頭から離れないビューティペア | イラストレーターYAGIのブログ

頭から離れないビューティペア



この何とも言えない独特の雰囲気。

薄味なダンス。

80万枚を売り上げたという事実。

その全てが何だかシュールで、ついつい頭から離れなくなる。



ある日、目が覚めた瞬間から頭の中でこのビューティペアが流れて俺の脳を支配した。

顔洗う時なんかビューティペアのメロディに合わせて「バッシャ、バッシャ~♪バッシャバッシャ~♪」と、リズムカルに洗ってしまってる自分がいる。

歯を磨く時ももちろん「シャッコ、シャッコ~♪シャッコシャッコ~♪」


こうして、ビューティペアとの一日限りの共同生活が始まった。


もちろん移動時にはビューティペアを口ずさむのを忘れない。

周りに人がいない時なんか、足で小粋なステップを踏みそうになる。
いや、正確に言えば「もはや踏んでる」のかもしれない。


そんな事を思いながら、快調にビューティペアライフを送っていたのだが、ちょっとした事件が。


スーパーのお菓子コーナーで鼻歌ビューティペアを歌っていた。

客が少なかった事もありかなり陽気で、近くにいたら聞こえるぐらいのボリュームだ。

カントリーマームを手に取り歩き出す。


そしてお菓子コーナーを曲がった瞬間...。

「おっと」

ついついパートのおばさんとぶつかりそうになる。
ハッとした表情で俺を見つめるおばさん。

一礼して、通り過ぎた時に気がついた。


完全に鼻歌を聴かれた。



別に鼻歌を聴かれるのは構わない。

ただその鼻歌の選曲がビューティペアだという事が一番の問題。

俺が生まれたのはビューティペアブームから8年後。
だから本来は自分みたいな若造がビューティペアを口ずさんでるのはおかしい事。

そのパートのおばちゃんは見た目から察するに、恐らくビューティペア世代。

だからあんな驚いた顔をしてたんだ。


そう思うと顔がザクロのように真っ赤に熟れていく。

恥ずかしさのあまりに、体温はみるみる上昇し、手に持つカントリーマームの品質が心配になってくる程。


慌ててレジに行き会計を済ませ、後日パート仲間達との笑い話にされるのを覚悟にそのスーパーを去った。

こんな地味な恥ずかしさに襲われるなら、聴かれた時にマイクを渡して一緒に踊ればよかった。

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そうすれば、もっとスッキリした気持ちでいられただろう。



家に帰り、さっそく買ったカントリーマームをほうばりながら、この事をブログに書こうと思い、上に載せてるイラストのラフを描く。

しかし聴かれた瞬間のパートさんのショッキングな表情や、陽気な気持ちが一瞬で恥ずかしさに変わる瞬間の思い等、色々な気持ちがグルグルと駆け巡ってしまい、俺の筆の邪魔をする。

ん?

そうか。

これこそまさに駆け巡る青春なんだ。

その時、俺は初めてビューティペアが大ヒットした理由がわかった気がした。





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