久々のこのドラマから見た中国シリーズ。今回見ました「鋼鉄年代」は37回シリーズと長いもので、そこから見える中国の異なる側面は多かったです。そこで、何回かに分けてこのドラマをみて考えたことを書いていこうと思います。
ドラマの舞台は、戦前に日本が建てた鞍山製鉄工場が、国共内戦、新中国建国を経て、中国工業化に向けてどのように再興していくかという時代背景の中、戦時中の混乱の中引き裂かれ、また奇妙な縁で結ばれ、また喧嘩し、といった複雑な関係の3人(男2人、女1人)を基点に描いたものです。この3人の付かず離れずというか、奇妙な腐れ縁もドラマとしては面白いのですが、今日まず最初に取り上げるのは、鞍山製鉄工場再興のためにそのまま残ることになった日本人技術者、ドラマ前半を多彩に彩った、日本人技術者「鈴木加代」の存在です。
中国で活躍する日本人女優、松峰莉璃さんが演じる加代は、父親と同じく技術者としての道を歩み、居残る日本人技術者が中国人労働者・経営者と付き合いを深くしない中、中国人コミュニティーの中に入りこみ、次第に工場長である尚鉄龍を愛するようになります。最初は加代の勝気な態度に同じく勝気な工場長も反発していきましたが、彼女の提案する各種の高炉改造案などを議論する中で、徐々に好感を持つようになっていきます。そして、ついには結婚一歩手前というところまで来るのですが、その時に日中戦争後の残留日本人を捜索する日本からの代表団に入って訪中した母親が彼女を日本につれて帰ろうとやって来て・・・。
あんまり書くとネタばれし過ぎるのでこのくらいにしますが、この一連のストーリーの中での加代の描かれ方は非常に好意的なもの、かつ前半では準主役といっても良いくらいの中心的役割です。「日本ファシズムが悪いだけで、日本人が悪いわけではない」というトーンは、まあ政治・外交的には常に言われてきたことなのですが、それをこういう人間ドラマの中で描いてもらうのはなかなか爽やかです。しかも、革命戦士で労働者のリーダーである尚鉄龍と日本人が恋に落ちる・・・、というのは筋を追っていくにつれ想像は付きましたが、それでもびっくりしました。加代は松峰さんの流暢な中国語もあってか、普通にストーリーの中の一員となっている感じです。当然後半には彼女が日本人ゆえの悲しい結末も待っているのですが、例えば「お前が加代と結婚すれば、共産党員ではいられないぞ!」尚鉄龍が迫られるシーンでは、日本人云々ではなく、当時の(そしても多少は今でも)あるこの共産党員としてのルールの方が不条理であると感じる筋書きです。
ドラマの感想を語り合う「百度張吧」には多くのスレッドが立っているのですが、その中でも「鈴木加代がでなくなった前半だけでドラマを見るのを止めた、とても惜しい!」「日本の母親はこんなに「中国のかあちゃん」みたいに我がままで娘のことを考えなくは無いだろう」「この女優さんは演技がしっかりしている。中国のたいていの女優より良いのでは?」などと、中心人物のひとりであった鈴木佳加代を巡って、議論が繰り広げられていました。しかも、多くはこの鈴木加代に対して好意的な意見で、ドラマの中での存在を認知しているようでした。
日本人が「日本鬼子」ばかりではない筋書きも、最近のドラマでは見られるでしょう。ただ、このドラマも基本的には新中国建国後の「中国共産党の正しい指導の下」のドラマであることは変わりませんし、当然建国後から文化革命前夜ということでは「抗日戦争」に勝った中国という背景は端々に出てくる、そういった現代「時代劇」です。その中で、このように爽やかな日本人像を残した鈴木加代の姿は、ドラマ前半のハイライトシーンでもありました。その大きな取り上げられ方を意外に感じつつ、中国のドラマの中での日本の描かれ方の変化を感じた部分でした。
ドラマの舞台は、戦前に日本が建てた鞍山製鉄工場が、国共内戦、新中国建国を経て、中国工業化に向けてどのように再興していくかという時代背景の中、戦時中の混乱の中引き裂かれ、また奇妙な縁で結ばれ、また喧嘩し、といった複雑な関係の3人(男2人、女1人)を基点に描いたものです。この3人の付かず離れずというか、奇妙な腐れ縁もドラマとしては面白いのですが、今日まず最初に取り上げるのは、鞍山製鉄工場再興のためにそのまま残ることになった日本人技術者、ドラマ前半を多彩に彩った、日本人技術者「鈴木加代」の存在です。
中国で活躍する日本人女優、松峰莉璃さんが演じる加代は、父親と同じく技術者としての道を歩み、居残る日本人技術者が中国人労働者・経営者と付き合いを深くしない中、中国人コミュニティーの中に入りこみ、次第に工場長である尚鉄龍を愛するようになります。最初は加代の勝気な態度に同じく勝気な工場長も反発していきましたが、彼女の提案する各種の高炉改造案などを議論する中で、徐々に好感を持つようになっていきます。そして、ついには結婚一歩手前というところまで来るのですが、その時に日中戦争後の残留日本人を捜索する日本からの代表団に入って訪中した母親が彼女を日本につれて帰ろうとやって来て・・・。
あんまり書くとネタばれし過ぎるのでこのくらいにしますが、この一連のストーリーの中での加代の描かれ方は非常に好意的なもの、かつ前半では準主役といっても良いくらいの中心的役割です。「日本ファシズムが悪いだけで、日本人が悪いわけではない」というトーンは、まあ政治・外交的には常に言われてきたことなのですが、それをこういう人間ドラマの中で描いてもらうのはなかなか爽やかです。しかも、革命戦士で労働者のリーダーである尚鉄龍と日本人が恋に落ちる・・・、というのは筋を追っていくにつれ想像は付きましたが、それでもびっくりしました。加代は松峰さんの流暢な中国語もあってか、普通にストーリーの中の一員となっている感じです。当然後半には彼女が日本人ゆえの悲しい結末も待っているのですが、例えば「お前が加代と結婚すれば、共産党員ではいられないぞ!」尚鉄龍が迫られるシーンでは、日本人云々ではなく、当時の(そしても多少は今でも)あるこの共産党員としてのルールの方が不条理であると感じる筋書きです。
ドラマの感想を語り合う「百度張吧」には多くのスレッドが立っているのですが、その中でも「鈴木加代がでなくなった前半だけでドラマを見るのを止めた、とても惜しい!」「日本の母親はこんなに「中国のかあちゃん」みたいに我がままで娘のことを考えなくは無いだろう」「この女優さんは演技がしっかりしている。中国のたいていの女優より良いのでは?」などと、中心人物のひとりであった鈴木佳加代を巡って、議論が繰り広げられていました。しかも、多くはこの鈴木加代に対して好意的な意見で、ドラマの中での存在を認知しているようでした。
日本人が「日本鬼子」ばかりではない筋書きも、最近のドラマでは見られるでしょう。ただ、このドラマも基本的には新中国建国後の「中国共産党の正しい指導の下」のドラマであることは変わりませんし、当然建国後から文化革命前夜ということでは「抗日戦争」に勝った中国という背景は端々に出てくる、そういった現代「時代劇」です。その中で、このように爽やかな日本人像を残した鈴木加代の姿は、ドラマ前半のハイライトシーンでもありました。その大きな取り上げられ方を意外に感じつつ、中国のドラマの中での日本の描かれ方の変化を感じた部分でした。