日本歌曲研究会『山咲藤(やまざきかずら)』の研究発表会が終演しました。

ご来場いただいたお客様、ご一緒してくださった皆様に心より御礼申し上げます。


取り組んだのは中田喜直 作曲、寺山修司 作詞、歌曲集『木の匙』。

ソプラノとバリトンによる貧しい新婚生活を始めた二人のモノローグです。


イタリアから帰国直後、学生時代からの親友でソプラノ歌手の齋藤麻衣子さんと「いつか木の匙を一緒にやりたいね」と話していたことから端を発し、今日その約束が実現しました。


図らずも本年は中田喜直生誕100年、寺山修司没後40年にあたります。

そして作中の内容とリンクする様に、齋藤さんはお腹に新しい命を宿しての出演。

彼女が歌う子守唄調の曲は母となる女性の純粋な愛情が溢れ、練習時から何度も胸を打たれました。

このタイミングだからこその演奏が叶った次第。


最後の歌唱を終え、後奏の中でみるみる熱くなっていく目頭。

演奏が終わると同時に楽屋へ駆け込んだのは初めてのことかもしれません。


音楽への偽りの無い探究心と情熱。

人生がもたらす様々な経験。

強い思いの昇華に深い感動を覚えながら。

そして、晴れの日も、曇りの日も、どんな日も変わることのない友に感謝を記して。


【木の匙】

1     小さな五つの歌

2     テーブルについて

3     つぶやき

4     愛について

5     生活について

6     やがて生まれてくる子のための子守唄

7     城砦

8     妻の童話

9     夏が来ると 

10   悲しくなったときは

11   世界