8月後半相場を振り返ると、日経平均株価は17日に1月5日の年初来高値にあと100円強に迫る29222円まで上昇、7月末比1421円上昇したが31日には28091円となり、ほぼ行って来いとなってしまった。

※引用:楽天証券

 

この夏の株高には少々無理があったと思う。

割安感以外はこれといった買い材料は見当たらない、日系大手証券のセールストレーダーはジャクソンホール会議待ちで商いが細るマーケットにお手上げ状態であった。

その中、相場を押し上げてきたのは海外勢の先物買いだった。

しかし海外勢の多くは、通常9月5日のレイバーデイまでは休暇中である。

※引用:dc-portal.localinfo.jp

 

では誰が買ったのか、大半が夏季休暇中であるはずの海外投資家である。

※引用:いろはに投資

 

答えはマシンである、機械は休まない。

コンピューターに組み込んだプログラムで自動的に売買する投資家ということだ。

トレンドに沿った順張りで売買するCTA(商品投資顧問)がその代表格である。

CTAが取引対象とするのは株価指数先物だ。

※引用:各サイト

 

株高が始まった6月第4週から8月第2週までに海外勢は先物を2兆3000億円買い越した。一方、海外勢は同期間に現物株1500億円売り越している。

現物株買いがついてきていない需給構造は意外にもろく、新規の買い材料が出てこないと崩れる可能性が高い。

海外勢の先物買いが主導した株高は、つい約1年前にもあった。

菅義偉前首相の退陣観測から始まった、昨年8~9月の「政局ラリー」である。

この時も先物主導で日経平均は約3000円上昇したが、現物株がほとんど買われなかったのが今の状況と似ている。

※引用:日経新聞

 

案の定1年前の政局ラリーは、岸田文雄政権の誕生と同時に約1カ月の短い寿命を終えた。

在日経平均先物の買い建玉上位には外資系証券会社がずらりと並ぶ中、英バークレイズと仏ソシエテ・ジェネラルの買いが突出して大きい。

両社とも個別株調査は手掛けておらず、先物などデリバティブのサービスを中心に提供している。

7月以降、バークレイズとソシエテはそれぞれ日経平均先物を約1万枚買い増ししている。それぞれ約2800億円の買いに相当し、両社を通じたCTAなどの買いが株価を押し上げてきた。

※引用:Wikipedia

 

そしてジャクソンホール会議が始まり、FRBのパウエル議長は26日、会議で講演した。

「物価の安定を回復するには引き締め的な政策姿勢をしばらく維持する必要がありそうだ」と述べた。

「歴史は時期尚早な金融緩和を強く戒めている」と市場をけん制した。

9月20~21日に予定されている次回FOMCの決定については「新たに入ってくるデータや経済見通しを総合的に判断する」と明言を避けた。

「金融政策がさらに引き締まるにつれて、ある時点で利上げペースを緩めることが適切となる可能性がある」としていた発言は踏襲した。

※引用:三井住友アセットマネジメント

 

この発言で市場は株安で反応した。

ダウ平均は5月18日(1164ドル安)以来の下げ幅で1008ドル安となった。

米主要株式指数はそろって下落し、S&P500種株価指数3.4%、ナスダック総合株価指数は3.9%それぞれ前日の終値に比べ下落した。

※引用:楽天証券

 

週明け29日の東京株式市場は、この米国の結果を受け、日経平均は762円安となった。

これがきっかけで、機動的な売買を主としるCTAが逆回転してもおかしくない。

今後、大量の買いポジションを抱える欧州系の動向に警戒が必要だ。

※引用:楽天証券

 

東京証券取引所の市場再編から4カ月がすぎ、暫定的にプライム市場入りを許された企業の選別が厳しくなっている。

上場基準適合に向けた計画書を提出した約300社のなかで投資家の支持を得る銘柄は、新市場発足の前後で大きく変化した。

計画書で示した業績や株主還元、戦略を着実にこなす「有言実行」銘柄に資金は流れている。

暫定組の株価騰落率をランキングし新市場の発足前後で比べたところ、上位の顔ぶれは様変わりした。

発足前に上位10位に入った企業はすべて順位を落とした。

※引用:三田さん作成

 

新市場発足後に訪れた決算発表などを経て、計画書の達成度に差が付き始めた上位に入った企業の共通点は数値目標を用いるなど業績や株主還元の方針を分かりやすく説明しており、投資家に示した戦略を着実にこなしている。