映画というものは、撮っただけではただの映像にすぎない。ちゃんと公開することで、初めて映画になる。

by 原正人
大ヒット作には「時代性」と「普遍性」という要素が必要である。

スタジオジブリのプロデューサー鈴木敏夫氏も、

「時代性があれば映画はもつ」

と言っていた。

象徴的なのは1998年の大ヒット作「もののけ姫」のキャッチコピー、

「生きろ」

98年という時代は世の中は不景気でみんなが自信を失くしていた時代にシンプルに「生きろ」と投げかけた。これすごくない?

と話が反れましたが、「スパイダーマン」は大ヒット映画である。

その理由は「スパイダーマン」には「普遍性」があるからだと思う。一見、派手なアクションのヒーローモノと思うけど、そのストーリーにはヒューマンドラマがある。ヒーロー、家族愛、恋愛、友情などなど。

派手な絵とストーリーでエモーショナルな部分に届く映画。表面と内側の両方を満たす映画。それゆえ、人々に愛される。

それは、スターウォーズやいい男にも当てはまる。

スパイダーマン」では、内気な主人公がパワーを手に入れ、おじの死の悲しみやパワーの誘惑を乗り越えていく成長のドラマの中に、「大いなる力には大いなる責任が伴う」というメッセージが込められているように思う。

スパイダーマン2」では、自分の責任とMJへの愛とを天秤にかけ受け入れて運命に苦悩する一人の男=一人のヒーローを描いていた。

スパイダーマン3」は完結編ということで、「最後の敵は自分自身」という人間の根本を描いているというイメージを予告編など観て思っていた。

スパイダーマンvsブラックスパイダーマン。

ジェダイvsシスみたいな。

が、しかし。。。。

ボクは、そのドラマの薄さに愕然とした。

それぞれのエピソードに感情移入できるほどのドラマがないのである。

サンドマンは、なぜサンドマンになってしまったのか?

→事故。

ブラックスパイダーマンの正体は?

→地球外生命体。

そんなことしたらなんでもアリになっちゃうだろ!

都合のよいエピソード満載なのである。

今回の「スパイダーマン3」のヒットは約束されているがゆえに製作費は300億以上・・・そのお金はヴィジュアルのほうに回されてしまったのだろうか。

とはいえ、アクションシーンはかっこいい。

心が乾いているときの、オアシスにはならない映画な気がするが十分楽しめる作品ではある。

「大いなる力には大いなる責任が伴う」

それがスパイダーマンシリーズではないのだろうか?

これは3部で完結するとは思えないのはボクだけだろうか?
わけのわからん完結編にしたのは、続編を狙っているのかもしれないと密かに期待している。

原題:SPIDER-MAN 3
製作年:2007年
日本劇場公開:2007年5月1日予定
アメリカ劇場公開:2007年5月4日予定
製作:コロムビア映画、マーベル・フィルム(アメリカ)
公式サイト:www.spider-man.jp
公式サイト:http://spiderman.sonypictures.com

■スタッフ■
監督:サム・ライミ「スパイダーマン」
製作:アビ・アラド、ローラ・ジスキン
原作コミック:スタン・リー、スティーブ・ディトコ
脚本:アルヴィン・サージェント
音楽:クリストファー・ヤング
視覚効果スーパーバイザー:スコット・ストディク
特殊視覚効果:ソニー・ピクチャーズ・イメージワークス

■キャスト■
トビー・マグワイア(スパイダーマン/ピーター・パーカー)
キルスティン・ダンスト(メリー・ジェーン・ワトソン)
ジェームズ・フランコ(ハリー・オズボーン)
トーマス・ヘイデン・チャーチ
トファー・グレイス
ボクの「東京の」おかんと一緒に観た。

今まで2時間ドラマ、TVドラマとやっていたけどしっかり見たことがなかったのでマザコンのボクは楽しみにしていた。原作も読んでいない。

ボクはこの「東京タワー」という作品を遠ざけていた。
なぜなら、「マザコンジャンル」はボクが世に放つ予定だったからだ(笑)

映画は、オダギリジョーのナレーションで淡々と「ボク」の子供時代から描かれていく。淡々と・・・

「大学生のボク」でやっとオダギリジョーがメインとなって話が展開していくのだが。

ここまで来るのに50分ぐらい!
オダギリジョーがもっと早くでてこないと画面がもたないなと感じた。つまりちょっと寝てしまった。。。

原作を読んでないからわかんないけど、きっと「うまくまとめたんだろうなぁ」と思います。

とはいえ。

最終的には泣かされました。

この話ってけっこうボクの家族と構図が似てる。だから敬遠していたところもあった。

ダメ親父と母性の強い母。

「おかんは結婚には失敗したけれど、心優しい息子が持てて幸せだった」

同じことをボクもオカンから言われたことがあったりする。

ボクのオカンもいつかこの世からいなくなる。
みんなのオカンもいつかこの世からいなくなる。
もうオカンがこの世からいない人もたくさんいるだろう。

現代人よ、マザコンぐらいがちょうどいいんじゃないのかい?

何が親孝行かわからないけれど、早くおいしい物を食べさせてあげたりといった単純な親孝行ができるようになるために、頑張ろうと思った。

主題歌の「東京にもあったんだ」を聴くとモチベーションがあがる今日この頃です。