『嫌悪と覚悟の夜』

私は丸の内のビルに勤めるOL。
つい先ほど、仕事が終わった後の体をリフレッシュするため、いつもの会員制プールにやってきた。

プールの水の中で心地よい疲れを感じながら、今日の思い出したくもない出来事を振り返った。

昼の仕事中、上司が自分のミスを、まるで私のミスのように言い張る言動があった。

あの時のシーンが脳裏に浮かび、憤りがわき上がる。

「昨日のあの件、君のミスだからしっかりと対応してくれるよう頼んだんだが、どうして手を抜いたんだ?」

私は、その仕事は確実にこなしていたし、そもそも私は何もミスをしていない。

もとより、他の同僚も私の仕事に対して不満を抱いている様子はなかった。

それでも上司は、私を責めることに固執していた。

上司の心ない言葉に、胸の奥が痛んだ。

私の努力や頑張りは何だったのだろうか。

自分のミスではないのに、なぜ私が責められなければならないのか。

悔しさが込み上げてきた。

プールの中で、思わず力任せに水を蹴ってかき混ぜる。

どんなに蹴っても、水の波紋はすぐに消えてしまう。私の悔しさはどうなるのだろう?


明日、上司に対してどのように対応すればよいのか考え込んだ。

感情的になっても何も解決しない。

冷静に、でもしっかりとした言葉で主張しなければならない。

そう思いながらも、胸の中で迷いが生じていた。

あの上司はいつでもそうだ。

鋭い目つきと常に厳しい口調で、自分の仕事には根拠もなく自信に満ちた人物だ。

いつも自分が正しいと信じ込み、部下を見下すような態度を取ることが多い。

「私は、負けない。あんな上司には負けない。自分の価値を信じて、自分を貶めることはしない。」

プールを出て、月明かりの夜の街を歩き出した。

ふと気がつけば、やはり悔しさが蘇る。

でも、新しい日が明けることを楽しみにしよう。

明日になればきっと、新たな気持ちで立ち向かえる自分がいるはずだから。

《了》