何故、宣伝をせずにこの映画を世に送り出したのか

 

鑑賞していてよく分かりました

 

この映画は、ジブリ作品を見にきた人の為でもなく、興行収入の為でもなく

 

これから作品を作っていきたい

 

そういった気持ちを持っている人たちに向けた映画だからではないでしょうか

 

真人のような少年。どうすれば自分の学びたい事、知りたい事を教えてもらえるのか

 

を誰に教わるでもなく、しっかりと自分の中にある少年です。

 

賢く。愛情深く。厳しくするべき人には厳しく。

 

宮崎駿監督が自分の後を継いでほしいと考える人物像が真人なのかなと感じました。

 

自分が放った何かで、世に生まれるはずだった物を食い殺してしまったのではないか

 

そう言った宮崎駿監督の懺悔も垣間見えました。

 

所々に過去作品を思い出させるものが、もう一つの世界に出てきます

 

もう一つの世界は、宮崎駿が作ったジブリそのものだと思います

 

初めて真人が大叔父に会った時に、積み木を積み上げるシーンが出てきて

 

それはジブリ作品を作る過程を表しているのではないでしょうか

 

大量の汗をかき、全神経を注ぎやっとの思いで均衡が保てます。

 

”これで1日は持つ”

 

真人は1日!?たった1日?と驚きます。

 

全神経を注いだ作品を作っても、作品というのは1日の明日しか作れないんです

 

それほど難しく、厳しい物なのだと真人と共に衝撃を受けました。

 

この映画自体はピースが完成していません。ピースが足りないのです。

 

このピースを埋めたい。受け継いでこの作品を完成させたい。と夢を持つ者へ

 

”完成させてほしい”

 

これが、宮崎駿監督のこの映画に託した次の世代へのメッセージだと感じました。

 

この映画はジブリ作品を作りたい人用の教科書なんです。

 

宮崎駿監督がこんな風に自分は作ってきた。

 

そして、自分のような作品を作りたければこの映画から学びなさい。

 

この教科書を読み解けないのであれば、それは私が求めている者ではない。

 

厳しいですよね。ただ、それゆえに素晴らしい作品が生まれるのだと思います。

 

あくまで、私が感じた事なので見当違いなことかもしれません。

 

私はラスト10分間。震えが止まりませんでした。

 

あぁ。いなくなってしまうのだな。

 

本当に人の命は儚いもので。

 

どれだけ多くの人が願ってもあっさりと去っていきます。

 

寂しいな。

 

 

私はクリエイターになれるような人材ではないので、あくまで憶測なのですが、これを見たクリエイターの方々はどれほど胸が張り裂ける気持ちになったんだろうと感じました。

 

いつもは映画を観た後に、自分の感想を書いてから他の人のレビューを見るのですがこの作品に関しては何故か見れないです。この気持ちに他の人の気持ちを入れたくない。

私にとって、そんな映画でした。そして、見る小説でした。