ふと、日本で働いていた時代のことを思い出す。大企業ではなかったので、手当のない残業や上司からの不当な扱いが当たり前のようにあった。それでも「自己成長につながる」と思って必死に働いた。学んだことも確かに多かったが、今振り返ればもっと良いやり方があったのではないかと思う。離職率も高く、1年足らずで辞めていく人も少なくなかったが、周りは「辛抱が足りない」「他に行っても通用しない」と口にした。私自身も「この会社はこうだから仕方ない」と諦めながら、ドイツに行くためのお金を貯めていた。

 

人間は環境に順応する生き物だという。どんな理不尽も、その世界に入ってしまえば「当たり前」になってしまう。戦争の時代、貧困や矛盾に声を上げられなかった人々も、きっと同じだったのだろう。反対すれば白い目で見られ、居場所を失ってしまう。

 

そんな中、ふとトヨタの生産方式を思い出す。現場の小さな疑問や改善点に耳を傾ける姿勢が、今の世界的企業をつくった。常に「なぜこれはこうなのか?」と問いかけ続けることが強みになったのだと思う。

 

私にできることは大きくない。でも、多数派が正義だとされる世の中であっても、少数派の声に耳を傾けることはできる。そして日常の中でも「なぜ?」と問いを持ち続けていきたい。それが自分の中の「当たり前」を変えて、良い未来への一歩となるかもしれない。