「日本で一番気候の良い時です、ハイになって出来ているだけかもしれません」。
こんな風に伝えました。
ケースは、膝関節痛、痛みのためにピックアップウォーカーと言う歩行補助具を使って15m歩くのがやっとのご利用者です。
認知機能の低下があります。
自分の状態の理解が難しい人です。
普段は施設内を車椅子生活です。
ある日の晩、杖で50m歩かれていました。
「車椅子を使って下さい」と職員は言って、杖を預かりました。
何故なら、まだ杖歩行が安全かどうか分からないからです。
ご利用者は「杖で大丈夫」「杖を貸してくれ」と言いました。
そこで療法士に職員が尋ねてきました。
“杖歩行の生活でも良いのですか?”と。
そして、療法士として下記の様に答えました。
「日本で一番気候の良い時です、ハイになって出来ているだけかもしれません」。
「歩く生活を続けたら、膝の状態が悪化するかもしれません」
「もう少し長い目で見守りましょう」。
教科書にはこの様な答え方について載っていません。
でも現場では一般の人に伝える必要があります。
専門的には、ハイと言うのは“痛み抑制物質が脳で分泌されている”と言うことです。
学生のうちに知っておくこと、現場では一般人に話をする、ということです。
だから実習で練習する事、学ぶ事はレポートする事、コミュニケーションです。
専門用語で分析した先生にレポートする、それだけでは足りません。
実用的な柔らかい言葉に置き換えて話すことができないとダメです。
溝口陽平