中 九兵衛のブログ 大和川流域歳時記


 昭和63(1988)年6月29日。

 5ヵ月近いボーリングの結果、地下1200mで湯が噴き出しました。


 しかも、飲用も可能な良質の食塩泉。温度も45度あって加熱せず浴用に使えるものでした。

 大阪市内で初めて掘削された天然温泉は、一躍、府内トップクラスの温泉となりました。


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 場所は、大和川に近い、大阪市東住吉区矢田(やた)5丁目。

 地主の矢田生活協同組合が掘り当てました。名付けて「大和川矢田温泉」。

 

 「下高野橋」に通じる道沿いに、銭湯の「ふれ愛温泉矢田」(矢田6-3)が、平成17(2005)年にリニューアルオープンしています。玄関脇には足湯のコーナーも設けられています。

 毎月の第4火曜日が定休日です。


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 この温泉を源泉として大規模に設備したのが、6月24日の記事にあった「ラスパOSAKA」(矢田5)でした。


 保養施設をもたない中小企業向けの福利厚生施設として、建設費など126億円を投じたもので、正式名は「大阪市立ゆとり健康創造館」。

 平成11(1995)年3月27日に華々しく開業しましたが、赤字が続き、わずか10年余りの去年・平成22(2010)年3月末をもって廃止されました。


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 閉鎖後1年数ヵ月経っても、まだ店舗案内板も掲げられたままですが、まだそんなに古くない年月を刻してすえられた「定礎(ていそ)」は、心なしか寂しそうです。


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 実は、「大和川矢田温泉」掘削のきっかけは、近くに「湯里(ゆざと)」という地名が残っていることに、地主が着目したからと言われています。

 明日は、その湯里を訪ねることにしたいと思います。


 大和川叢書④「流域歳時記・甚兵衛と大和川~この日何の日」の6月29日の頁でも、この「大和川矢田温泉」を話題にしています。