前回より、ひと月近く開いてしまいましたが。。。
本業の方が忙しくて、バタバタしていてすみません。

 

 さて、ステム製作の中で、もう一つの難所、ヒンジクランプの製作です。
BROMPTONのヒンジクランプですが、これよく見ると、ねじれて開くんですね。

実測で3度強ねじれてます。

このねじれが無かったら、もう少し製作難易度は下がると思うんですが。。。
とはいえBROMPTONがよりコンパクトに畳めるように、このねじれがあるわけなので、
手間ではあるけれど、忠実に再現しようとしたら、同じように作るしか無いわけです。

 

 このねじれを加工するために、写真のような角度バイスというもので

ワークを要求する角度に固定して加工します。

 加工自体は、マシニングセンタというCNC制御の機械で行いますので
角度を付けた加工自体は、角度バイスを使用しなくても可能なのですが、
6φのヒンジピンのリーマ穴加工も当然、3度ほど傾けた状態で行う必要があり、
穴加工と、クランプのねじれ加工の角度がずれると、ヒンジクランプの
嵌合精度が出ませんので、ここは角度バイスを使用して誤差を最小にする為に
傾け具合を共通化することにします。

 

 またヒンジピンは、Eリングで止めるようなピンを使用しようかとも
考えたのですが、純正のヒンジピンを入手する目途がたちましたので
後々のメンテも普通のBROMPTONと同様に行えるように純正のヒンジピンを
購入することにしました。

 

  さて、早速テスト加工を行いましたが、、、非常に硬いです64チタン
普段使っている金属加工用のハイス系の切削工具だと最初は削れそうな
感じなのですが、すぐに加工工具の刃先が赤熱して溶けてぜんぜんダメです。
 仕方なく、切削工具はすべて超硬系の工具を使用することにしました。

超硬を使うと切削は問題なく可能ですが、問題になるのはタップ(ネジ切り)
でしょうか?
 難削材のタップ一つとってもいろいろな加工方法が考えられますが
今回は、自分の工場の設備で、焼きの入った高硬度材も加工できる
CNC形彫放電加工機による放電タップという加工方法を選択しました。
 その他、CNCワイヤ放電加工機等、仕事柄、設備は多種に渡って
所有してますので、適材適所に使用し加工することにしました。

#この辺の話は詳しく書くときりがないのと、専門的すぎると思いますので
#機会があれば、書くことにします。

 

それで、出来上がったヒンジクランプがこれになります。

 

 

最終的に、完成した後、嵌合を確認してみました。
機械の嵌合や、当たりの確認は光明丹というものを使用します。


光明丹をマシン油なんかで溶かし、薄く片側に塗り付けて
ヒンジクランプを固定した後、開いて反対側の面に光明丹が
均一に付いているかで、嵌合具合を見るわけです。

 

 

結果は写真のように、綺麗に当たり面も揃っていて文句なしですね。

 

その他パーツは基本的に、同様の切削加工で製作しました。


写真は、全部の加工が終わった部品を並べてみた状態です。

ということで、次は溶接編を書くことにします。