現時点で34巻まで出ている今作。その中でも気になった点と、個人的にこうしたら良かったんじゃないかっていうメモ。

まず作品全体の世界観やキャラクタライズの問題に触れると、金に関する話で不快になる人は沢山いても気持ち良く笑える人は少ないと思う。
その時点で少し排他的で、少年漫画の題材としては失敗だと思う。

高橋留美子作品はらんま然り駄目親なキャラが多いけど、りんねの父親に関しては笑って見れる範囲を超えていると思う。
金に駄目で子供に借金を背負わせる事に躊躇いがなくて、仕事もせず、女にだらしない…ここまでしなくても良いんじゃってレベルのクズっぷりな上に、好感度を上げるようなイベントも起こらない。
コミカルに描かれてるから不快感は上手くコントロールしてるけど、りんねのお父さんがこんな駄目になった理由や背景も描かれてないので、ひたすらにクズさが目立つ。
これを子供に読ませる事に親御さんはあまり良い気はしないのでは。

少なくとも現時点では、どうしてりんねをここまで苦しめるんだ…としか思えない。今後も読みたいと思うのはりんねに報われて欲しいという気持ちからだけど、ヒロインもりんねもドライなのでラブコメに肝心な恋愛パートは全く進展せず、同じような話が続いてる。
10巻の時点でこれじゃ先が長すぎるし、この話を読んでくれてる層の需要を留美子先生は若干分かってない気がする。


そして、その中でも一番気になったのは、やっぱり作品全体の古臭さ。
作中でヒロインがブルマを履いていたりなど、「古き良き」というよりは時代錯誤という印象を抱いてしまう。かつての時代感を守るというポリシーなのかもしれないが、現代社会への適合をする努力を放棄していると感じてしまう。
常に努力し続け、新しい事に挑戦するのは難しい事だとは思う。だけどそれが出来ないのなら第一線から遠ざかるしかない。
そういった厳しい世界で戦っているという自覚を持ち、一ファンとしては努力をして欲しいと思ってしまう。



ここからは極めて個人的な意見になるけれど、もしも改良するとしたら
・長編漫画として機能する明確な物語の軌道やゴール地点を設定する(読者を離れさせないようにするため)
・りんねが様々なバイトに挑む話にする
・キャラクターの掘り下げをする
・シリアスな話を挟む
・作画背景を現代寄りにする
などがあると思う。

特に3番目のキャラクターの掘り下げはマスト。ここで上手くエピソードと絡め、ヘイトコントロールが出来れば作品に深みがグッと増すだろうし、序盤で触れた作品の不快指数も和らぐのではないか。

短編漫画としての安定感はあり新規の読者に対しては良い意味で敷居が低いが、その分離れていく読者も多いと思う。
評判を見る限りここから期待するような改善は望めないようだけれど、時間と余裕があればまた続きを集めてみようと思う。