私はあなたが嫌いだ
私はあなたが嫌いだ。いつもキラキラしていて、みんなの中心にいて、綺麗な笑顔で、人望も厚く、信頼されていて、運動もできて頭もいいときた。
それに比べて私は、勉強はできても運動はできない。得意な勉強でさえもあなたに抜かれる時がある。キラキラなんてしていないし、クラスの端っこにいるいわゆる「芋女」だ。
学校なんていても面白くないから笑えないし、友達さえもいない。
え?羨ましがるなって?なに言ってんの?それ笑える冗談だね。別に羨ましくもないし、その子になりたいなんて1ミリも思ってない。
嘘をつくな?嘘なんかついてない。本心を言ってるの。あんたに私のなにが分かるって言うのよ。会ったばかりで、私があんたのこと知らないのに、知ったような口を聞かないでもらいたいものね。
でもひとつあの子に勝てるものがあるの。それはゲーム。自慢じゃないけど、最年少で日本初の世界ランク入りしているくらいの腕前よ。現実世界では友達なんかいないけど、ゲームの世界ならたくさんいるの。私英語が得意だから、外国にもゲーム仲間がいるの。あの子にはそんなグローバルな友達なんかいない。学校という狭い環境で大きなグループの頭にいるだけ。私なんか世界のプレイヤーが注目する超有名人なんだから!
そういえば、この前ニュースでやってたのよ?私のこと!え?見てない?あっそ。別に見てもらわなくても結構。来週はゲーム雑誌のインタビューがあるのよ?これで私も勝ち組よ。こーんなせまっ苦しくて、息のしづらい環境なんて屁でもないわ!
でも、さっきあの子に言われたの。「あなたが嫌いだ」