昔々、ある港町で漁師の男が仲間たちと船で出漁していました。
その日は悪天候で、荒れ狂う海に漕ぎ出すことができませんでした。
仲間たちは帰ることを決断しましたが、その男だけが「もう少し頑張ろう」と言い張りました。
男は一人で船を進め、どんどんと遠ざかっていきました。
しかし、海はますます荒れ、船は激しい波に翻弄され、とうとう転覆してしまいました。仲間たちは男を助けることができなかった。
翌朝、漁師たちは船が座礁した場所に向かうと、何とそこには男の亡骸が打ち上げられていました。しかし、男の顔は驚くべきことに、怖ろしいほど老けていました。まるで、何十年もの歳月が経過したかのように。
村人たちは驚きと恐れを抱きながらも、男の亡骸を海に葬り、その日以降、座礁した場所では彼の幽霊が見られると言われています。
船が遭難した夜、彼の魂が海に呼ばれ、荒れ狂う波と風にさらされながら、
歳月を重ねていったというのです。それ以来、その港町では、荒天になると漁師たちは彼の幽霊を恐れ、船を出すことを避けるようになったとか…。