彼岸の入りから2日目。最後の生粋の今戸人形師であった尾張屋 金澤春吉翁(明治元年~昭和19年)のご墓所をお参りさせていただきました。
あらかじめ尾張屋さんんへ連絡の上このお彼岸中にお参りさせていただきたい由、お許しいただいていましたが、天気が心配で、晴れた日に出かけさせていただきたいと思っていましたが、今日は天気崩れずよかったです。
今人形の地塗りやら彩色にとりかかっているところで、その多くは春吉翁のお作りになられたものをお手本とさせていただいています。
春吉翁は江戸から明治と受け継がれてきた今戸人形の風を残された最後の作者で、形や彩色、筆の走らせ方、置き方に至るまで今戸で続いてきたものを体現されていて、そのところどころに江戸や明治の今戸人形と通じています。
今、直接春吉翁のご指導を仰ぐこと不可能ですが、残された翁の人形をお手本としながら少しでも往時の今戸人形の風、調子に近づけさせることができるよう、お参りしながら祈りました。
画像の春吉翁の制作風景の写真ですが、今から30数年前に春吉翁のお孫さんにあたる金澤武佑さんにお目にかかり、お話を伺うとともにご提供いただいたものです。
また同じ頃、今戸町内にいらした燃料屋さんのお爺さんから伺った話で窯に使う薪や松の枝を茨城方面から水運で運んできた話や今戸の町内の昔のうわさ話なども伺いました。
今では聞くことのできない話だったと思います。
今日のお参りでは春吉翁にその娘さんの花さん、お孫さんの武佑さん、奥様の洋子さんお話させていただいた思い出に感謝しながら、春吉翁のお手本で少しでも今戸の風が再現できるようお祈りしました。