大阪市住吉区長居2丁目8番街区にある「延喜式内・多米(ため)神社之址」。
阿倍野区から住吉区にかけて、「あびこ筋」の少し西を平行に走る道路。
地元では「庚申街道(こうしんかいどう)」と呼ばれていますが、あびこ筋を斜めに横断してきた「JR阪和線・長居駅」付近で、その形が途絶えます。
その少し手前(北側)の十字路の南西角にあるのが、「多米社址」。
この十字路で長居2丁目の5~8番街区が分かれます。
跡地北側の5番街区に「住吉長居郵便局」があります。
< 十字路の東から > < 十字路西から >
「多米神社」は、「延喜式・神名帳(えんぎしき・じんみょうちょう」に記載されている「式内社」(しきないしゃ)の一つ。現在、同じ町内にある「神須牟地(かみすむち)神社」の境内と離れて祀られている「境外社(けいがいしゃ)」で、「苗見神社・種貸神社」の別名をもつ「式内社」です。
現在、木製鳥居や標石には、「多米社」と書かれています。
敷地内には、幹回り2.6m・高さ16.0mの「くすのき」の大木があって、平成9(1997)年7月10日、大阪市の「保存樹」第68号に指定されています。
★☆ 大和川叢書④『流域歳時記・甚兵衛と大和川~この日何の日』 7月9日 要旨 ☆★
● 《 『延喜式』を施行(967) 》
現在の刑法・行政法・民法にあたる「律令(りつりょう)」の制定後、必要に応じて出された法令を「格(きゃく)」と言い、それらの施行細則が「式」と呼ばれます。この格式を政務に便利なように分類整理が行なわれましたが、その中で最も有名で、式がほぼ完全に近い形で残っているのが「延喜式」。平安中期の延喜5年(905年)に第60代醍醐天皇の命でr編纂され、927年に一応完成、実際には康保4年(967年)のこの日から施行されました。全50巻の内、9・10巻が「神名帳」。ここに記載のある式内社は、一般に、記載のない式外社(しきげしゃ)より格式の高い神社と見られています。