【自分の気持ち】~未咲side~
「未咲って、翔也とどうゆー関係?」
またその質問か…。
聞き飽きた。
「仲良い男友達」
そうとしか答えようがない。
「ほんとー!良かった♪」
この子は確か、千葉美波。
「美波、翔也の事好きだからさ」
別に気にならなかった。
この時はどうでも良かった。
谷川は友達以外の何でもないから。
そう思ってた。
しかもモテる谷川だから、聞かれる事は珍しくなかった。
「そうか。頑張って!アイツ、美波みたいな人タイプやと思うで」
「ほんとー!?頑張っちゃおーありがと!」
タイプ……なのかな?
家に帰って、携帯を開くと噂の翔也さんからメールが。
【俊のアドレス送っていい?】
いきなり何じゃいな?
なんで?…と。
♪ブーブーブー
バイブ音が響いた。
谷川は、返信がキモいほど早いのだ。
【俊にメールしてほしいから!送るで☆shunta-badminton………】
は?
ま、谷川にはいろいろ借りがあるし…
とか思いながら、内心、俊太とメールしたいって思う自分がいた。
【分かった。】
そんだけ、谷川に送って、あたしは新規作成のボタンを押した。
そして、俊太のアドレスを入力した。
来ない。
ドキドキしながら送信ボタンを押してからかなり時間がたったのに、一向に返信は来ない。
シカトされてんのかな?
「なぁ班長」
「あ?」
「メールしたのに返してやぁー」
「まじで?てかお前、誰から俺のアドレス……翔か」
言うまでもないと言う感じだな。
「返してな!」
「あーはいはい」
気の抜けた返事だった。
でも俊太は、絶対メールしてくれる。
その自信があった。
なぜなら俊太は、シャイなだけだからだ。
やっぱり、ちゃんとメールが入っていた。
【今崎。登録したから】
たったそれだけ。
絵文字も無い寂しい一行だったけれど、充分だった。
返信はあえてしなかった。
シャイな俊太はメール上でもシャイなのかな?
そんな事を思い、あたしはつい「かわいいじゃん」って携帯の画面に呟いた。
シャイにはにかむ俊太の顔が頭に浮かんできた。
「未咲は、どっちなの?」
明菜にいきなり言われた。
「へ?なにが?」
「なにがって好きな人。」
「誰と誰?」
「翔也と今崎」
みんな、谷川を翔也って呼ぶ。
でもあたしは谷川だ。
それには、親しみが込められている。
谷川には、もうお世話になりっぱなしだし、根は優しいし誰よりも良いやつだってあたしが1番知っている。
でも俊太は。
俊太には谷川とはまた違う感情があるかもしれない。
自分でわからないだけで。
不器用なだけで、めちゃくちゃ優しくて。
そんな所があるってあたしはわかる。
あたしの気持ちって。
谷川は良い奴だし好き。
でも異性としては全く見たこと無い。
というより今更見れない。
俊太は。
友達じゃない。
友達以外の特別な感情を抱いてる。
最初はめちゃくちゃ嫌いで、本当うざかった。
なのに、こんな感情を抱いて良いのか。
俊太はあたしの事が嫌いであろう。
一方通行の想い。
だとしてもあたしは——
「今崎が好き」
「へぇー成る程ね。面白くなってきたぁ」
明菜は上機嫌。
これがあたしの本当の、素直な気持ち。
俊太に届けるべきなのかな?