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「忘れないと誓ったぼくがいた」に続き「シュガーな俺」、
そして今回はデビュー作 「ラス・マンチャス通信」を読みました。

前2作は主人公=著者という感じの、いわゆる「リアル」な物語世界、
さわやか、と言うか最終的にはある種の解決に至りました。

しかしこの作品は悪夢の中でもがき続けているような、かなり異様な世界。
結構悪趣味とも取れる状況満載。
主人公とその家族は泥沼的状況に囚われていて
話が進むにつれてその状況はますます泥沼化。
それは運命的に、と言うより無意識のうちに本人たちが望んだ事。
可能性をどんどん狭めて、諦めが積み重なる。

すごい。
すべての状況が説明されるわけでもなく、問題が解決するわけでもないけど
確固たる世界がきちんと構築されていてその中で物語が進行していく。
どこにも破綻がない。
「神様が降りてきて」書いた物語を練りに練った感じ。

繰り返しになりますが長い悪夢を見続けているよう。
まるで、前1輪パンクした車がその方向にハンドルをとられ続けて
望まない、思いもよらない場所に連れて行かれるかのような。

表現はものすごくビジュアル的。状況が目に浮かぶ。
ことばの感覚、固有名詞が持つ響きがが普通じゃない。
これがデビュー作とは!

それにしてもタイトル候補の「ぐるぐるカルマ紀行」って。
確かに内容を表しているとは思うけど。