもう旧正月が近いテトシーズンだから、公安はみんな街に繰り出して交通違反の検挙ラッシュだよ。部屋にいるやつなんていないんじゃないか?一日に公安が一人当たり2500万ドン(約12万円)は稼いでるっていうよ。その内、幾ら国庫に入るって?いやーそりゃもう全部ポケットに行っちゃうんでしょ。でも、全て彼らの物になるってわけでもないんだ。だってそろそろ正月だから、彼らはそれで上司に貢いだり、奥さんに素敵なプレゼント買ったり大変なんだから、大変なんでしょ(苦笑)。」

 「やっぱり国道沿いや空港周辺なんかの取締りが「人気スポット」らしいよ。そういうポジションをゲットするには20億ドン(約100万円)くらいは払わなきゃいけないらしいねえ。十分元が取れるんだろう、良いビジネスだねえ。じゃあなんでオレは公安にならなかったんだって?オレは頭が悪かったからね(笑)。それに公安なんて公安関係者の子供や親せきじゃなきゃなれないんだよ。そうじゃなきゃ、もう金を積むしかないね。」

 「街中では「4つの機関」が交通違反者を狙っているんだ。交通警察だろ、それに交通監査(運輸交通省系統の取締組織)、区の公安に坊(注:都市部での最少行政単位)の公安だ。それぞれ捕まえられる対象が決まっているんだ、トラック、乗用車、オートバイ、違法駐車や違法な客引き、荷物の上げ下ろしなどなど。区や坊の公安は大きな道には来ないから、小さな道の角で狙ってるんだ。どれがどれかって、そりゃあ複雑なんだよ。ともかく、色々なやつらを警戒しなきゃいけないってことだ。ほら着いたから、早く払って降りてくれ。」

 そんなこんなでまたもバタバタと降ろされました。こんなところからもテトが近いだなあと感じさせられるとはねえ。最初は気まずいかと思ったひょんな「再会」から、これまたベトナムの日常に隠れた一コマを見ることとなりました。