Bamini G et al.
Association Between Carbohydrate Nutrition and Successful Aging Over 10 Years
J Gerontol A Biol Sci Med Sci (2016)


http://biomedgerontology.oxfordjournals.org/content/early/2016/05/23/gerona.glw091.abstract


炭水化物の総摂取量、食物繊維の総摂取量、GI、GL、砂糖の摂取量と健康的な加齢の関係についての調査を行っています。
50歳以上の約1600人を対象に10年間の追跡調査を実施


その結果、健康的な加齢に大きな差を生むのは、食物繊維の摂取量であることがわかったそうです。


※最終的に調査対象となったのは249名(15.5%)
※この研究での「健康的な加齢」の定義は、『身体障害や抑うつ症状、認知障害、呼吸器症状、がんや冠動脈疾患、脳卒中といった慢性疾患がないこと』としています。


炭水化物の中でも、人間が消化することのできない食物繊維の摂取量は、私たちが調査した全ての要素の中で最も強い影響があった。食物繊維の摂取量が最も多い群の人たちは、長く健康的な生活を送れる確率が80%ほど高くなることが、10年の追跡調査でわかった。つまり、高血圧や糖尿病、認知症やうつ病、身体的障害に苦しむ可能性が低かった、とのことです。


ただし、著者は『今回の研究結果は、多くの先行研究とはやや異なる結果であったため、一般の人々に食事のアドバイスをする際の根拠とするには早すぎる』、ともコメントしています。

Lakshmi Krishnamoorthy et al.
Copper regulates cyclic-AMP-dependent lipolysis
Nature Chemical Biology.2016 June


http://www.nature.com/nchembio/journal/vaop/ncurrent/full/nchembio.2098.html


Natreでダイエットに関する面白い文献がありました。

銅は脂肪代謝のカギとなる役割を果たす、という事が新たに分かったそうです。


ウィルソン病のマウスと正常のマウスを調査比較した結果、銅には「脂肪分解を促進してくれる物質を分解してしまう酵素」を、分解する働きがあることがわかったという。いわば『脂肪分解のブレーキに対するブレーキ』の役割があるそうです。


『エネルギーを生み出すために脂肪細胞が分解される際には、銅が不可欠であることを発見しました。銅は調節器の役割を持っています。銅が多いほど、より多くの脂肪が分解されるのです。私たちは、銅の欠乏が肥満や肥満に関連した病気との関連があるかどうかにかかわらず、研究に価値があるものと考えています。』と、著者がまとめています。


銅を豊富に含む食品には、牡蠣や甲殻類、緑黄色野菜、キノコ、種実類や大豆などの豆類や動物の内臓等。
著者は、サプリメントによる銅の補給は推奨していません。その他の必須ミネラルの不足を招くから、とのことです。

Dennis WK et al.
Standing from the Floor in Community-Dwelling Older Adults
JAPA Volume 24, Issue 2, April , 207 – 213


http://journals.humankinetics.com/japa-current-issue/japa-volume-24-issue-2-april/standing-from-the-floor-in-community-dwelling-older-adults


仰臥位から立ち上がるまでの時間と関連する身体パフォーマンスは何かを調べています。
対象は53名の地域在住成人(60歳以上)


結果ですが、
『仰臥位から立ち上がるまでの時間』は、

①歩行速度 (r = –.61; p < .001)

②握力 (r = –.30; p < .05)

③TUG (r = .71; p < .001)との関連を示しました。
また、床からの立ち上がりの完了は、TUG速度に依存することも、明らかになりました(p < .001) 。


アブストラクトしか読んでないので、内容がわかりにくくてすいません。
握力との相関が以外と低いんですね。
因果関係ではないので、TUG改善にアプローチすればいいかと言うと、そういうわけでもない。

Valtorta NK, et al.
Loneliness and social isolation as risk factors for coronary heart disease and stroke: systematic review and meta-analysis of longitudinal observational studies .
Heart.2016 Apr 18.


http://heart.bmj.com/content/early/2016/03/15/heartjnl-2015-308790


孤独感・社会的孤立とCHD(心疾患)・脳卒中との関連を系統的レビューとメタアナリシスで検討しています。
調査期間は2015年5月まで
計18万人以上の成人を対象とする23件の先行研究のデータを分析。


結果ですが、
・対象者のうち4628人が心筋梗塞、狭心症を発症または死亡していた
・3002人が脳卒中を発症していた
・孤独感および社会的孤立があると、心筋梗塞または狭心症のリスクが29%高くなる
・脳卒中リスクも32%高くなる
・孤独感は免疫力の低下、高血圧、早期死亡にも関連する


人間関係の質が重要であり、「まずは既存の関係を大切にするための時間をつくるのがよい」、とまとめています。


孤独感や社会的孤立は、仕事のストレスや不安感等の心理社会的要因と匹敵するほど、強い影響力を持つ因子、とのことです。


社会性については昨年度から厚生労働省が中重度ケア体制加算を始めた事からも重要視していることが分かります。
社会性を維持する事は非常に難しい。PTとして、という立場となると特に。
専門性を活かしつつ何ができるか、考えなければいけませんね。

Paul D. Loprinzi et al.
Health Behavior Combinations and Their Association With Inflammation
Am J Health Promot May/June 2016 30: 331-334


http://ahp.sagepub.com/content/30/5/331.abstract


全身性炎症症状と関連をする健康行動パターンの組み合わせは何かを調べています。
対象は20歳以上の健常成人2051名
全身性炎症症状の指標はCRPを測定
健康行動パターンは、睡眠・食生活・喫煙・身体活動(3次元加速度計)を調査しています。


年齢や性別、人種、貧困レベル、慢性疾患で調整をかけた結果、
『身体活動と非喫煙(β = -.15)』、『健康的な食事と適切な睡眠 (β = -.16) 』という組み合わせがCRPと関連を示しました。


結論として、特定の健康行動を組み合わせる事が全身性炎症の改善に有益かもしれない、とのことです。


結果だけ見ると、なんだか当たり前みたいな感じ・・・

大概の人はこれをやってるよな、って思ってしまった。。。

まぁ、、、こういう『きっとそうだろう』という当たり前のことを確認することも重要ですよね。

Försth P,et al.
A Randomized, Controlled Trial of Fusion Surgery for Lumbar Spinal Stenosis.
N Engl J Med. 2016 Apr 14;374(15):1413-23.


http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1513721


腰部脊柱管狭窄症患者247例を対象に、減圧術に固定術を追加する有効性をRCTで検証しています。

無作為化は、術前に腰椎変性すべり症のあった患者(135 例)となかった患者を層別化して行っています。


結果ですが、
・減圧+固定群と減圧単独群で術後2年時のOswestry Disability Index(ODI)の平均スコア(27 vs. 24、P=0.24)、6分間歩行距離(397m vs. 405m、P=0.72)に有意差は無かった
・5年時の臨床転帰にも有意差は無かった、とのことです。


固定術に関しては、2002-2007年の調査で侵襲性の高い複雑固定術の施行率が急増したものの、侵襲性の低い除圧術に比べて重大な合併症発生率・死亡率・医療費が高かった、という報告がなされています。

http://jama.jamanetwork.com/article.aspx?articleid=185630


固定術を行う意義を考えなければいけませんね。

Amarenco P et al.
One-Year Risk of Stroke after Transient Ischemic Attack or Minor Stroke.
N Engl J Med. 2016 Apr 21

http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa1412981

 

1997-2007年の先行研究では、脳卒中および急性冠症候群の発生リスクは12-20%と推定されています。

 

そこで、2009-11年に21カ国61施設で、TIAまたは軽症脳卒中のため治療を受けた患者計4789人を対象に、TIA後の脳卒中再発リスクを改めて検証しています。

 

検証した結果ですが、
・78.4%の患者が初発症状後24時間以内に脳卒中専門医の評価を受けていた。
・1年後の複合心血管転帰発生率は6.2%(95% CI, 5.5 - 7.0)、脳卒中発生率は5.1%だった
・当時(1997-2007年)と比較して脳卒中再発リスクが低下していた、

とのことです。

Wearden AJ et al.
Nurse led, home based self help treatment for patients in primary care with chronic fatigue syndrome: randomised controlled trial.
BMJ. 2010


http://www.bmj.com/content/340/bmj.c1777.abstract


慢性疲労症候群・筋痛性脳脊髄炎患者296名を対象


在宅でのリハビリと非指示的カウンセリングの有効性(段階的に活動性を増加させるプログラム介入が慢性疲労症候群の症状を改善させるか否か)を単盲検無作為化比較試験で検討しています。


結果ですが、
・治療開始から20週目の時点では、リハビリ群はカウンセリング群と比較して疲労の有意な改善が得られたが、身体機能の有意な改善は得られなかった
・1年後の時点では、リハビリ群・カウンセリング群は共に疲労・身体機能の改善に有意差は認められなかった
・またカウンセリング群では試験を通して効果が見られなかった。

訓練された看護師やセラピストによるケアは、疲労に対する短期的効果は確認されたが、長期的にはその変化に統計学的意義が確認されなかった、とまとめています。


The American journal of clinical nutrition. 2016 Jan 13
Dietary flavonoid intake and incidence of erectile dysfunction.
Aedín Cassidy et al.


http://ajcn.nutrition.org/content/early/2016/01/06/ajcn.115.122010.full.pdf



※フラボノイドとは、果物や野菜に含まれる色素


1986年以降の定期的な健康調査に回答した中高年男性2万5,000人超を対象
2000年、2004年、2008年に、性交渉をもつのに十分な勃起があるか、それを維持できるかを回答してもらい、フラボノイドの豊富な食品の摂取量と比較した。


結果ですが、
・果物の総摂取量が多い人では勃起不全リスクが14%低下していた。
・フラボノイドの豊富な食品を摂取しており、運動の習慣がある人では、同リスクは21%低下していた。
・フラボノイドの恩恵は、70歳未満の男性で特に大きかった。


まとめると、3種類のフラボノイド―アントシアニン、フラバノン、フラボンが、勃起障害の予防に及ぼすベネフィットが最も大きいことが判明した。


※アントシアニンはブルーベリー、チェリー、ブラックベリー、ラディッシュ、赤ワインなどに含まれ、フラバノンとフラボンは柑橘類に含まれている。


フラボノイドの豊富な食品を定期的に摂取していた男性では勃起不全リスクが10%低かった。量でいえば週2~3皿分に過ぎない、とまとめています。


この研究の注意点としては、フラボノイド摂取と勃起障害の関連性を見出しただけであって、因果関係は示していない、という点ですね。


リハビリとは一切関係ないですが・・・

何か気になって呼んでしまいました。。参考にしましょう。

Cognition. Feb 2016, Vol 147, p106?112
Walking blindfolded unveils unique contributions of behavioural approach and inhibition to lateral spatial bias
Mario Weicka,John A Allena, Milica Vasiljevicb, Bo Yaoc

http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0010027715301050


抑圧感や不安感を感じている人は脳の右脳の活性が高まっており、歩行の際に左側に寄りがちな歩様となる傾向がある

脳半休の活性による、ヒトの歩行運動における左右差の出現について検証しています。


対象は78名の健常大学生(全員右利き)。目隠しをして、事前に確認しておいた床に引かれた直線上を歩くことを要求された場合の歩容について検証しています。


結果としては、抑圧感や不安感を目隠しによって感じた被験者は、歩行が左側に曲がる傾向が見られた。
また、これら不安感・抑圧感を感じた被験者は右脳が優位に活性化していた。

さらに研究からは脳の左右の半球は心理的な動機付けに際して異なった関わり方をしているようだということも示唆されている。
右脳は抑制的なこと、左脳は接近することに関連している可能性がある、とのことです。


本研究の知見は、一側性知覚麻痺と呼ばれる、空間認識が欠損してしまう疾患の治療に対して有益な含意を持っている可能性がある。特に、右脳側に知覚麻痺が見られる場合には、不安感を何らかの介入によって低下させることによって改善が期待できる可能性がある、とまとめています。


人の心理と歩容との関連という、とてもユニークな研究ですね。
臨床応用の可能性についても言及してくれています。