「西向地蔵は、住吉万代東郵便局の近くに在りました」。
「北向地蔵」を採り上げた去る11日のブログに、コメントをいただいた方からご連絡いただきました。
地蔵堂に限らず、寺社の本堂・本殿なども、「南向き」か「東向き」に祀られるのが一般的です。
北に在って南に向かうのは、中国の「天子は南面す」という思想に倣って、日本でも儀礼の場において重要な方角として尊ばれてきました。陽光が最もふりそそぐ向きになります。
また、毎日、太陽が昇っては沈む東西方向も重要な方角で、特に、日の出が見える東向きが尊ばれているものと思われます。
もっとも、北向きや西向きが悪いというものでもなく、特別の謂れや地勢的な問題でその方向をとるものもあるようです。数的には少ないですが、その中でも敢えて「北向・西向」を冠するものは、それなりの考えがあってのことと思われます。
● 住吉区大領5丁目7番街区 「西向地蔵尊」
さて、教えていただいた大阪市住吉区万代(ばんだい)東4丁目にある「万代(まんだい)東郵便局」近くの、「西向地蔵尊」を訪れました。道を挟んで、町名が変り大領(だいりょう)5丁目になります。
残念ながら、由緒が掲示されていません。先の「北向地蔵尊」と同じ考えによるものでしょうか。
● 住吉区長居西2丁目10番街区 「(北向)地蔵尊」
「西向地蔵尊」は、江戸~明治期の「寺岡村」の西端になるようなので、東の長居公園にかけての旧道に入りました。逆に西に向かえば「住吉大社」に通じる古道です。
くねくねと曲がった道は、「寺岡村集落」があった「長居西2丁目」に入ると、道幅も狭くなります。
左手(北側)に在る「真光寺」の右手の路地の奥に、「地蔵尊」が祀られていました。
南向きのお寺に相対するように、北向きに建てられています。
三体の石像が祀られていますが、名称は不詳です。
● 住吉区長居東4丁目4番街区 「地蔵尊」(旧料亭「浮ぶ瀬」より移転)
「JR阪和線・長居駅」の東側のお宅の門の脇に、東を向いた地蔵尊が祀られています。
由来書に依ると「四天王寺」西方の「清水寺」北側に、松尾芭蕉も宿とした「料亭・浮ぶ瀬」があり、その奥庭の池の築山に祀られていた「臨南浮ぶ瀬地蔵尊」を、戦後、焼け跡より当地に持ち帰ったとあります。名称から見て、南向きであったものを、ここでは東向きに改めたことが窺えます。