今は、大阪府柏原市(かしわらし)上市(かみいち)の築留(つきどめ)堤防上の「大和川治水記念公園上」に建つ「中甚兵衛翁像」。当初は、資料館もあった安堂町の「柏原市教育センター」前に設置されました。
中甚兵衛の生誕350年に当る平成元(1989)年のこの日に、除幕式が行なわれています。
NHK-TVニュースや新聞各紙でも報道されました。
左手に丸めた図面をもち、鹿革の陣羽織を着用した甚兵衛が、右手を挙げ新川が流れ行く方向を指さす姿を表現されたのは、八尾市在住の彫刻家・「高橋宏至(たかはし・ひろし)」さんです。
建立者は、「柏原市ライオンズクラブ」。
柏原市の一部前身である「柏原村」は、江戸期、大和川が付け替えられると、新川で土地を失うと共に、治水・利水面で新たな問題を抱え込むとして、半世紀近くに及ぶその計画に終始、反対の立場を貫きました。
結果的には、古大和川の舟運である「剣先船」が従来のルートを失い、了意川(平野川)の舟運を独占していた「柏原船」の隆盛につながるという側面もありましたが、迷惑なことでもありました。
そうした往時の事情と裏腹に、クラブ創立25周年の記念事業に、「河内平野の治水と付け替えの功労者」として「中甚兵衛」の銅像を建立していただけたことには、万感胸に迫るものがありました。
平成2(1990)年5月に現在地に移設されました。
往古からの流れと新川が結びついている当地は、中甚兵衛にとってはいささか面映ゆいですが、「大和川の改流(かいりゅう)」の事実を広く知ってもらい、後世に伝えるには、最もふさわしい場所かもしれません。
この日を記念して、今年から登場するキャラクター、「じんべえさん」の初お披露目です。
★☆ 大和川叢書④『流域歳時記・甚兵衛と大和川~この日何の日』 1月25日 要旨 ☆★
● 《 中甚兵衛建立除幕式(1989) 》
上記とほぼ同じ内容ですが、柏原市発行のビデオ『ザ・河内音頭2』の元となった歌詞の冒頭も紹介しています。
わが町 憩いの堤防際に
川に向かって 凛々しく立つは 一人の男のブロンズ像
今は優しく 堺の方へ 流れる川を見つめるけれど
300年のその昔 ごっつい苦労をしたそうな
勿論 川は大和川 男の名前は中甚兵衛
将軍・綱吉 あの頃の 河内平野の大変化(だいへんげ)
大和川の付け替えに 命をかけたこの男 ・・・・