幾度も襲う絶頂に翻弄され、どれほどの時間が過ぎたのか判らない。



「はっ……ふ、…は…っ…」


乱れすぎた息から必死に酸素を得ようとしている間に、彼が私の中から抜け出した。


「ゃ……っ…」


この瞬間が一番嫌い。

私を満たしていたものがいなくなる喪失感と寂しさを感じて切なくなるから。


「ほらキョーコ、年が明けたようだよ」


体勢を入れ替え、敦賀さんはソファに座ると私を膝に乗せる。
彼に気怠い身体を預けて促されるままテレビへ視線を向けた。

何度も何度も新年の挨拶を述べている陽気な司会者。
各地で盛り上がる初詣の参拝客。
それにつられるかのように敦賀さんも。

「明けましておめでとう」

「………おめでとう…ございます」


本当は全然おめでたいとも思わない。
新年なんて、来て欲しくなかった。

でも…敦賀さんのことを思えば、やはりおめでとうと…喜ぶべきで。

今年は彼の大事な年になるはず。
彼に憂いを残させるわけにはいかなかった。

なのに表情筋は私の感情に忠実で、なかなか新年を祝う顔をさせてくれない。


「……あと一週間、出来るだけ一緒にいよう」


ああ、敦賀さんに気付かれてしまったじゃない。

この醜いだけの想いを——





敦賀蓮を崇拝する私は、彼の新たな舞台——ハリウッド映画出演を当然喜び、ますます尊敬するほどだった。

映画は、リハからクランクアップまで半年くらいはかかるらしい。
国内でも撮影は1ヶ月単位だし、ロケ地が遠方だとその間会えなくなることは珍しいことじゃない。

だからほんの少しの我慢だと、抱く寂しさもすぐ終わる、いつものことと大差ないと…思っていた。


けれど敦賀さんのハリウッドへの思いはそんな軽いものではなかった。

この映画出演を機に、しばらくアメリカに拠点を移し海外へ挑戦する——そう覚悟を告げられたのは、先月初めだったか。


『しばらく…って、どれくらいですか?』

『まずは3年、と考えている。成功してもしなくても、そこで一旦区切りをつけて日本に戻ってくるつもりだ』

『3年……』


敦賀さんの選択は正しい。
世界へ挑戦するなら、これは格好のチャンスだ。

敦賀さんの出演が決まった映画は、ハリウッドもかなり力を入れている大作で、俳優陣も世界トップレベルが集う。
敦賀さんの役は出番もそんなに多いわけではない言わば脇役だけれど、ストーリーの要所要所には必ず登場する重要な役だ。

完成前から世界が注目する映画を利用しない手はない。
私も海外でも活躍する敦賀蓮が見たいと、純粋に思った。


でも…


この毒悪な感情がまた私の邪魔をして、喜びを苦痛へと塗り替えていく。


離れ離れになってしまう。


彼についていく度胸もないくせに。
私も日本で目指さなければならないものがあるくせに。


一緒にはいられない。


頭では解っているのに離れる覚悟がまだできない……。


敦賀さんは、私と別れるつもりはないと言ってくれた。
私も別れたくなんてない。


…けれど、続くとも思えない。




"自然消滅"




そればかりが脳裏を過って、悪夢に魘される。







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…こんな話じゃなかったような←


明日…というか今日からの仕事(しかも年末のクレームから始まる最悪な始まり)が鬱すぎて嫌すぎて嫌すぎて嫌すぎて…∞
今すぐ伝染病にでもかかりたい(><)

次で終わるはずなんですが、私のテンション的に別れて終わったらすみません(マテ)