ユーベ戦とマドリードダービーの連戦を前にしての手堅い一勝。

 

 代表ウィーク明けハードスケジュールの1本目はカナリア諸島へ乗り込んでのラス・パルマス戦。アトレティコとの首都決戦を挟むCLのユーベ戦を見据えて大方の予想通りジダンは要所でターンオーバーを敢行。4-2-3-1を基調とした選手の配置はGKにナバス。DFラインは右からナチョ、バラン、バジェホ、テオ。ドブレピボーテにモドリッチとカゼミロ。2列目の並びが右からバスケス、アセンシオ、ベイル。1トップにベンゼマ。

 ゲームはマドリーらしく守備をサボる場面がありながらも個のタレント性で相手を上回る勝負を魅せて3-0の快勝。

 中盤の選手で守備を疎かにする選手もいた中でバランとバジェホのCBコンビの寄せ、読み、カバーリングなどどれをとってもパーフェクトな対応でラス・パルマスの攻撃を一蹴。60分間のプレーに留まったモドリッチとカゼミロの2人は主にモドリッチが自陣で複数の相手を誘き寄せて相手の中盤の後ろのプレーヤーと最終ラインの間にギャップを作り、そこに入ってくるアセンシオ、バスケス、ベンゼマとのハイレベルな連携を披露。また左サイドにベイルやテオを走らせることにも効果が覿面し、先制点のシーンが生まれた。CLベスト4PSG戦2試合で活躍をし、一気に株を上げたアセンシオとバスケスの2人はチームにグダグダ感もあったせいかアセンシオは標準なパフォーマンスであったが、ベンゼマからの美しいパスを受けたチャンスシーンは決めたかったところだ。一方のバスケスはここ最近の成長と好調ぶりが空回りをしていたのか、周りとのパス交換にズレを生じてしまった。持ち味の左サイドで爆発的なスピードで縦にぶっちぎるランニングとPKで1点ずつを決めたベイルは結果も出していることを含めチームの中では高い出来だっただろう。積極的に上がってくる同サイドのテオとも悪くないコンビネーションも披露。キャプテンを務めたベンゼマもPKで点を決め、自身のタスクである前線での起点づくりもいつものようにこなしていた。しかし、流れの中で中々決めることが出来ない極度のゴール欠乏症はジダンにシュート練習をしてもらってもかなり難しい治療なのだろう。今後の難敵続きの連戦であのような様をされるとチームを苦境に導きかねない。負傷交代したナチョはベンチで無念を感じているように試合を見つめていたが、左足ハムストリングの軽症で3日で済みそうとのことだそうだ。代わって入ったアクラフは可もなく不可もなく。攻撃ではまだまだクロスなどに伸びしろがあるだろう。守備でも相手の攻めに動かされているような感じも否めなかったが、先輩のカルバハルに負けないくらいの奔走ぶりだったのではないだろうか。モドリッチ&カゼミロと交代して入ったコバチッチとマルコスはそれぞれで良さと悪さ両方が出ていた。特にマルコスだが、自陣ゴール前でありえないパスミスや相手の予測通りのプレーをしてしまっているところがクロース、モドリッチ、コバチッチなどのレギュラークラスに引けを取ってしまっている。屈強な肉体を活かしてフィジカルコンタクトでは負けない強さをもっと存分に活かしたい部分もあるだろう。コバチッチは淡々と自身のプレーをこなしていたが、仕掛ける局面でもう一声といったところ。

 

 次戦からはいよいよユーベと天敵アトレティコとの連戦。CL3連覇へ一つ目の山場。ジダンはどんな采配を執ってくるのか、誰を起用するのか、また、選手たちはどれほどの高いモチベーションで臨んでくるのか非常に楽しみだ。